劉智『五更月』

Liu Zhi 劉智 (d. 1730) 字は介廉。号は一齋。

中国ムスリム最大の思想家。同時代にはシリアのアブドゥルガニー・ナーブルスィー(d.1745)、トルコのイスマイル・ハック・ブルセヴィー(d. 1725)などがいる。

『五更月』の更とは、一夜を大体二時間ごとに区切る時間の単位「更」に相当する。夜の八時からあくる朝の六時までを初更、二更、三更、四更、五更の五つの時刻に区分する。劉智の『五更月』では、地上より現われ、輝き上昇し、煌びやかな姿を見せ、やがて傾き落ちていく月の姿を通じて、唯一神アッラーの世界創造と現世の意味、人間の精神的完成と修行の終着点を説明している。

五更月

一更
一更の初め、月は正に生ず。よく考察し、悟りなさい。真帝(アッラー)には影も形も無い。その本質を喩えることは難しく、名付けることは不可能である。

真帝は常に真理であり、万古より永久に生きる。彼は始まりも終わりもなく、独一にして並ぶもの無い至尊の御方。真帝は万物の創造を始め、それによって理象は成り、大命(シャリーア)は立ち衆妙門(万物の源)を開く。



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