旦那とボクサーパンツと私

風呂上がりの旦那がボクサーパンツを履いただけで寝室にやってきた。まだ夜は窓を開けていると少し肌寒いくらいの風が入ってきて、さすがに上半身が裸だと風呂上がりでも風邪を引かないか心配になる。私は優しい嫁だ。旦那が風邪を引かないように服を着るよう言ってやることにした。

「そのだらしないビールっ腹を隠す気はないん?」「は?」

どうやら失敗したようだ。私の優しさは旦那には届かなかった。

このだらしない腹の男と結婚してもうすぐ1年になる。早いものだ。付き合い始めてからは何年になったか。

旦那は物持ちがいいタイプらしく、付き合い始めた当初の旦那が一人暮らしをしていた頃から持っていたものをほとんどそのまま引っ越したこの家に持ってきている。プレイステーション3、貯金箱、着ているのを1度も見たことがないどっかのバンドのライブTシャツ。小言しか言わない私w

それと初めて私の家へ泊まりに来た日に替えがなく、仕方がないので私が寝間着にずっと使っていた私の男時代から愛用していたボクサーパンツも、譲ってそのまま履いて帰り、そして時を経て引越し先のこの家に持ってきている。なんなら絶賛、風呂上がりの旦那が今履いているのがそれだ。

そう、私は元々男性だった。性別適合手術や戸籍の性別や名前を変更して、現在は女性として生活をし、この私のお古のボクサーパンツを履いた旦那と結婚し、今に至る。

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