聞き分けのいい女にはなれなかった
道で大喧嘩して
店で大喧嘩して
駅で大喧嘩して
家に帰ってきても大喧嘩した。
喧嘩が終わってお腹が空いて
家の近くの松屋に行った。
1番安いやつの大盛り
と言った同居人は牛めしの大盛りを頼んだ。
安いのか安くないのか分からない。
僕はビーフカレーを頼んだ
松屋のカレーは結構美味しくて好きだ。
寒かったので豚汁を二人で食べようと追加した。
携帯を家に忘れていたので
頼んだものが来るまでとても他愛ない会話をした。
内容は覚えていない。
先に牛めしが来て、少しだけ間があってカレーの番号が呼ばれた。
カレーを食べる前にまたいつものように一口くれと言ったら
不服そうな顔しながらも一口だけくれた。
カレーは熱くて少し冷ましながら食べた。
何口か食べて少し話した頃に
松屋の店舗限定のラジオみたいなので
中島美嘉のOrionが流れた、ベタ過ぎる。
暫く無言で食べた、カレーが美味しくて無言で食べ続けた。
食べる事に集中すると人は絶対的に喋らなくなる。
でも無言で食べていたら
なんだか急に泣きそうになってしまって
それがバレない様にまた夢中になって食べた。
お互い無言で食べた少し後に
『今何考えてたの?』と聞かれた
素直に言おうと思ったけど言ったらダメな気がして
『カレー山盛りで食べ切れるかなって考えてた』
とだけ伝えた。
先日読んだ記事に
『一瞬が永遠に続くなんて妄想である。自分の人生に巻き込んでいい、相手の人生に巻き込まれていい。そう思えるほどの相手は、一生のうちで5人もいないはず。そういう「血迷える相手」に出会えるのは、やはり幸福なこと。』
とあった。
酷く傷ついたし、傷つけた。
お互いまた同じことを繰り返してるね、とも話した。
あの頃のあの子と僕は他人がどう思うとか考えられなかった、罪悪感はあったけれど。
それで実際に大事な友人を失ったし。
また全てを知った気になって、物凄く近くにいる。
本当はただ、いてくれるだけでいいのに。
もっと知ってまた、勝手に期待して、失望する。
全てを知って満足した様な気になって
なのにまだ懲りずにしがみついているのは
そう血迷える相手、なのだと思う。
あれからもう2年経っていたよ。
今は少しだけ距離を作った。
物理的に。
2021/2/20 へ
私より
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