フラッシュドローを持っている時のベット有無の考え方 -A-L-Lボードの研究(4)  OOPのドンクレンジ研究より

(※シリーズ作品の続きです。前回までをご覧になられていない方は、前回までの内容をご覧に頂いたほうが、より理解が深まるかと思います。)

▼導入
さて、前回まではバリューのドンクレンジを検証してきたが、今回からはブラフレンジについて検証していく。
ブラフレンジとして真っ先に思い浮かぶ部分でいうと、フラッシュドロー・ストレートドローの部分である。

ドローを持っている場合、一般的にかなりベットのインセンティブがわきやすい傾向があると思うが、当然のことながらドローでなんでもかんでもベットしているとすぐにブラフ過多になるし、
チェックレンジにドローがほとんどない場合、ドローが完成するボードになった際に非常に圧力がかかるタフな場面になりやすい。

というわけで、当然ながらドローについてもベットとチェックを混在させていく必要があるわけだが、そのレンジ構築をどのようにしていくべきかを以下に検証していく。

▼ドンクレンジの研究(ブラフ)

・フラッシュドロー

まず、上記がフラッシュドローとして絞り込んだレンジである。
このボードに限らずだが、ドローのベットレンジはだいたいこんな感じになることも割と多く、すなわち1/3程度の頻度でベットして2/3程度の頻度でチェックする、というバランス感はよく見受けられる

このようにレンジを構築することで、①フロップで打つフラッシュドローのレンジ、②ターンから打つレンジ、③リバーまで打たなかったレンジがバランスよく構成されるということにつながる。

では、具体的にどういったレンジでベットをしていくのか。
GTO的には、すべてのハンドで一定のバランスを保つというのが原則的な考え方であり、フラッシュドロー系は特にそういう傾向が見受けられることから、乱数的に腕時計の秒針などをつかって「20秒までならベット、それ以降ならチェック」等とするという選択肢は一つある。

しかしながら、一応GTO的にもドローのベット頻度には多少なりとも差があることが一般的で、どういったレンジがよりベットされやすいかという傾向を以下に紐解いていく。

判断要素となる事項としては、以下のようなものがある。

(1)強いフラッシュドローかどうか
ナッツフラッシュドローについては、弱いフラッシュドローよりもベットに回りやすい傾向が一般的に見受けられる。
これはどういうことかというと、単純にフラッシュオーバーフラッシュの観点の問題で、ミドルフラッシュドローでポットを大きくするよりも、ナッツフラッシュドローでポットを大きくした方が、よりショウダウン時のエクイティが高くなるという考えだ。

(2)ハイカードとしてのショウダウンバリューはどうか
同じフラッシュドローであっても、ショウダウンバリューのある部分はベットに回されにくくなる。
例えば今回のボードでいうと、KJsのような部分はハイカードとしても十分強く、ターン以降KやJをヒットさせておとなしくショウダウンに向かうという選択も取りうることから、ベット頻度はさがっていく。
逆に86s等、フォールドエクイティが大きい(何を下ろしても大体自分より強い部分が下せる)ところについては、ベット頻度が高くなる傾向がある。

(3)バックドアストレートドローが濃いかどうか/コンボドローがあるかどうか
ドローとしてより発展性があったり、ドロー完成のアウツが多い場合、ベット頻度が多少上がる傾向になる。

上記はコンボドローのベットレンジであるが、フラッシュドローと比べて明確にベット頻度が上がっていることがわかる。特にQハイ→Jハイ・・・とショウダウンバリューがさがるにつれ、ベット頻度が上がる傾向にある。

(4)キッカー

これは理由としては難しいが、キッカーが2・3等といった弱いハンドのほうが、よりベットに回されやすい傾向は見受けられる。


GTOとにらめっこしながら、これらのような要素がベット頻度に影響を与えているのではという仮説を立てている。とはいえ、ボードによっては上記の傾向が当てはまらないこともあり、何とも言えない部分も大いにある。

ただ、どちらかというと大事なのはフラッシュドローでのベット頻度の実現ということであり、例えば上記のレンジでQ4よりQ2を多めにベットしたところで大勢に影響があるわけではない。

そのため、上記のような傾向を参考に、自分なりに再現しやすい形でベットレンジを構築していくのがよいだろう。

▼本日のまとめ
・フラッシュドローができたからといって、なんでもかんでもベットしているとすぐブラフ過多になり、アクションごとのバランスもとれないため、ベットとチェックのバランスを取っていくことが重要
・大事なのは、特定のボードにおけるベット頻度の実現ということであり、そのボードでどれくらいの頻度でフラッシュドローをベットしていく必要があるのかの感覚を掴んでいく。
・そのうえで、再現可能なレンジ構築を自分なりに行う要素として、ドローの強さ・SDV・ドローの発展性・キッカー等を加味した上で分類していくことが肝要。

(続く)


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