3bet pot-350%オールインCBという選択肢
▼導入
この記事のタイトルを見たとき、まず目を疑った人も多いのではないだろうか。
かくいう僕も、3bet potでフロップにおけるオールインCBなんて、考えたことがなかった。
たまたまWizardでハンドの振り返りをしていたときに発見した、偶然の産物にすぎない。
というか実際、こんな選択肢を持っても持たなくても、Winrateに及ぼす影響なんてほとんど変わらないだろうと思う。こんなわざわざ、一研究テーマにして取り上げるほどの重要性があるとは思えない。
でも、超どでかいベットって、それだけで心が躍らないだろうか?
恐らく「フロップでこんな意味不明なオールイン、このレクがよ!」と画面の前でののしられ、心の中で「レクはどっちかな?」と勝ち誇った気持ちになれるだけで、価値があるとは思わないだろうか?
さて、もし共感してくれる仲間がいるのであれば、一緒にこのテーマについて深堀していこう。変人の世界へようこそ。
▼前提
6max NLHE
ES: 100BB
Rake:5% 4bb cap
BTN 2.5BB open
SB 12BB raise
BTN call
Flop:???
SB 328% ALLIN
▼概要
さて、はじめにSB vs BTNの3bet potにおける、flop全体のアクションの頻度を確認しておこう。
基本的にCB sizeは、20%-75%の小~中サイズが用いられることが多く、pot over以上の頻度は全体の1.5%に満たないレアケースとなっている。
そのため、当然といえば当然であるが、今回のテーマのようなFlopでいきなりALLINをするボードというのは、かなり特殊で限られたボードにしか頻度が存在せず、ほとんどのボードではピュアに頻度がない形になる。
では、具体的にどういったボードで頻度が検討できるのであろうか?
ALLINの頻度を昇順に並び替えてみよう。
このように見ていくと、ALLINが用いられるボードはかなり特徴的である。つまり、
・JTハイボード
・5以下のカード3枚で構成されるボード
・(やや頻度が落ちて)Q-7あたりのカードのみで構成されたボード
の主に3種のボードで、ALLIN CBが用いられる。
では、各ボードで、どういったベットレンジの構成になるのかを以下紐解いていく。
(JT8ttボード)
JT8ttボードは非常に特殊なボードで、ほぼALLIN or Checkでバランスがとられている形となっている。
バリューでALLINしていくレンジとしては、TPTKを下限におきながら、オーバーペア、ツーペアあたりが候補とされている。
一方、オールインした際にBTN側が受けるレンジになるワンヒットドロー系を強くブロックするようなセットは、チェックレンジに残す形でバランスを取るレンジ構成とする傾向があるようだ。
一方のブラフレンジとしては、基本的にはストレートドローが最も多く用いられており、
・AQのツーオーバー+ダブルベリー
・T9等のセカンド以下ワンヒット+OESD(相手のフラッシュドロー・コンボドロー系がブラフターゲットとなるため、バックドアがない方がより好ましい)
あたりが使われやすく、単純なフラドロのみの部分はほぼチェックに回したうえで、ブラフハンドとしてもエクイティが高めなハンドが選択されやすい。
(542ttボード)
次に5以下のカードのみで構成され、かつペアボードではないボードの特徴について紐解いていこう。
これらのボードは、JTハイのようにALLIN or checkというほどではなく、ベットサイズとしてはALLINのほかに75%サイズもそこそこ用いられている。
そういった前提のもと、いきなりオールインをするレンジ構成を紐解いていく。まずバリューレンジとしては、現時点で強いところでいうとJJ-99くらいのミドルオーバーペアが中心となっている。
このあたりは、チェックで回したり、あるいは標準的なベットをした上で相手から大きなベットないしレイズが返されると、非常にタフなシチュエーションになるし、
ターン以降多くのカードでEQRを落とすことになるので、であれば今のうちに入れきってしまうという理屈になるのであろう。
その上で、(これはこのあと紐解いていくが)相手がオールインにコールするレンジに2overフラッシュドローが多く存在し、一応そのあたりには若干フェイバリットであることも多いので、オールインが正当化される根拠になる形と思う。
セットやストレートに対してはほぼドローイングデッドであるため、感覚的にはやりづらいが、
それよりもコンボドローやワンヒットドロー、フラッシュドローの方が圧倒的に多く、ツーペアに対しても実は割とまくり目があることからも、それほど悪い選択肢とはならないのではないだろうか。
ブラフハンドとしては、基本的にはAxs、Axoの♡ありの部分が用いられる傾向にあるものの、これらは相当に解釈が難しいところもある。
というのは、A7~9♡スートあたりは恐らくブラフハンドとしてオールインをしているものの、
一方でAKsにもなると逆にドローのないスートがオールインに用いられている。
これを解釈するには、相手のコールレンジを紐解いていく必要があるが、相手もこのばかげたオールインに対して、2overフラッシュドローは基本的にピュアにコールする。
中でもAx♡sがコンボ数として相応に多く、その部分を抑えていないAKはバリューとしても機能しつつ、
現時点でアンダードックな相手のセット・ツーペア・オーバーペアに対してもストレートないしツーオーバーのまくり目があるブラフハンドとして機能することから、オールインに用いられる傾向があると考えている。
このスートごとにオールイン頻度については、AK~AJsあたりまでが同様の傾向を持っていることが見受けられた。
一方でAxoオフスートについては、単純にバックドアがある部分が重視されやすいような傾向があるようで、このあたりの解釈は非常に難解な形となっており、私の手に負える部分では収まりきらなかったので割愛したい。
そのうえで、AA~QQのようなプロテクションの必要性がやや落ちるオーバーペアや、オーバーペアの中でもエクイティの落ちる88~66あたりは75%のベットサイズが用いられ(このあたりは、MTTのミドルスタックでいきなりオールインを返すレンジ・刻むレンジをイメージするとわかりやすいだろう)、弱めの2overフラッシュドロー・バックドアフラッシュドローとバランスがとられている傾向がある。
チェックレンジとしては、オーバーペアの一部、ストレートあたりや、ハイカードとしてやや強いKQ・KJ、その他単純なトラッシュを回したうえでバランスがとられている。
(QT8tt)
最後に、QT8ttボードについて検証していこう。
このあたりのボードでは、一応オールイン頻度はあるにはあるものの、メインで使われるほどの頻度感ではなくなっており、基本は安ベット~50%を中心に用いている。
そのため、あえてオールインを用いるレンジ構成を作るには、やや難易度が高いわりに意味合いが小さくなってくるが、参考として触れておこう。
基本的には、ナッツ級の部分はオールインのレンジに入ってこず、オーバーペアやトップペア+ガットを中心にバリューレンジが構成され、ダブルベリーのワンオーバーにあたるAJがブラフレンジとして用いられている。
中でも、特にフラッシュドロー・バックドアフラッシュドローを抑えていないところが用いられる傾向が大きく、これは相手のオールインコールレンジにコンボドローが多く存在するため、そのあたりをブロックしないということが重視されているように思う。
▼本日のまとめ
・3bet potで、OOPからいきなりオールインの選択肢が持たれるボードとしては、「JTハイボード」「5ハイ以下の非ペアボード」「Q~7のみで構成されたボード」のおおむね3種類しかない、かなりレアケースなソリューションであることがわかる。
・JTハイは「Allin or check」、5ハイ以下は「Allin or 75% or check」、Q~7ボードは安ベットからオールインまで様々なベットサイズの選択肢が用いられるなど、一言でオールインが用いられるボードといっても、各ボードでソリューションがかなり異なる。
(以上)
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