A-L-Lボードの研究(3)AハイボードのAヒット時・ポケットペア時の考え方 -OOPのドンクレンジ研究より

※複数作の続きです。(2)以前をまだ読んでない方は、そちらからお読みいただくほうがより理解が深まると思います。

前回に引き続き、バリューのドンクレンジを構築していく。

・トップペア

トップペアになってくると、バリューのドンクレンジとして打つにはやや弱く、頻度としてもボード全体の平均値程度に収まっていることから、進んでドンクを打つほどのハンドではないといえる。

こういったドンクレンジに限らず、Aハイボードにおいて、Aがヒットした際に考えるべき要素というのはいくつかあり、

・キッカーが強いかどうか
 →キッカーが強いほど、ベット頻度が上がる(今回も、BB側の持ちうるA9sではほかのハンドよりもベット頻度が高くなっているのが見える)
 →逆に、A+7や6等のミドルキッカーというのは、どのボードでもたいていチェック頻度が高い傾向にある。

・強いバックドアがあるかどうか
 →バックドアがある場合、ベット頻度を上げる一つの要因となるが、すべてのバックドアがベット頻度が高くなるかというと、そういうわけではない。
これはどういうことかというと、"ナッツ級のドローを完成させうるかどうか"という判断軸が重要ということであり、例えばこのボードでいうと、A♦スートのハンドであれば、バックドアをひいたときにナッツを形成しうるということで、よりベットする価値があがる。

一方で、例えばA9oの9♡というような微妙なバックドアであれば、引いたところで少なくともバリューを打つにはやや心もとない(ミスバリューとなる可能性があがる・大きくベットしづらい)ので、むしろチェックコール体制に回ったうえで、1枚フラッシュになった際に相手からのリバーのベットに耐えるというレンジに入れていく傾向になる。


また、一般的にはA2、A4等、トップペア+ガットショットがついているようなハンドであれば、レイズにも耐えていけることからかベットのインセンティブが上がる人が多いが、これに関しては多くの場合明確に間違いとなる。

つまるところ、こういったハンドはバリューとして打つにあたっては、現時点ではやや心もとない。というのも、相手のAヒット+強キッカーには一方的に負けている状態で、とはいえブラフとして打つには強すぎるということがある。

そのためこういったハンドは、自らベットしていくというよりかは、チェックレンジに入れたうえで相手のフロップ・ターンのダブルバレルに鉄で受けれるレンジとして残しておくというのが、レンジ構築上よくみられる傾向である。


・ポケットペア

ポケットペアについては、こういったボードで非常にプレイアビリティが低くなってきて困るハンドの一つである。
ドンク頻度自体は、Aヒットと同等程度にはあるが、個人的な感覚としてはよりチェックを多めに構築してさほど影響はないと思っている。

というのも、例えばなんのドローもない8ポケをベットしていってコールされた場合、ほとんどのケースではターンで非常に難しい局面に立たされることになる。
つまり、ハイカード・♡・2・4等、落ちて困るようなカードが大半になっており、そういった状況でポットを構築していきたくはないこと。
フロップ段階においても、A持ち相手には一方的に負けている状況でほぼまくり目もなく、また相手が何かしらのドローであっても、ターン以降ブラフで降ろされることが非常に多くなりうることから、自らタフな場面に追い込む必要はないだろうという感覚である。

とはいえ、ボードガバレッジへの対応の観点からは、一定程度こういったポケットをベットレンジに入れていく必要があるのもまた事実である。
そこでレンジ構築の考え方としては、ダブルバックドアないしガット+BDFDのあるような、ターン以降もある程度プレイアビリティを保てるポケットをベットレンジに回したうえで、それ以外はチェックにするということで頻度を実現するというものはどうだろうか。

・ノードロー・役なし系

ちなみにほぼベット頻度がないハンド群として、なんのドローもないハンドがあげられる。
一定のベット頻度がある際、こういったハンド群はエクイティが基本的にないため、はやって相手を降ろしに行きたくなるプレイヤーも多いと思うが、基本的にはこういったハンドでのベット頻度はかなり低い傾向にある。

どういうことかというと、ブラフベットを打つ際には、ブロッカーが考慮の要因の一つになってくる。
つまり、相手の継続レンジをどれだけブロックしているか、それによりフォールドエクイティが高まるかというのが大きな考慮要素の一つであるが、
こういったハンド群はあまりに何もブロックしていないため、素直にチェックフォールドないしはチェック&チェックで回ったときに何かヒットすることを願うというのが、基本的な戦略になる。

(続く)

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