A-L-Lボードの研究(7)IP側のCB戦略について―BTNvsBB SRP

▼導入
これまでの検証結果を踏まえると、A-L-Lボード、特にBB側が一方的にストレートや下のツーペアを持っているボードでは、BB側にナッツアドバンテージが生じるため、おいそれとIP側からのCBが打てないということがわかった。
とはいえ、レンジチェックというほどでもなく、一定のベット頻度があることから、こういったボードでどういったレンジがベットに回されやすいのかを検証していく。

▼前提(再掲)
BTN x2.5BB raise
BB Call
Flop  A 5 3 tt
BB Check
BTN ??

※Effective 100BB 

▼概観

基本的にはかなりチェックレンジを幅広く持つ必要があり、おおむね2/3のレンジでチェックバックすることを考えると、通常のKハイレインボーのようにおいそれとレンジで打つわけにはいかず、ベットレンジからかなりそぎ落とされるレンジが発生してくる。

例えば、鉄でチェックバックするレンジとしては、

(1)ポケットペア
 ミドルポケットくらい弱くなると、バックドアストレートのプレイアビリティとプロテクションの観点からそこそこベット頻度が出てくるが、それ以外の88~KKくらいはレンジチェックで十分となる。

(2)Kハイ・Qハイの強いところ
ベット頻度が低い、つまりバリューであまりベットができないということは、ブラフに混ぜれるハンドも減るということにつながる。
そうなると、KハイやQハイの強いところといった、相応のエクイティや現時点でのショウダウンバリューがある部分までベットレンジに回していると、すぐにブラフ過多になるため。

等がある。

逆にかなりベット頻度が高い部分としては、

(1)セット
特に55,33といった相手のAをブロックしていないところは、鉄でベットとなる

(2)コンボドロー
そもそもショウダウンバリューが低いうえ、ドローとしての強さはそこそこありエクイティが高くなりやすいことから、ブラフハンドとして用いられやすいと考える。

では、その他のレンジについて個別に見ていく。

・Aヒット

このボードに限らず、フロップAヒット時全体に共通する傾向であるが、
キッカーの強いものほどベット、キッカーが弱いものほどチェックという傾向がある。
そのうえで、フロップ全体のベット頻度にあわせて、Aヒットのベット頻度も調整していく、というのが基本的な思考プロセスとなる。

また、キッカーが弱いほどチェックといっても、それぞれのキッカーにおいて多少頻度があるのは、弱いキッカーばかりチェックに回していてはターン以降落ちるカードによってはツーペアのコンボ数が大きく増減するというもので、GTO的にはある程度混合を取るケースが多い。

そのうえで、大体今回のボードにおけるベット頻度である1/3になるよう、Aヒットの中でベット頻度を調整していくという形になっている。

・セカンドペア・サードペア

セカンドペア・サードペアも、基本的にはマージナルなためチェックバックで十分とはとれるものの、
やはりペアボードになった際のボードガバレッジの観点から、一定頻度でベットレンジに組み込んでいく必要がある。
こういった事情から、キッカーが強いところに加え、フラッシュドロー・ガット・バックドアのある(=ポットを膨らませてもあまり嫌ではない)部分でベットレンジに組み込んでいき一定の頻度を実現するという構成が見れる。

・フラッシュドロー

これもBBのドンクレンジの検証の際と同様、
・ハイカードとしての強さ(強い程ベットされにくい)
・バックドアストレートの発展性(あればベットされやすい)
・キッカーの強さ(弱いほどベットされやすい)
等を考慮の上、やはりこれも全体的にバランスしながらレンジを構築していく形となっている。

ごみハンド系

なんの発展性もない弱いハイカードは、いつだってベット頻度が低いものである。
こういったハンドでは、エクイティがないとみて早々におろしに行きたくなるが、
こういったボードでもハイカード2枚あればエクイティが20%程度はあるというのが一般的である。
しかしながら、なんのバックドアもペアも抑えていないと、相手からよりチェックレイズが返ってくる頻度があがったうえで、そのエクイティを放棄させられることにつながるので、チェックでおとなしく何かが当たることを祈るというのが基本路線となる。

ただ、その中でもかなりエクイティが低いTハイ・9ハイといったところは、相手のフォールドエクイティを取りに行くことがより正当化されるため、そこそこのベット頻度を持っているという考え方もあり、
結局のところレンジ全体で頻度を守らないといけない場合、発展性やエクイティの低さをもとに選定していくことになりそうだ。


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