BTNvsBB エフェクティブ20BB cashのフロップ戦略
▼導入
今回は前回に引き続き、エフェクティブが削れた状態での戦略の変化として、ES20BB下におけるフロップ戦略の特徴を検証していこうと思います。
キャッシュゲームにおいて、ES20BBで戦うことはそれほど多くないですが、
KKpokerのような環境では、開始1ハンド目はミニマムバイイン(多くのレートでは20BB)となることも多く、実はレギュラー同士であってもそこそこ発生しうるスポットとなります。
そのため今回は、最も基本となるBTNvsBBのSRPを題材に、100BBcashとも比較しながら、ポストフロップにおける戦い方を見ていきましょう。
▼検証の前提
GTOwizard
6max ES20BB
NL50general
BTN 2BB open
BB call
flop ???
BB check
BTN ???
-検証の方法
20BBエフェクティブのフロップは、現在GTOwizardにおいて集合分析が公表されていないため、いくつか代表的なボードテクスチャーを個別に検証することで、100BBcashとの相違点を見つけていきたく思います。
今回具体的には、100BBcashでCB戦略に特徴があるボードをいくつかピックアップして検証していきます。
①Kペアボード(KK3レインボー)
ほぼレンジで安ベットが肯定されるボード
②AKハイボード(AK9レインボー)
ポットオーバーorチェックがソリューションとなるボード
③モノトーンボード(Q82モノトーン)
中頻度で安ベットが用いられるボード
④Aハイボード(A93レインボー)
中頻度でさまざまなベットサイズが用いられがちなボード
▼具体的なボードの検証
①Kペアボード
100BBでもほぼレンジCBがソリューションとなるKペアボードですが、20BBでも同様の傾向が見受けられます。
![](https://assets.st-note.com/img/1673121542896-sUiO6KG2x2.png?width=1200)
ただベットサイズとしては、従来通り33%の頻度もあるものの、SPRの低下に合わせ、20%程度のより小さいCBサイズが用いられる傾向があるようですね。
それでは、BBの対応はどのようになるでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1673121713750-zhQQhXDcaj.png?width=1200)
なんと、コールレンジはほぼほぼなく、レンジ全体でALLIN or Foldがソリューションに近くなっています。
コールレンジを設けないため、Kヒットはほぼほぼレイズレンジに組み込んだうえで、3ヒットでも十分と見てかなり多くのレンジがレイズに組み込まれています。
やはりSPRが低くなると、スタックを入れきるのに十分となるハンドの強さの敷居が下がり、プロテクションの意図も兼ねてかなり幅広くレイズを返すことが正当化されるようですね。
そこに応じたブラフレンジには、様々なダブルバックドアが頻度で組み込まれている形になっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1673122201863-RtssXPFYTX.png?width=1200)
OOP側が実にレンジの1/3以上でレイズを返すため、IP側も相当幅広くディフェンスをしていく必要があります。
なんらかのBDFDのあるようなハイカード系は、バリューレンジの3ヒットに対しても2オーバーがあるためかなりディフェンス寄りになりますが、これほどのディフェンス頻度を実現することは実戦的に難しそうです。
そのため、こういったシチュエーションでは、OOP側は割とチェックレイズし得になりそうですね。
②AKハイボード
AKハイボードは100BBCashであれば、フロップからポラライズしたレンジ構成をしていく代表的なボードですが、20BBCashではどうでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1673265858011-OKuLVduPHY.png?width=1200)
シンプルにエフェクティブスタックが浅いため、フロップからポットオーバーのような選択肢はほぼほぼ持たれなくなります。
ポラーにしても75%がほぼ上限ですが、ポラライズ一択ではなく、
100BBCashになぞらえるなら、イメージ的にはUTGvsBBのベットレンジ構成に近く、安ベットから高めのベットまで幅広く用いられる傾向があります。
これは恐らく、通常の100BBのBTNvsBBであれば、ある程度のAはオープンにコール止めされていることも多く、BTNも幅広いレンジでオープンしているためレンジアドバンテージが生じにくいですが、
20BBCashではBB側もAxはかなり幅広くプリフロップオールインするため、レンジアドバンテージもナッツアドバンテージもBTN側が幅広く有するというロジックになると推測できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1673268091793-rf7Z156p5e.png?width=1200)
安ベットに対してはBB側も、これくらいのボードであればさすがにコールで受ける頻度が高いですが、それでも100BB時と比べるとかなりチェックレイズの頻度が高く、やはりスタックが浅いと相応にチェックレイズ頻度は意識的に増やさないといけないようですね。
③モノトーンボード
100BBではCB頻度が低くなる代名詞となるモノトーンボードから、Q82モノトーンを題材にCB戦略をみて見ます。
![](https://assets.st-note.com/img/1673327751711-Ixf7mtzRpE.png?width=1200)
一応かわらずベット頻度は高くはないものの、それでも多少は頻度が上昇しています。
サイズとしてはより安ベットなのは変わりませんが、このあたりの頻度が高まる理由としては、やはりSPRが小さいとフラッシュにペイオフしたときの損害が小さくなるため、よりルースに打ちやすくなるというロジックに基づいているものだと考えられます。
![](https://assets.st-note.com/img/1673327956150-SxpL3MfQgt.png?width=1200)
BBのチェックレイズ頻度としてはこちらも通常の100BBと同じく低いですが、それでもやはり若干頻度が上がる傾向はあります。
とはいえ、内訳をみてみるとドロー系やフラッシュというよりかは、ペア系のメイドハンドを中心にレイズレンジが構築されていますね。
このあたりは100BB時と比較すると、レンジ構成が若干異なるところで、メイドハンドの評価が上がるのも浅いスタックにおける特徴といえそうです。
④Aハイボード(A93レインボー)
最後に、AハイボードからA93レインボーボードを確認してみましょう。
Aハイボードは、100BBエフェクティブであれば意外とCBを打ちにくいボードであり、しかもサイズも安いサイズが中心だったりもしますが、20BBの場合はどうでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1673502034868-KGL2lGGdTs.png?width=1200)
この場合、BTN側はレンジでCBを打てる形となっています。
やはりシンプルに、20BBであればBB側のAxやポケットはプリフロップでかなり入れきることも多く、ナッツアドバンテージとレンジアドバンテージが大きくBTN側にあり、様々なサイズで全レンジベットが許容されるわけですね。
先に述べたAKハイボードだけでなく、Aハイボード全般的にこのような傾向があるように見受けられます。
BB側のチェックレイズレンジも、AKハイボード時と同じようなレンジ構成となってきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1673502276256-c2GNHf2JKS.png?width=1200)
それほど特筆すべき点は多くないですが、
20BB時のよくあるレイズレンジ構成の特徴として、トップペアのうち自分が持ちうる最強のキッカー部分については、全般的にかなりレイズを打ち返す頻度が発生するようです。
▼本日のまとめ
以上、簡単ではありますが、エフェクティブが100BB⇒20BBへと低下したとき、どのようにポストフロップ戦略が変化するかというのを見てきました。
簡単に結論をまとめると、
・SPRが下がった時の傾向として、
-ベットサイズが安くなる
-ベット頻度が高くなる
-OOP側のチェックレイズの頻度が上がる
といったものがありました。
・また、大物手に振り込んだ時の損失が減るため、メイドハンド系の価値が一気に高まります。
以上の違いを意識して、20BBエフェクティブのポストフロップを戦うとより最適なプレイングに近づけられるかもしれません。
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