5bet potのポストフロップ研究(COvsBTN)

▼導入

以前、近年オンラインハイレートにおいて、プリフロップでの極小5betの選択が用いられるというシリーズ記事を書かせていただきました。

【プリフロ研究】x2未満のプリフロ5betという選択肢について(3:ミニ5betレンジの構築)|すきま|note

実は自分自身でも結構使っているのですが、プリフロップ単体を取ると割と有用であるという感触はありつつも、やはりポストフロップがまだまだ未知のところだと思っています。

ミニ5betを用いる以上、相手はほとんどのレンジでディフェンスをしなければならず、かつ本来6betに回る部分も含めてコール過多になることが多いと想像されることから、5bet potのポストフロップを簡易的に抑えておくことは言うまでもなく肝要です。

そこで今回は、COvsBTNの5bet potをベースに、フロップの集合分析について検証していきます(SBvsBTN等OOP側はそもそも5betでALLinするため)。

▼Pleflopの前提


GTOwizard NL50 General ES100BBのソリューションを利用しています。

BTN側のmini5bet Range。AA・AKsをバリューに、Kxs、Axoを主に使用する。
CO側のコールレンジ。基本的には4betしたレンジ全体を幅広くディフェンスする


▼Flop-CBの全体分析

まずは、実践的に一番なりがちであろう、5bet-call側のCOがチェックした場面を検証していきます。

まず個別ボードを見ない全体の傾向として、基本的に5better側はほぼCheck Rangeを設けず、ほとんどのボード・頻度でベットをしていることがわかります
ベットサイズは、4bet pot同様10%・25%が多いが、4bet potと異なる点として意識すべきは、25%betであってもリバーまでのGeometricサイズではないというところと考えます。

つまり、フロップの段階でSPRが0.8程度しかなく、10%程度のCBでほぼほぼ3eサイズとなっているという点で、
・(低頻度の)フロップオールイン
・25%を用いた2e
・10%を用いた3e
のいずれを用いていくか判断していくことになりそうということです。

(※一応Wizardでは50%という頻度もそこそこあるのですが、これはターンのSPRが0.2程度になるため、一般的なセオリーの感覚と反するところではあり、意図として汲みきれない部分がありました。とはいえ頻度も全体で一番少なく、今回の検証では無視するという形にしました。)

解釈としては恐らく、5bet rangeはポラーに構成されており、上位レンジの部分はどんなボードでもイージーにオールインしていけることから、フロップからレンジ全体のbetでポラライズして最後まで入れきることを目指すということになるのかなと思考しました。

そこで今回は、各ボード別にどういったCBサイズが使われるかを紐解いていき、補足としてOOP側からドンクを打てるシチュエーションも確認していこうと思います。

▼個別の検証

今回、5better側の戦略を以下の4つに分けて検証をしていきます。
(1)高頻度チェックが用いられるボード
(2)フロップオールインが用いられるボード
(3)25% CBが用いられるボード
(4)10% CBが用いられるボード
(5)Caller側のドンクが発生するボード

(1)高頻度チェックが用いられるボード

まず、チェックレンジが相応に持たれるボードを検証するため、チェック頻度が高い順番に並び替えてみます。

チェック頻度が高いボードであっても、レンジチェックまで求められるボードというのはあまりなく、一部のボードで中頻度チェックというソリューションが取られるという程度になっているようです。

見ると、特徴的に多くなっているのは、
・T~8あたりのミドルカードが複数落ちているボード
・一部のモノトーンボード
といった所が中心のよう。

やはりこのあたりのボードは、5bet call側はミニ5betに対してTT~66のようなミドルポケットはそれほど降りないのに対して、
5better側はそもそもミニ5bet rangeに組み込まれていないことが一般的であるため、オーバーペアのレンジが5better側に多いとはいえそれでも慎重になる必要があるということと推測しています。

モノトーンボードでフィルターをかけてみても、モノトーンボード全体でチェック頻度が高いというわけでは決してないが、やはりミドルカードが落ちた時には若干慎重になる傾向が見受けられるので、アグレッションにブレーキがかかるキーとなるのはミドルカードというところになるのでしょう。

一応、こういったボードでのCBレンジの構成も見てみましょう。

①A98mtボード

基本的には、セットや♡持ちのペア、AKと合わせて、ナッシング系を組み込む形でレンジが構成されていますね。
ベットサイズはよくある全レンジで混合というところで、多くのハンドに10%で打っていく頻度と25%で打っていく頻度が混合で存在しています。

こういうケースでは、実践的にはどちらか1サイズのみを使ってもそれほどEVロスがないことが多く、簡易戦略としては
・10%を広めのレンジで打っていく(CB~高頻度)
・25%をレンジを絞って打つ(CB低頻度)
といういずれかに集約させるのが妥当とは考えます。

②987ttボード

バリューレンジがオーバーペアしかない苦しいボードですが、それでもこのSPRを入れきるにはオーバーペアは大体十分で、バリューとして打っていくレンジに組み込まれていますね。
ただ、やはり全体的にチェックしたいハンドが多いところではあるので、ベット頻度はそこそこに、ツーオーバー系の弱いハンドと混ぜてチェックレンジに残すようなレンジ構成がなされるようです。


(2)フロップオールインが用いられるボード

続いて、フロップオールインが用いられるボードを見てみましょう。
5betpotでSPRが小さいといえど、やはりフロップオールインとなると頻度的にはそれほど多くなく、全体の5%程度になります。
ただ、使われるボードと使われないボードの差は明確になっているので、その点を簡単に見ていきましょう。


基本的には使われるボードは、4betpotと同様Q~8あたりで構成されたボードや、ブロードウェイ3枚で構成されたモノトーンボードになってくるようです。
ただ、頻度としては4betpotの時より高くなっており、やはりSPRが小さいとオールインが肯定されるハンドレンジも広がるということでしょうか。

一応ベットレンジも簡単に確認していきましょう。

まず最もオールイン頻度が高くなるQT8rボードでは、バリューはオーバーペアで十分で、そこにドローを混ぜてレンジ構築していく形になるようです。このあたりは割とシンプルなレンジ構成と言えるでしょう。

ブロードウェイ3種のモノトーンボードでは、オールインを行わなくてもけっきょくほぼレンジでコミットするようなベットをしており、相手のA・Kヒットを一部indifferentにしつつ、
チェックバックしたらチェックのままエクイティを実現されるがオールインに対してはコールしなければならないような色持ちのポケットからはバリューがとれる、いわゆるvluffとして機能させているようです。


(3)25% CBが高頻度で用いられるボード

さて、次は25%sizeが用いられるボードを見ていきましょう。
そもそも5bet pot全体で、4bet potとかわらず25%CBが相応に使われており、多くは混合戦略であることから一概にこういったボードではピュアに使われる等ということは難しいのですが、25%の頻度が高くなるボードの特徴を確認してみましょう。

基本的には、Qハイ~Tハイあたりのボードでは25%sizeが優勢になるシチュエーションも多いようで、中にはほぼピュアにこのサイズしか用いられないようなボードもそこそこ存在しています。
なんとなくですが、フロップオールインよりも若干ミドルに寄らないボードが中心になってきているような気もしますね。


(4)10% CBが高頻度で用いられるボード

では、次に10%程度の安いCBが用いられるボードを確認しておきましょう。

これも基本的には大きな特徴があり、大体Aハイ・Kハイボードはほぼほぼレンジで10%程度のCBを打っていくことが正当化されそうです。

一部ブロードウェイ3種ボードや、Q+ミドルカードがあるようなボードでは、既に見てきたようにオールイン等高いサイズが使われがちになってきますが、逆に言えばそれ以外はほぼほぼレンジ10%が許容されるといえそうですね。

(5)OOPからのドンクが用いられるボード

最後に5bet Caller側からのドンクが用いられるボードを見ていきましょう。
基本的には4bet pot同様、ある程度ドンクベットが用いられるボードはあるのですが、とはいってもそれほど多いわけではなく、5bet pot全体の10%未満となっています。

中でも基本的にはセオリーに則った安ドンク、ここでいうと10%程度のドンクが用いられることが多いようですが、一応例外中の例外として高いサイズが用いられるケースが多いので、その点もあわせて確認してみましょう。

①安ドンクが用いられるボード

まずは安ドンクが用いられるボードを確認していきます。
意外と低頻度~中頻度程度でドンクが用いられるボードというのは多いことにまず驚きですね。

②高いドンクが使われるボード

こちらは4bet potと変わらず、JTハイボードを中心に、Q~8あたりで構成されたボードではかなりドンクオールインの頻度があるようです。

ベットレンジの構成は、これもやはり4betpotと傾向としてはかわらず、オーバーペア+を中心としたバリューレンジに、ドロー系をブラフにいれた上で、ややマージナルであるがエクイティの高いハンドも含め広くオールインをしています。
ピュアチェックとなるのは、発展性に乏しいトラッシュ・マージナルハンドと一部のオーバーペア等が中心になるようです。

これに対して、IP側は実に97.2%のレンジで受けており、ほとんどフォールドするレンジがないというかなり珍しいスポットになっています。
OOP側が現状マージナルなハンドも含めて広くオールインしている以上、何かしらのあるハンドはほぼほぼ降りれないということでしょうが、色のないAKまで受けているのはなかなか驚きです。
やはり4betpot以上のこのようなボードは特殊で、レアケースながら知識としてどこまで抑えているか次第ですね。

▼本日のまとめ

・5bet potにおいては、5better側のCB頻度はとても高く、一部のミドルカードで構成されたボードやモノトーンを除き、ほぼほぼAny handでCBを打つことが正当化される
・チェック頻度が持たれるようなボードは、ミドルカードを中心に構成されるボードが多いが、それでも中頻度でのベット頻度は必ずあった上で、SPRが小さいのである程度のハンドであればルースにオールインまでいくことができる
・フロップオールインを打つようなボードも、基本的にはミドルカードの構成が多い。

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