エフェクティブスタックとポケットペアの価値の相関について

普段、ポーカーの学習といえば、通常100BBエフェクティブの前提で行うことが多いと思います。
それでもMTTであれば、エフェクティブスタックが変化する性質上、スタックに合わせた研究をすることも多いと思いますが、キャッシュゲームになると研究している方は少数派ではないでしょうか。

確かにオンラインのようなフィールドであれば、100BB未満で戦うことは(特にオートリバイがあるような環境では)あまりないと思いますが、それでも中にはオートリバイを切っているプレイヤーと戦う機会もそこそこにはありますし、ライブゲームのような環境であればなおさらそうです。

そこで今回は、プリフロップにおけるポケットペアの価値というテーマで、エフェクティブスタックと3betに対するポケットペアのディフェンスに着目して検証していこうと思います。

▼検証の前提
GTO wizard 
6max
NL50 general

ES:75BB,50BB,20BBの3パターン

ポジション関係は
・COvsBTN
・BTNvsSB
・UTGvsBB
の3パターンを確認していきます。


▼検証

(1)ES75BB
まずは、スタックが若干削れたエフェクティブスタック75BBから見ていきましょう。
ここ考慮すべき要素としては、セットマインのインプライドオッズが若干下がっているということ・それでも微妙なポケットで全スタックをつぎ込むにはまだスタックが深すぎるということがポイントになりそうです。

その仮説のもと、まずはCOvsBTNから見ていきましょう。

COopen→BTN3betへのCOの対応

Wizardでは100BB時と比べて3betサイズが若干下がったということもありますが、なんと100BBではフォールドの頻度もそこそこ存在するとミドルポケットも含めて、ほぼピュアにコールで受けていることがわかります。

EV的にもそこそこ高く、意外にもエフェクティブの若干の低下はポケットペアをコールで受けていくインセンティブが高まる方向に働いているようです。

これはポジションを変えてBTNvsSBでも同じような関係性が見受けられます。

BTN open→SB 3betに対してのBTNの対応

UTGvsBBの3betになると、さすがにピュアに受けるには至らなくなってきますが、それでも100BBのとき以上に受ける頻度は発生してきます。

UTGopen→BB3bet

このあたりの傾向を見ると、少なくともエフェクティブの若干の低下はポケットペアのディフェンス頻度にマイナスの影響を与えることはないということですね。


(2)ES 50BB
次に、ES50BBでの局面を確認してみましょう。
エフェクティブスタック50BBで打つ機会というのも、やはりそれほどにはないですが、ある程度のフィールドでは、あえてミドルスタック戦略としてオートリバイを切って50BB前後で好んで打つレギュラーも存在します。

そんな中、プリフロップにおけるポケットペアの価値というのはどのように変化していくのでしょうか。まずは、COvsBTNから見ていきましょう。

COopen→BTN3betへのCOの対応

基本的には75BB時同様、3betに対してもあまり降りないことが特徴としてあげられますが、JJ-99あたりのミドルハイポケットは、4betオールインが優勢の頻度となってきています。

このあたりは、100BBであれば一気に入れきるには弱いところですが、50BBを入れきるには十分で、
50BBでのvs3bet時は、さながらMTTのようにAK・AQoあたりと合わせて一発入れするレンジと、AA-QQ等のプレミアとAxのブラフハンドを混ぜて刻むレンジで分かれて構成されていますね。

BTNopen→SB3betへのBTNの対応

よりポジションが深くなり、3betterがOOPになると、そもそもの3betサイズも高いので4betがALLINに寄ります。

UTG open→BB3betへの対応

UTGに対してのblindからの3betはやはり特殊で、イメージ的にはEP同士のvs3betの攻防に似ています。
1点異なる点としては、AAあたりに一定コール頻度が残るところで、
これはエフェクティブが浅い分、MTTでよくでてくるようなトラップという発想が肯定されるという理屈でしょう。

(3)ES 20BB
エフェクティブスタック20BBになると、一般論としてポケットペアの価値は高まる傾向にあります。
SPRが低くワンペアの価値が非常に高くなるため、ポジション関係にかかわらずかなり幅広く4bet Allinを打ち返していくことが正当化されます。

COopen→BTN3betへのCOの対応。

ローのポケットを除き基本的には降りず、3betしたレンジ全体的にALLin or Foldの選択肢が取られるのがわかりますね。

ただし、この意味合いとしては「オープンして3betを受けたポケットペアは」という文脈であり、下を見てもわかるように、基本的には20BBエフェクティブのような状態では最下層のローポケットはそもそもとしてオープン頻度がないという前提に基づいています。

BTNopen→SB3bet→BTN??

これはポジション関係が変わっても同様で、やはりオープンに値するポケットペアの価値は非常に高く見積もられているようです。

UTGopen→BB3bet→UTG??

UTGopen→BB3betとなると、BBの3betレンジが相当強いため若干コールしたり降りる頻度も出てきますが、それでも大抵はオールイン優勢となっています。
こう見ると、ポジション関係にかかわらず、たいていはポケットペアはプリフロップ20BBを入れきるには十分な強さで、よほど下位のレンジを除きほぼオールインができると簡易的に覚えても問題なさそうですね。

▼本日のまとめ
・エフェクティブの低下は、ポケットペアのディフェンス頻度の低下につながらず、むしろ全体として上昇する傾向にある
・エフェクティブが低くなると、特にローのポケットを中心にそもそもオープン自体の頻度が低下する
・エフェクティブが低くなると、本来4betオールインをするには微妙なハンドでも入れきることが肯定される

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