金属バットとM-1グランプリ

2018年春、初めて彼らの漫才を見た
YouTubeのおすすめ欄にたまたま出てきた。
ネタはラジコン。
思いのほか淡々としたトーンで進む漫才。
「あ、そっちがボケなんや。」と思った。
終わり方に、ものすごい衝撃を受けた。
え?なんやったんや今のは????
すぐにもう1回再生した。
YouTubeに上がっている全てのネタを見た。
それから後はもう、するするとすごいスピードではまっていった。

調べてみると、大阪NSC29期。
同期の見取り図やコマンダンテなどは、それまでに知っていて、ネタも見たことがあったが、金属バットは名前も全く知らなかった。
なぜか。劇場に所属していなかったから。

通常、吉本の若手芸人は、吉本の劇場に所属している。
劇場メンバーになるために、お金を払って登竜門ライブに出て、勝ち上がった芸人だけがメンバーになれる。劇場メンバーになれば、定期的な舞台の出番は確保される。
しかし、それだけでは生活できるだけの収入は得られず、人気メンバーになって出番を増やしたり、テレビやラジオの仕事をしたり、賞レースで結果を残してギャラ単価を上げたりして初めて、バイトを辞めてお笑いだけで生活できるようになると聞く。

そんな中で、金属バットの現状は、かなり異端である。
特定の劇場に所属せず、東京、大阪、京都、福岡と全国の劇場に呼ばれて漫才をし、お笑いだけで生活している。

金属も最初はオーディションライブに出ていたらしいが、メンバーになる前に出場をやめている。賞レースへもあまり参加しておらず、現在のように劇場に呼ばれるようになるまでは、インディーズライブに多数出演し、経験を重ねてきたそうだ。

そんな金属バットが唯一出場し続けている賞レースがM-1グランプリ。
12月20日、M-1グランプリ2020敗者復活戦。
決勝の舞台へ行けるのは1組だけ。
出場者には、昨年のファイナリストもいる、すでに全国区の人気者もいる、勢いのある若手もいる、厳しい戦いだと思う。
でも、そんな中でも、金属バットが決勝にいってくれるんじゃないかと本気で思ってる。
だって、全然正規ルートを辿らずに、事務所からの後押しもなく、それでも腐らずに、地下で磨いてきた芸を武器に、現在の人気と評価を得た芸人が、決勝の大舞台でぶちかます漫才絶対見たいでしょ??そんなんめっちゃかっこいいに決まってるやん???

決勝の舞台で大勢の人に向けて漫才をして、金属の漫才が届くべき人に届けて!って思う。
ダサい言い方になるけど、初めてロックを聴いた時みたいに、エレキギターの「ギャーーーン!」てデカい音を初めて聞いた時みたいに、どうにもできないビリビリした衝動を沸き上がらせる力が金属の漫才にはあると思ってる。
少年少女だけじゃなくて、老若男女問わず刺さる人がいると思ってる。届け!!

ただ、万人受けする人たちではないことも重々承知で。結果次第で、金属の過去のネタや発言が大勢の目に触れることになって、また叩かれたり、問題になったら嫌だなとも思う。
有吉が言ってた「ブレイクすることは、馬鹿に見つかること。」を思い出す。

だから2人が活動する場所なんか、
本当はどこでもいい。
お茶の間に受け入れられなくてもいい。
2人が本当に面白いと思うことをできる場所なら、舞台でもテレビでもラジオでもYouTubeでも大阪でも東京でも地下でも路上でもどこでもいい。
自分たちが面白いと思うことをできる場所で、思い切りやってほしい。
2人が面白いと思うことを自分も面白いと思えるうちは、どこにだって見に行く。

でもやっぱり、挑み続けてきたM-1で、日本一の漫才の大会で、2人がぶちかますところはめちゃくちゃ見たい!!って話。
ネタを見た人みんなに殴りつけるような衝撃をくらわせるところが見たい。
いつもの人を食ったような立居振る舞いでお茶の間や審査員をポカンとさせるところが見たい。(えみちゃん受け悪そう笑)
圧倒的な結果を叩きつけて地下時代の復讐をするところが見たい。

今の金属バットは、決勝に上がれるネタと気迫を持ってると信じてる。
「敗者復活なんて結局人気投票だ。」なんて言わせないような漫才で決勝に行ってくれると思ってる。
行ってくれ。応援している。

自分は一視聴者としてM-1を楽しむしかない。
こんなご時世だけど、関わる人みんな安全に、無事実施されることを願ってる。
あーM-1めっちゃ楽しみ!!

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