浦和対G大阪にみるハリルホジッチ監督の好影響
浦和レッズ対G大阪の試合を見たのだが、両チームともハリルホジッチ監督の影響を受けているようだ。特にG大阪は、昨シーズンの動画と比較したが、選手たちの動きが組織的になってる。
ハリルホジッチは、代表合宿などでJリーグ全体の戦術メモリーを成長させようとしているわけだが、その成果がすでに表れているようだ。
G大阪の選手で一番成長を見せたのが遠藤。ゾーンディフェンスのセオリーを学んだらしく、チャレンジ&カバーができるようになっている。スペース察知能力が高いため、今野よりもスペースケアが上手いくらいだ。
サンフレッチェの選手たちの動きも代表組を中心にプレースタイルが変わっていたが、G大阪の選手たちも同様に変化している。
遠藤はボール保持者に食いついて背後をがら空きにする悪癖があったが、この試合ではスペースケアに奔走していた。頭のいい選手はセオリーを短時間でマスターできるらしい。
ハリルホジッチが10年前に来てくれていたら、遠藤は海外でもスターになれたかもしれない。日本人選手の戦術メモリーの欠陥は、やはり指導者の責任が大きい。
現段階でのG大阪のゾーンディフェンスの完成度は50点くらい。それでも以前は赤点だったのだから十分成長しているといえる。
今後はもっと良くなるのではないかと期待している。
G大阪はゾーンディフェンスの部分でハリルホジッチの影響を感じたが、浦和はそういった部分ではなく、攻撃の費用対効果の部分で影響を受けている様子。
浦和は今までにないほど勝利にこだわったチームになっている。やりたいことよりも、相手が嫌がることは何かということを、きちんと考えてチームが作られている。
脱・自分たちのサッカーということに関しては、浦和が一番かもしれない。ACL敗退で吹っ切れたか。
浦和はドリブルとコンビネーションによる中央突破にこだわらなくなっている。パス回しは相手の体力を削るため。敵陣深くまでボールを運んだら、無理に攻め崩そうとするのではなく、積極的にFK、CKを取りに行ってる。
浦和対G大阪のCK数は浦和9、G大阪1。
ズラタンはCBとの駆け引きを苦手としているから、ズラタンにクロスを放り込むよりも、クロスを相手に当ててCKを取りに行った方が得点可能性が高い。
柏木がボランチに下がったことで2列目のチャンスメーク能力が低下している。ただし、その代わりスピードと突破力のある選手が増えたのでカウンターの破壊力がアップしている。
ショートパスをつないで相手の体力を削りつつ、セットプレーで攻める。中盤の底にいる柏木を速攻の起点にして前線のスピードと個人技でフィニッシュに持ち込む。
勝利のために必要なプレーよりも、自分たちのやりたいプレーを優先して弱体化していた以前の浦和ならありえない戦法である。
個人的には、いまの浦和が、ここ数年で一番いいチームだと思う。
代表選手たちは、ハリルホジッチから学んだものを、それぞれの所属チームで還元している。代表選手がいるチームといないチームで、戦術面で大きな差が開くかもしれない。
他の代表選手のいるチームがどのように変化したか注目してみたいと思う。
それでは、また次回。
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