ドイツ代表対スコットランド代表

ドイツ代表対スコットランド代表の試合。前半の終盤にスコットランドの右CBポーテアスがレッドで10人になり3-0となって完全に試合が壊れてしまった。なので前半だけの解説とする。

スコットランド代表の守備には大きな弱点が2つあった。ひとつは中盤の底のスペース。2CHのマクトミネイとマクレガーはどちらも攻撃的なタイプで、守備に難のあるペアだった。

特にマクトミネイの守備意識の低さはネックになっていた。しかしマクトミネイはチーム得点王。絶対的なCFがおらず、前の1トップ2シャドーをデコイに使ってマクトミネイのアタッキング能力をフルに活かすことでチャンスをものにしてきた。とてもマクトミネイは外せない。

CBを前に飛び出させて中盤の底をケアしたいところだが、もうひとつの守備の弱点が事態をより深刻化させていた。その弱点とはDFラインにカバーリングに長けた選手がいないことだ。

3バックの中央に位置するヘンドリーはヴァンダイク型のデカくて速くて上手いCBなのだが、動きが鈍くマンマークが不得手。ハイラインの背後をケアするスピードはあっても、周りが見えていないのでDFラインにギャップを作りやすい。

右CBのポーテアスはハードマーカーだがカバーリングは苦手。DFが前に飛び出すとDFラインがガタガタになって収拾がつかなくなるのだ。

そのためスコットランド代表のクラーク監督はドイツ代表のビルドアップに対してプレッシャーを掛けず、ゴール前の中盤の底にスペースを開けないことを優先。

前半は0-0でOKと割り切っていたのだろう。精神的に未熟な選手が少なくないドイツ代表の焦りを待つ作戦と思われる。パスの出し手を自由にする代わりにパスの受け手を潰すことでドイツ代表の攻勢をしのごうとしていた。

けれども前半10分でスコットランド代表のゲームプランが破綻してしまう。中途半端に前に寄せに行ったマクトミネイの背後のスペースをヴィルツに狙われ、あっさりと先制のゴールを奪われてしまう。

リードを奪われてはスコットランド代表も前に出ざるを得ない。ハイプレスを仕掛けに行くが、前半19分にまたも中盤の底をがら空きにしてしまって中央突破を許し、DFラインがガタガタになったところをギュンドアンからハヴァーツにスルーパスを通され最後はムシアラに決定的な2点目を奪われてしまった。

2点目が決まってからのドイツ代表は完全に体力温存モード。相手が引きこもっても、前に出てきてもゴールを奪えることを実証できたのだから、あとは疲労を残さずに試合を終わらせるだけだった。

スコットランド代表のクラーク監督は前半30分に5-4-1から5-3-2にシステムを変更。サイドのスペースを明け渡す代わりに2つの弱点に手当をした。もうこれ以上傷口を広げないことだけを考えるしかない状況。

このままグダグダになりながら試合が終わるかと思ったら低調な試合に飽きたのかムシアラが低い位置からドリブルを仕掛けてチャンスメーク。その流れからポーテアスの悪質なタックルによるレッドからの3点目がきまって完全に試合が終わってしまった。





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