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自衛隊に入るため痩せようとするデブの話 十二日目

その男は朝ぼらけに妙な歩き方で帰路についた。通気性がいまいち足りないズボンでいやというほど歩いたせいで、肥えた体ではよく擦れる太ももや尻のあたりに焼けつくような痛みを覚えていたからである。本当の自衛隊員も行軍の際には股にワセリンを塗るというが、今後もう一度似たような仕事にありつくときは絶対そのようにしようという気分だった。
そうして家に帰りつくとただちにシャワーを浴びたが、たかが40度のお湯が股ぐらに流れるとその男は少し跳ねた。ダイエットの決意を一層固くした。努めてその辺りにお湯が無遠慮に流れないように配慮しつつ身を清めると、男は朝の喧騒を子守歌に泥のように眠り、ようやく起きたのがさっきである。
その男の今日一日はこんなものであった。

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