本気の自動車選び【横須賀原動機研究所記録シリーズ№002】

スズキのスペーシアについて
前回5月22日の記述からだいぶ開いてしまい、すっかり忘れ去られてしまったことと思います。(たぶん誰にも見られていないであろうから、全く問題ないと思いますが)
仕事を辞めたら時間に圧倒的余裕ができると思っていました。定職に就かずいわばニートな生活を早5ヶ月、その間サボっていたわけではない!色々やった(つもりの)はずだったのです。

「今日はちょっと調子乗らないな…明日こそ頑張ろう」
そう言って本来の計画を先延ばしにしてしまいました。緊急事態宣言が漸次延長されていくのをいいことに。

ということで、スズキのスペーシア、これを作っているスズキ株式会社は今最も注目すべき自動車会社と個人的には考えています。
スズキは軽自動車メーカーとして一般人の感覚からはダサいと見られているようでネットでは「鈴菌」という一見ネガティブな愛称で呼ばれていたりするものの、スズキ製品の愛用者は「鈴菌感染者」として表面上は自虐的に、内心誇りに思っていたり、何かとすごいメーカーなのです。
私は車・バイクが好きで毎年のように買い続けていたのですが、これではお金がなくなっていくばかりということに気付き、車メーカー、バイクメーカの株式を買うようにシフトしました。株を持つとその会社のことをもっと知りたくなり、おかげで会社ごとの特色、個性を知ることができました。
スズキの作る製品は大抵安物です。安っぽいとも言われますが、「安っぽい」んじゃない「安い」んだ、なんです。ユーザーに手が届きやすく、汎用性があって、機能的に十分なものを提供し続けているメーカーです。
その点で世界で一番のユーザーフレンドリーな車メーカー、バイクメーカなのではないかと個人的には思っています。
脱線しましたが、現行のスペーシアは2代目、スーパーハイトワゴンとしてはパレットから3代目、もともとはダイハツのタントを横目に見ながら開発したであろう車で個人的にはあまり興味を持てない車種でした。
ですが、この3代目はすごくデザインを頑張りました。この段になると最早タントのパクリとは言わせないオリジナリティがあります。もちろん個性的ということは好き嫌いが分かれるデザインともなってしまいますが、きちんとデザインのツボ、文法ともいうべきものを押さえているのではないかと思えるのです。
デザインモチーフは「スーツケース」なのだとか、私はクルマに乗りたいのであってスーツケースに乗りたくない!とかデザインモチーフそのものの賛否・好悪はあるでしょうが、実際この代のスペーシアはよく売れているようなので、人々の心を掴むことができた良いデザインと言えます。
最初に私が乗ったのは修理中の代車としてでしたが、その時の印象はキャビンが広くて便利でノンターボの背高ワゴンだけれど走りも卒なくこなして「いいクルマ」、しかし将来こんな車ばかりになるのは寂しいことだなと思いました。実際今やスペーシアはワゴンRよりも売れていてスズキのドル箱となっています。
私としては車は低いほど良い、エンジンの回転数を把握したい、ついそう思ってしまうのですが、今回の車買い替え話が出たときに、頭を切り替えました。
そして2回3回と試乗させてもらううちに印象は好転してきました。
今どきの軽自動車はどれをとっても動力不足ということはありません。どんな急坂でも登ってくれます。もっとパワーが欲しい、加速して欲しいという感想を抱く人は多いでしょうが、30年前の軽自動車は大人4人乗ると本当に坂の途中で止まってしまうほどだったので、今の軽自動車は贅沢の極みです。
今までの長いんだか短いんだかわからない私の経験上、パワーが欲しければ素直にエンジン排気量を上げたほうがストレス無く、乗っていて楽しいです。(とは言えターボ付きの軽自動車であるジムニーを持っていますが、サードカーとして維持していくのに税金を押さえたかったので…)もし私が1台だけの条件で選ぶのなら、エンジン排気量は1,500cc前後、バイクだったら600cc前後がベストと考えます。(バイクは400ccもいいのですが今の新車は国内専用なので割高感がえげつないです、昔は安くて楽しいのがたくさんあったんですけどね)

また脱線してしまいましたが、スペーシアの走りは全般に渡ってソフトな優しい感じです。
背が高い車の割には安定しているのではないかと思います。オーバースピードで峠に突っ込まない限り大丈夫でしょう。
スペーシアは全車ハイブリッドです。メーカーはマイルドハイブリッドと言って区別しているようですが、ハイブリッドは何であれエネルギー効率が悪いものと考えている私からは理解の対象外でした。
ハイブリッドの機構そのものは既に100年くらいの歴史があり船舶や建設機械では当たり前のように使われています。これらの製造メーカーからエンジンのエネルギーを直接利用できないハイブリッドシステムはどうしてもエネルギー効率が落ちると聞かされたのです。
車の場合は回生機構を持っているので、減速時、ブレーキ代わりにモーターを回して発電しバッテリーに蓄電できます。そのおかげで幾分か効率は良くなるのだろうとは思いますが、高速道路を延々走る場合はエネルギーを回収する機会が殆ど無いので、市街地走行の条件が付きます。
トヨタのプリウス、ヤリスハイブリッド、日産のノートeパワーとかに使われている電動モーターは500Vもの高電圧の電気を使用しますが、スペーシアは発進時と坂道とかの高負荷時のアシストのみに割り切ったため24Vの低電圧です。
そのため「なんちゃってハイブリッド」などと揶揄されたりしますが、2種類以上の動力源を掛け合わせていれば立派に「ハイブリッド」と言えます。
実際に乗って感心したのが、発進時のモーターによるスムーズさ静かさです。現代は環境を考えてアイドリングストップ機構が当たり前のように付いていますが、一時停止するたびにエンジンが停止・始動を繰り返して煩わしいことこの上なかったりします。特に住宅街では一時停止線で一度止まり微速前進して交差する道路が見渡せるところでもう一度停止するので始動の音と振動が大きい車は特にストレスが貯まります。スペーシアの場合はそこがストレスフリーです。それこそがスペーシアのハイブリッドの最大のメリットです。
上り坂では言われないと分からない、これはターボ付のジムニーでも特段パワフルとは感じないので私が鈍感なだけかも知れませんが、軽自動車は坂道登れれば御の字と思います。本当にパワーが欲しければ排気量を上げましょう。

内装については、シートもハンドルまでも明るくて(グレードにより変わりますが)開放感があります。フロントウインドウが立ち気味でルーフがかなり前に出ているので信号機がルーフに隠れて見えない場合があります。ラパンよりはだいぶマシですが。
収納関係は至れり尽くせり外車乗りからすると羨ましい限りですね。特にリヤシートを荷室側からスライドして任意に広げられるのが良いです。ラパンはスーパーの買い物カゴが荷室にギリギリ入らない、リヤシートを立てればギリ入るのですが後ろに乗る人が大変です。
あとリヤシート側に巻取りサンシェードが付いているのがいいですね。昔は高級サルーンにしか付いていない装備だったので憧れでした。今は電動スライドドアとともに大抵のスーパーハイトワゴンに付いているのを知り隔世の感があります。

もともとスズキ車を2台持っていることもあり、ディーラーで何回も見ているうちにもうこれで良いんじゃないかな、とも思ったのですが、私にとってどうしても譲れないところが判明しました。それはタコメーターが無い、いや、実はヘッドアップディスプレイに表示できることが分かったのですが、全方位モニターのオプションを付けてナビもつけないことにはヘッドアップディスプレイを付けられないとのこと。正直な話カメラもナビも不要でタコメーターだけ欲しいのですが、それはできず追加で20万円以上の出費となるようで、なんとも残念です。
あと残念といえばハスラーやワゴンRに積んでいる超ロングストロークの新型エンジンR06D型ではなく従来型のR06A型のところ。実際は私には体感できるほどの差は分からない(R06D型エンジンのハスラーとワゴンRにも試乗しました)とは思いますが、やはり技術屋としては新型のほうに興味があります。近いうちにマイナーチェンジでR06D型になるであろうことが想像できるだけに残念です。

以上、私の備忘録としての記述なのでインプレとしてはだいぶ偏った記載だとは思いますが、明らかに情報が間違えている箇所は後日修正しますが、この文体で順次他の車も書いていきたいと思います。

もし読んでいただける奇特な方がいらっしゃいましたら、ご苦労さまです。感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。

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