8/29(金)日本酒とシソ

 幼少期より公園で所在なさげな老爺が”ソイツ”を手にしているのを見る度「ああなってはだめだ!多分、ロクな大人じゃない!」と頭の中でシグナルが発せられていた。が、今日という日。夕飯の買い物中、ふと目に入った”ソイツ”は僕を誘い、気が付けばつられるように手を伸ばしていた。”ソイツ”の名は「鬼殺し」。安そうな紙パックに入った100円の日本酒だ。
 僕が飲酒するようになったのは、2年前ぐらい。それまでは一切飲めなかったし、飲まなかった。が、今の仕事上、飲みの場が多くなることは予想されていたのでなんとか下戸を克服。すると、克服を乗り越えすぎてすっかり酒好きになってしまった。イマイチ良い日本酒の銘柄というのがわからず、家ではもっぱらビールだったが「これなら失敗してもいいか」とつい”ソイツ”こと鬼殺しを買ってしまった。
 『公園で鬼殺しを飲む老爺』、『深夜に子供を連れてドン・キホーテにやって来るウェイウェイした若夫婦』、『松屋で悲しげな目で牛丼を食べる老夫婦』は、見てて何だかもやもやした気分になって来る。が、本人が幸せならそれに勝るものはない。バイクいじりに興じようが制服を学校から盗もうが、世の中、後ろ指差されても楽しんだもの勝ちだ。鬼殺しの魅力、しかと体験しようではないか。

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 帰宅し、つまみを作る。ビールのつまみならヨーデルでも歌いながらバカ面して油ドバドバ入れてればそれっぽくなるが(偏見)、日本酒のつまみは作ったことがない。ということで、文明の利器に頼って完成したのが茗荷の味噌大葉巻。うまい。

 肝心の鬼殺しはといえば、うまくない。うまくないというか、合わない。酒は飲みなれてないので言語化するのは難しいが麹感が強い。口に含む度、甘ったるい麹の軍団達が怒涛に攻めてくる。軍団の長の名前は、もちろん、今田麹だ。……あぁ?なんか文句あっか?
 とにかく、だ。僕ぁもっとキリッとしたやつが好きだな。吟醸とか大吟醸とか、よくわからないけど。

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