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「もしもし、俺だけど。ばあちゃん?」 ガチャリ。 小林はまた電話を切られていた。これで五百回目。振り込め詐欺対策の成果だろうか。最近はこんな詐欺に引っかかる人なんてほとんどいなくなった。 三百万円欲しいだけなのに、誰もくれやしない。 小林が静まり返った携帯電話を眺める。煙草に火をつけ、ため息を隠すように大きく息を吸い込んだ。 どっしりとソファーに腰かけ、仕方なく天井を見つめる。 「まあ、なるようにしかならねぇからな」 小林が俺の方を見て、困ったように笑っ