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20230618秩父郡皆野町・西関東連絡道路

 しゅっぱつ!すいっと探険隊。今回は、秩父郡皆野町の探検です。埼玉県西関東連絡道路建設事務所では国道140号が今後どのように便利になっていくのかお話を伺いました。出演は、すいっとプロジェクト代表の樽見潔、ナビゲーターはFMクマガヤの蓮沼千尋さんです。

 国道140号は、熊谷市から秩父市を経由して山梨県南巨摩郡富士川町を結ぶ一般国道。熊谷市の起点は、熊谷警察署前交差点。熊谷周辺では「秩父街道」と呼ばれることもあり、昔から秩父方面との往来に使われてきました。かつては、自動車で秩父市の先、山梨県へ越境することはできませんでしたが、1998年(平成10年)に雁坂トンネル有料道路が開通すると、山梨県甲府市方面へ自動車で往来できるようになりました。

 さて、この国道140号のルートですが地域高規格道路「西関東連絡道路」に指定されています。雁坂トンネル以降もバイパスやトンネルの建設が続いていて、今でもどんどん便利になっているそうです。そこで、皆野町にあります埼玉県西関東連絡道路建設事務所に取材して、詳しいお話を伺うことにしました。



皆野駅
観光地図

 秩父鉄道皆野駅に降り立つと、周囲の山々がきれいに見えます。駅前の大きな観光地図には町の中央に荒川が描かれ、美の山公園、秩父温泉、秩父華厳の滝の名前も見えます。駅前には、とんかつ屋さん、割烹料理店のほか、鰻屋さんが2軒もある。なお、鰻屋さんは親鼻駅の近くにも1軒あるそうです。こぢんまりとした町に鰻屋さんが3軒もあるのは驚きました。

 通りに出ると、「みなのんち」という観光案内所があり、その前が路線バスの発着所になっています。ほかに市街地には食料品店、薬局、コンビニなどお店が並んでいました。そして、花屋さんも目立ちます。あたりには3軒はあったでしょうか。不思議です。


アトラス


えびピラフ

 ちょうどお昼でしたので、「みなのんち」からほど近いお店にお邪魔しました。緑色の建物が印象的な喫茶店「アトラス」。窓が大きくて明るい店内。私は「えびピラフ」を頂きました。スープ付きなのがうれしいです。ピラフはふわっとした仕上がりで、あっさりしたお味で大変美味しかったです。

 お店のご主人と奥様は行田から来た私を温かく迎えてくれました。以前は矢尾百貨店皆野店があったこと、秩父鉄道が荒川に鉄橋をかけたときのお話など、いろいろ教えてくださいました。お店には近所の方でしょうか、気軽に皆さん立ち寄られコーヒーを口にしていきます。また、ご主人とも気さくにおしゃべりをしていきます。こういうお店は大変貴重ですね。

 さて、音楽を。漫画「のだめカンタービレ」のアニメ版主題歌から選びました。「のだめカンタービレ」の作者二ノ宮知子さんは、皆野町のご出身です。

曲ⅰ SUEMITSU & THE SUEMITH「Allegro Cantabile」


西関東連絡道路

 国道140号がもっと便利になる西関東連絡道路の整備が進められています。詳しいことを知りたくて、埼玉県西関東連絡道路建設事務所で取材させていただきました。お話を伺いましたのは、総務用地担当部長の髙田尚久さんと、建設担当部長の中山洋さんです。ありがとうございます。

 まず、西関東道路と地域高規格道路についての説明を頂きました。
 西関東連絡道路は、埼玉県(関越自動車道花園IC)と山梨県(新山梨環状道路)とを結ぶ地域高規格道路で、広く北関東と甲信・東海地方の人や物の交流を促進し、経済・観光等の活性化を目指す広域的な幹線道路です。埼玉県内では、これまでに皆野寄居バイパス(平成16年度全線開通)および皆野秩父バイパス(平成29年度全線開通)が開通しています。令和3年度から、大滝トンネル本体工事に着手しています。また、令和4年度より長尾根バイパスが事業化されました。

 地域高規格道路とは、高規格幹線道路を補完し、地域の自立的発展や地域間の連携を支える道路として指定された路線です。自動車専用道路もしくは、これと同等の企画を有し、概ね60㎞/h以上の走行サービスを提供できる道路として整備を行っています。

 以上の頂いた説明からわかるのは、西関東連絡道路は高速道路ではないものの地域高規格道路ですので立派な道路であるようです。実際、私が皆野寄居バイパスを利用したときには、信号はなく、ほかの道路とはインターチェンジで接続されるので、大変スムーズに走ることができました。

 西関東連絡道路の計画は、全体で約110㎞になり、そのうち埼玉県区間が約76㎞、山梨県区間が約34㎞だそうです。完成すれば、時速60㎞で走行するとして2時間弱の所要時間となることでしょう。

 グーグルマップで、熊谷駅から甲府駅までクルマを使った場合の所要時間を調べてみました。それによると、圏央道の八王子経由で2時間23分、秩父経由では2時間47分となりました。今後、バイパスやトンネルの整備が進むと秩父経由の所要時間はより短縮されると見込まれます。

 具体的な時間短縮効果についてですが、皆野秩父バイパスは荒川の左岸を通りますので、たとえば花園インターチェンジから秩父ミューズパークまでは、バイパスを利用しないと56分のところバイパス利用では28分に半減したそうです。

 事業中の大滝トンネルは、完成すると現道約7.2kmが、約2.4kmに短縮されるそうです。もともとこちらの区間の現道は、落石や岩盤崩落の危険があり、また迂回路がないため道路が寸断されると避難や物資の輸送に大きな支障があります。ショートカットだけでなく、それらの課題解決も込みでトンネルは建設されるとのことです。なお、大滝トンネルの建設工事については、進捗状況が埼玉県西関東連絡道路建設事務所のホームページで毎週更新されているそうですので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
 熊谷から山梨県へのルートは、今後ますます進化していきます。

曲ⅱ KIRINJI「再会」

 今回取材にあたり、皆野町のことは右も左もわかりませんでしたので、皆野町の知人から情報を得たり、役場に駆け込んだりもしました。役場の方には、親切に教えていただきました。もうすぐ秩父高原牧場では「天空のポピー」がきれいに咲くよ、とか、地元での消費が主だった「ジビエ」を皆野町を訪れる人たちにも提供して行くよ、などなど。なかでも、地域おこし協力隊の方が面白い取り組みをしているとのことで、その現場に行ってみました。

 皆野町三沢地区。そこは山あいの川べりの場所。敷地の中では建物の建築が進められていました。「僕らのミナノベース」は地域おこし協力隊松藤裕也さんが準備を進めている、アウトドアサロンです。サロンですから人が集まる場所、社交の場です。地域には人と経済に新たな刺激をもたらし、来訪者には居場所と新しい人間関係を。そして、子どもたちには遊びと学び、生きる力を学ぶ場所を提供したいのだそうです。カフェバー「鹿のねどこ」、キャンプサイト、キャビン、テントサウナなどを備え、テレワーク、アウトドアスポーツなど様々なアクティビティの場になるのだとか。松藤さんは「スーツで来ても大丈夫ですよ」と話していました。開業は、2023年秋になる予定だそうです。

 ほかにも皆野町では、ワーケーションのための施設が開業しています。


みなのLABO

 みなのLABOは、ラボ機能を備えたコワーキング施設とカフェ。3Dプリンター、3Dスキャナ、レーザー加工機など最新鋭の機械をものづくりに使うことができます。


みなのsubako

 みなのsubakoは、山間の静かな宿で静かな環境で籠って仕事ができます。私も利用させていただきましたが、特にコワーキングスペースは山がきれいに見え、空気がおいしく、窓を開ければ川の流れを耳で感じることができる、とても気持ちの良い空間でした。


コワーキングスペース

 皆野は山に囲まれていますが、西関東連絡道路など交通の発達と、インターネットの普及により、地理的な制約は昔ほどではなくなってきています。とりわけインターネットが発達したいま、先ほど紹介したようなワーケーションの場を作る取り組みもできるようになりました。


天空のポピー

 さて、日を改めて、天空のポピーを見に行きました。皆野駅から秩父鉄道のツアーバスを利用して、山の上の秩父高原牧場へ向かいます。こちらのバスには、同じ電車だったと思われる15人ほどが乗っていました。女性の方が多いですが、なかには男子高校生らしきグループもいて彼らの動機に興味津々でした。会場まではバスで20分くらいだったでしょうか。秩父高原牧場には、真っ赤でかわいらしいポピーの花々があたり一面に咲いていました。そしてその向こうに山並みと青空が広がっていて、開放感が抜群でした。


チャンポン

 街に降りてきた後は、チャンポンハウスさんで美味しいチャンポンを頂きました。市街地へ来てみると、お花屋さんが目立つことが再び気になりました。お花屋さん「マルト花店」に立ち寄りお店の方とお話をさせていただきました。店内には、バラやかすみ草、カーネーション、それに胡蝶蘭など、色とりどりのお花が並んでいました。

 あたりに3軒ありましたが、以前はもっとあったという皆野のお花屋さん。お葬式やお墓参りなどの仏事、お祝いや記念日など、お花が使われるシチュエーションなどお店の方と話してみました。結局のところ、皆野にお花屋さんが多い明快な理由はよくわかりませんでした。しかし、興味深い話を聞くことができました。以前はご夫婦で買い物に見えられても、男性が店内に入ってくることはほとんどなかったそう。近頃は、例えば母の日に奥様へカーネーションを贈るなど、花を贈る男性が増えてきました、とのことでした。とても大切なお話を聞くことができたと感じました。

 皆野町では、このあとまたお花が楽しめるシーズンが訪れます。6月下旬から7月上旬頃まで美の山公園では「天空のあじさい」が楽しめるということです。

 高村光太郎の詩集『智恵子抄』には「東京に空がない」とあります。しかし、皆野にはほんとの青空がありました。そしてその青空は、これからも遠く、高く、果てしなく広がっていくことでしょう。

 今回、埼玉県西関東連絡道路建設事務所そして皆野町を取材するにあたりご協力くださった皆様、大変ありがとうございました。そのうちのおひとり、皆野町副町長の黒澤栄則さんから頂いたメッセージを最後に紹介します。

 「西関東連絡道路は、熊谷市をはじめ、皆野町と他の地域を、より短時間でつないでくれます。様々な交流から起こる化学反応を期待しています。樽見さんとの交流も嬉しい、嬉しいその一つ。皆野町の魅力については樽見さんからご紹介頂いたと思いますが、今月20日頃から美の山のアジサイが見頃を迎えます。8月はぶどうの美味しいシーズン。8月14日には町の一大イベント『秩父音頭まつり』が開催されます。皆さんのお越しを心よりお待ちしています。」

曲ⅲ Superfly「愛をこめて花束を」


放送終了後の写真

今日おかけした曲
・SUEMITSU & THE SUEMITH「Allegro Cantabile」
・KIRINJI「再会」
・Superfly「愛をこめて花束を」

(樽見 潔)

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