ゆでたまご男子は日本の宝

20歳前後の育ちが良さそうな大学生、"ふつうの"大学生がしないような経験を積んだと自負しているふつうの大学生。そんな、まばゆい彼らと話をしてると、その顔が、出で立ちが、もうわたしには完全にゆでたまごに見えている。ああ愛しい。等しく愛しい。

メタファーとかでなく、浮かぶ、ゆでたまごそのものの画。




大学生の頃、コメダでアルバイトをしていた。
店によって違うかもしれないが朝7:30に店につけば大きなザルにたっぷりゆであがった50個近いゆでたまごちゃんたちが集結。いつも同じ温度で同じ分数、同じノリのゆげにつつまれながら調理台に置かれるゆでたまごちゃんたち。みんな愛しい。みんな等しい。



ゆでたまごくんたちはと言うと・・・

・まず真剣に、肌がゆでたまごのようだ。雪肌精のCMのガッキーかな?と目をこすりたくなるくらいに頬のいちばん高いところにあつまるまるい光。同世代の女の子より、10年前の20歳より美しくぷるんと宝石のよう。


・そして育ちがゆでたまごのようだ。【沸いたお湯で茹でられる】それだけの行程でできあがる最強卵料理ゆでたまごよろしく、波瀾万丈も苦労もなく育っていそうなそのシンプルさ。感服のためいき。


・さらにはファッションがみんな瑛太。かんぺき。さすが都会、高校の頃から渋谷や表参道に頻繁に通ってきた男子達はつま先から息づかいまで都会にそまる。ハンカチーフください。それは均一に、まったく同じ姿でザルにのるゆでたまごの整列そのもの。


・きわめつけはやはり、自己肯定感。名古屋にはいろんなモーニングがあってもはや茶碗蒸しやお寿司がついてくるモーニングまであるけれど。やはり昔ながらの喫茶店やコメダはゆで卵が鉄板。名古屋全土、全世帯からの絶大な信頼を得て口に運ばれるゆでたまごちゃんたちの誇らしさ。自尊心。存在意義。ゆでたまごにうまれてよかったと思った気持ちのまま茹でられ食べられいつだってしあわせ。こんなオレ最高。確固たる自信。




そんななか。

【トースト】+【ゆでたまご】が無料でついてくるというコメダのモーニングに去年、はじめて変革がおこった。


なんと
【トースト】+(【ゆでたまご】or【たまごサラダ】or【あんこ】)
と、いきなりゆでたまごが毎朝オーディションを受けさせられるようになったのだ。



これは、【アッコにおまかせの司会は和田アキ子】、という共通認識を根底から覆され、毎週毎週司会者を【和田アキ子】or【宮根誠司】or【上沼恵美子】からオーディションで選ぶような。和田アキ子が最大に気を引き締められる窮地というか、そんなはずなんだけど。

そうなっても和田アキ子は動じない。
絶対に毎週自分が選ばれると思っている。

おいおまえらわたしをなんだとおもってんねん。和田アキ子やで?よくしゃべる兄ちゃんと関西のおばちゃんといっしょにすんなよ?紅白歌手やで?おい勝俣!とおっしゃるような、ゆでたまごの姿が目にうかびます。

そう、このまえ久々にコメダにいったら、
調理台付近のカウンターに、あの日にようにザルに大量にゆであがったゆでたまごちゃんたちが入っていた。量はあのころとかわっていない。3択になったにも、かかわらず、である。頼まれる量がもし少なかったら、茹ですぎちゃったら届く頃には冷めちゃうというリスクもあるのに、も、かかわらず。である。


「20歳をすぎ、
これから君が、社会にでて、いろんなライバルにもまれて、選ばれたり蹴落とされたり差別化をしたり挫折したりするかもしれないけど、でも君は、だいじょうぶだよ。いつだって、そのままの君で大丈夫だよ、」と、ゆでたまごくんたちの母親からの声がきこえた気がした。
コメダの店長がゆでる量を変えない愛と似ている。


きみは特別だよ。


その声や視線やおもいは、確実に、もうもうと美しいゆげとなり、キコキコと薄固い殻として、君を守ってくれるだろう。

20歳の君たちは、仕事できなくてもほぼ準備してこなくても敬語が使えてなくても失礼な行動をとっていてもそれら自分のふがいなさに気付いてなくても、絶対的にかわいい。

ここまでゆるふわな有機物、ほんと、"この時代の20歳"かゆでたまごかくらいだよ。そう。日本の宝だよ。

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