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【元彼かく語りき】あれは愛情ではなかったけれど【後編】



<<これは2024年2月スタート「メンヘラハッピーホーム2024」の記事です>>

※これは、cakesで2016年から連載された「メンヘラ・ハッピー・ホーム」の過去記事に【2024現在のSUISUIからの新解釈ミニエッセイ】が追加されているアップサイクル連載です(記事最後に追記部分があります)。あの頃「脱メンヘラした!」とか言ってほんとすいませんでした!逆に今こそこの連載を一緒に読んで、再生しあって考えていこうよ!お付き合いください。


なぜ別れなければいけなかったのか

—— 前回は、ラスボスさんの女性観というかメンヘラ観をお聞きしました。今回はスイスイさんとどうしてうまくいかなかったのかを聞きたいなと。別れたいきさつは覚えてます?

ラスボス 覚えてます。スイスイさんのバイト先の迎えに、いつも行っていたんです。ただ一度、どうしても行けない日があったんです。たいがいの用事だったら迎えを優先するんですけど、なんでだったかどうしてもその日は行けなくて。

—— はい。

ラスボス その時にたぶん彼女は、元カレに迎えにきてもらったんですよね。

—— ここにきて元カレが再登板ですか。

ラスボス 出来事としては、それだけです。

—— スイスイさんは「浮気と勘違いした」と言っていますが。その疑わしき行為に、ブチッときちゃったんですか?

ラスボス ただ、迎えに来てもらっただけみたいですけど、実際に浮気をしてたかとかそういう問題ではないですね。

—— と言いますと?

ラスボス 僕は菩薩というか奴隷だったんで、たいていのことは「いいよいいよ」って、全部やってあげてたんです。でもそれだけは許せなかった。それで、「あ、じゃあ、もういいです」って。

—— 「俺の代わりなんて簡単にいるんだな」って感じですか?

ラスボス そうですね。いままで毎回送り迎えしてる中で、迎えに行けなかったのはその一回だけなのに、そこも我慢できんのか、と。

—— かけがえのない存在として彼女の側にいるつもりだったのに、そうでなかったことに傷ついた?

ラスボス いや、かけがえはあったと思います。僕の代わりはぜんぜんいると思ってました。それでも当時、代わりを出させないような努力はさんざんしていたのに、結局それだけしても、別に自分じゃなくてもいいんだっていうのが、その一件で明らかになったんですよね。そんな迎えの一回くらい、我慢したらいいじゃないですか。チャリ乗って帰ればいいんです。

—— しかも、それを不実とすら認めない。

ラスボス 向こうも、どこまでなら許されるのかっていうのを試しているというか、楽しんでいる節がありました。

—— スイスイさんがわがままを楽しんでるっていうのは、当時から感じてたことなんですか?

ラスボス そうですね。結局別れるきっかけになった出来事も、本人的にはその延長で、許されることだと思ってたと思うんですよね。でもそれは、愛を試すとかとはぜんぜん別の話で。だって、僕に対するわがままじゃないですから。

—— 他の人にも甘えるのかと。

ラスボス なんで、「もういいや」ってなっちゃったんですよね。

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