今週のハニー「演出助手」【池山】
気がついたら春でびっくりしてます。
池山ユラリです。
気がついたら4月になってたよ〜
3月ほぼ記憶がないよ〜
というわけでほぼ記憶がないながら、ようやく今更ながら彗星マジックプロデュース公演“ギフト”「アルバート、はなして」で私が何やってたかを超赤裸々に振り返りしようかなと思います。だいぶみんな既に擦ってはいるけどね…
まあ言っても今の私はあの20日間の具体的な記憶がほぼないからな!
というわけで
ここからはフィクションだと思って読んでくれよな!
演出助手?しましょうか?
さて、時は遡りまして今年の1月。知っての通り、ギフトに参加したい!と表明してくださった方がわんさかいまして、ここからどうする?という彗星会議をしていた時でした。
わたしは“普通に“役者として参加するつもりで会議にいたのですが、よねまりさん(米山真理)から「これだけ多かったら演出助手いるかもね」という発言。
「演出助手か、よく聞くやつだな。でも彗星で演出助手ってついたことないよな。演出助手って何するの?」という池山ユラリの心の声。
そう、彗星マジックでは今まで演出助手という名前の存在がいなかったので、具体的に何をするかがよく分かってなかったんです。何をするかさっぱりわからない存在だったので、「いるんかな?演出助手?」という気持ちを残してその日の会議は解散。
そしてその一週間以内ぐらいわたしはお腹を壊し、ギフトの仕事がまーたく何にもやれない状態になっちゃったのですが、その時期に勝山さん(勝山修平)から
「ヨネが演助やろうかって言ってくれてるんだけど…でも今後のことを考えたらユラリがいいならユラリが演助してくれた方がいいんじゃないかなって思って。」
と直接言われました。
「そりゃそうだ!よねまりさんには出て欲しい!わたしも最近では一応演出の端くれ!演出助手?なんかよくわかんないけど演出ってついてるし!やるやる!」と再び池山ユラリの心の声。
まあ実際声に出たのは「あ……じゃあやろうか……」って感じでめちゃくちゃか弱い声だったのですが。お腹壊してたし。気持ち悪かったし。「でもわたしここ一週間ぐらい仕事できないポンコツですけど大丈夫ですか…?」とも確認しました。その一週間ぐらいほんとにポンコツだったし。何も出来ないし。気持ち悪かったし。
「ここ一週間の仕事ぶりで判断してないよ」という慰めを受けつつ、その時池山は演出助手という池山にとっての未知なる職種につくことに決まりました。
で、結局演出助手って何なん?
決まった後からギフトのオーディションが始まりまして、会う人会う人に「今回演出助手をします…」と自己紹介をしつつ、「でも結局演出助手って何なんやろうな…」と思いつつの日々。で、調べました。
演出助手とは。
このサイトが最初に出てきました。なるほどなるほど。ただ、スケジュール調整は既によねまりさんが組むことに決まっていまして、じゃあ、早めに香盤表でも組んでおくかと。
こんな感じで。台本を読みつつ、2020年に上演しました「アルバート、はなして」の時の記憶を辿り、「この人…ここのシーン多分でてたと思うから…今回も必要かしら…」と予想をつけつつ。
(ちなみに2020年バージョンでは池山はマヤを演じてました)
まあ結局!この香盤表!
ギフトをご覧いただいた方にはご存知の通り!
全く使わなかったんだけどな!!!
そして3月1日稽古開始
「演出助手って具体的に何するといいですか?」と勝山さんにお聞きしたところ
「うーん…何でも屋さん?」
と、イマイチピンと来ない返答。
「あ、でも役者が芝居しやすい環境を作るのがいいと思う」
…なるほど!池山、この時の言葉でようやくピンときました。なるほどなるほど。何となく「演出」の方に名前が引っ張られてしまって演出家の助手、というイメージになってたからよくわからなかったんだけど、
「演出(を受けやすい、しやすい環境を作るための)助手」って思ったらいいのね!
というわけで、これを指針にして20日間私は動くことに決めました。
「彗星マジックのしごでき女(仕事出来る女)におれはなる!」と決意を固めつつ。
結局わたしが具体的にやったこと
・とにかくメモをする。
とにかく勝山さんが言ったきっかけを全てメモ。全体への空気感の作り方に対する言葉やダメ出しをメモ。稽古の後半期間は役者個々人のダメ出しもしっかりメモ。
稽古が終わったあと家に帰ってそれをまとめ直し、全体共有をする。
これがほんとにめちゃくちゃ大変だった!自分が役者として書く場合は自分がわかるようにきっかけを書いたり、思い出せるようにダメ出しを書けばいいんだけれど、全体の共有として、みんながわかりやすいように咀嚼し書き直す、というのがとにかく大変だった。しかもめちゃくちゃなスピードで段取りがついていく。とにかく20日間しかないから、どんどん詰め込む詰め込む。何てったって、勝山さんが黙ってる時間がほぼない!
役者側も大変だっただろうし、本当に勝山さんも大変だっただろうし、私も大変でした。みんな頑張ったということで!
・稽古動画を撮ってアップする。
本当はきっかけを後ほど攫うために動画を撮っていたのですが、きっかけを攫うためにシーンを流して動画を撮る、という暇がなかったので、稽古場ではほぼカメラを回しっぱなしにし、そこから家に帰ったあとに動画をチェックし、厳選してアップ。そして上記のメモとともに全体共有をしていました。この瞬間はうちのWiFiとiPhoneがめちゃ頑張ってくれてました。後半はキャッシュが溜まりまくってしまい容量不足になっちゃったりとか。
・プロンプをいれる。
プロンプとは、台詞を忘れた役者に台詞を飛ばすことです。稽古期間が短いこともあり、みんな台本を外したり外さなかったりが早めだったのですが、台詞が飛んじゃう。もちろんそう!だってこの期間は段取りにも追われて大変だもん!!というわけでプロンプを飛ばしてました。ただ、これに関しては本当に難しくて…メモ書いたり、役者陣から連絡が来たり、「あれ今のきっかけあってたかな…?」とか考えた瞬間に次のシーンに何が起こったかわからなくなってプロンプ入れれなかったり。あと、いろんなことを考えてみてると「今の間って、台詞忘れた間なのか…?!」という瞬間が訪れたりして、上手く判断できず。「私に脳みそと、目があと倍あれば…!」とかいっぱい思いました。倍あったら怖いって。
ちなみに代役とかは、別チームの方がやって頂いたり、他の方が率先してやってくれたりしました。めちゃくちゃありがたかった。代役に入るのは池山には許容量オーバーでした。
・たまに音響をする。
勝山さんが音響だったので、ほぼほぼなかったのですが、稽古中勝山さんが立ち上がってる時はたまに音を出したりもしました。
・稽古で足りないところを演出に相談。
よねまりさんが稽古スケジュールを組んでいってくださり、また「どのシーン足りてない?」と聞いてくださり、とてもスムーズに稽古は進んだ!と思うのですが、シーンからシーンの間の段取りがついてなさそう、曖昧のままにしてる、ところを稽古前に攫って、勝山さんに連絡して「こことここはやった方がいいと思います」という相談とかしてました。
・役者陣やスタッフ陣の連絡をとる。
「今日の稽古お休みします」「稽古場何時に到着となります」の連絡を受けおったり、制作関連や照明関連の連絡や、「これやっといた方がいいと思う」とか「これってどうなってます?」とかとか積極的に言うようにしてたり、コネクトの係を積極的にしてました。まあこれに関しては半分劇団員としての仕事かな?とも思います。
・舞台のサイズを測る。
これも多分彗星にとっては劇団員の仕事なんですけど、メジャーと養生テープを毎日持っていき、稽古場で舞台上のサイズを測り、バミリしてました。でも結局これはみんな手伝ってくれた!
・稽古後半は少しお願い事も言った。
通し稽古が始まったぐらいから、きっかけや段取りに関してや、前演出はこう言ってたよな…とわたしが見て思ったところなどなどはわたしからもダメ出しさせてもらいました。あ、今更ながら「ダメ出し」って、あんまり好きな言い方ではないので、あれですね、「お願い事」をわたしからもさせてもらいました。ちょっとしゃしゃりすぎかな?とも思ったのですが、勝山さんがお願い事をする際に「じゃあまずユラリから何かある?」と聞いてくださったのもあり。こうやってまず聞いてくれるのはとてもありがたく発言しやすかったです。もちろん、わたしの話を聞いてくれる環境を作ってくれてる役者陣にも感謝でした。(ちなみに劇団員に対してはわたしには珍しくだいぶ積極的に直接色々言いました。笑 うるさいって思われてたかな)
そんなことをしていたら、ベクトルチームの今井お姉さんから「ユラリさんは演出助手じゃなくて演出補ですね」と言われまして。あまり違いがわかってなかったのですが、こちらも調べたら違うそうですよ!演出助手と演出補。へー!
・話を聞く。
出来てたかどうかは別として(まあ上記のこと全部出来てたかどうかは別なんやけど)、勝山さんが忙しそうな時に私が役者陣の話を聞く、などもしてました。一個前の「私からお願い事をする」ために話にいくこともありつつ、役者さんから「ここどう思います?」「ここどう見えます?」と聞いてきてくれたり。これ、めっちゃ嬉しかった!人に聞いてもらえるって嬉しいですね。でも上手に返答できなくて申し訳なかったり。人に言葉を尽くすって難しいー!
大体稽古期間はざらっとこんなかんじ。
小屋入りしてからは、劇団の仕事をしつつ(物販とか舞台の細かい仕込みとか)、連絡係をメインにしたり。場当たり中は音のレベルで気になったところを勝山さんに積極的に相談しました。あと、音響照明のきっかけを追ってたら見落としてしまってるミザンス(立ち位置)をみたりとか。でも音を聞きながら、ミザンス見る、は流石に同時に出来なくて、でもその時劇団員だったら小沼とか、別チームの人たちが「ユラリさんあそこの立ち位置おかしくないですか?」と言ってくれて本当助かりました。
あれ!わたしわりと助けられてばっかりだったな!ってか出来なかったところは他の役者さんに結構拾ってもらったな!
なので、残念ながら結局理想の「しごでき女」ではなかったのですが、でも色々自分が言ったり、言ってくれる環境が出来たというところは及第点としようかなと思います。
上記の仕事をするために必要だった持ち物
・台本2冊
2冊コピーした!1冊は段取りやきっかけ記入用。2冊目は演技面のお願い事の記入用。
・フリクションペン
3色。黒が段取りやきっかけ。青が2回目以降の稽古で変更になったとこ。赤が2回目以降のダメ出し。などわけて使ってました。最初はお気に入りのユニボールワンで書いてたんですけど、消せないペンはどんどん変更が出てくる稽古のメモには向いてません。
・小ちゃい3脚
動画撮影用に必要。100均。
・付箋
気になったところやお願いごとを言うための印で使いました。めちゃくちゃ付箋を稽古場に落としてました。
・メジャーと養生テープ
疲れすぎて「メジャー」という名称が出て来ず「ものさし…ものさしじゃなくて…ものさし…」と言ってた時期があります。
・ブルーライトカットメガネ
必須。気持ちの問題かもしれないけど必須。とにかく文字ばっかり見ていて目がバチバチにいたくなるので必須。
演出助手(演出補)やってみて所感
めっちゃ難しかった。というのが一言での感想。今何が必要か、今は話すべきか聞くべきか、の判断や、何より一緒に演技をしてないから役者陣に今何が起こっているのかがわからないことが多く、そこら辺に寄り添うことが難しかったです。
役者さん達にとっての良き空間。
今後演出やろうとする上でも、はたまた自分が役者として他の役者さんと芝居をする際、立ち位置違えど考えることです。そうゆうのを立ち止まって考えられる期間ではありました。
側から勝山演出、米山演技指導の言葉の尽くし方、相内照明を聞けたり見れたのはとっても勉強になりました。そして「セリフを言う」「舞台上に存在して生きる」ということがどれだけ大変で、どれだけ大事で、どれだけ尊いものかも改めて外から見て考えてました。これは今でもきっと考えきれてないだろなぁ。
…あと、結局世間体の演出助手(演出補)がどんな動きをしているかわからないのですが、わたしはこの仕事は彗星マジックでしか出来ないなあ〜と思いましたし、これは他現場では金銭が発生する仕事だな…とつくづく思いました。なので!演出助手を外部からつけようと思っている劇団さん!
演出助手はちゃんと雇いましょう!と!個人的に思います!!!全国の演出助手さんに拍手!
これを言いたいがためにこのnoteを書きました私は!!!
最後に。ギフト参加してくださった皆さんと芝居通して色々交流できたのは宝だと思います。しかもあんなに大勢と!すごいよ!わたし、「しごでき女におれはなる!」とか(心の中で)豪語してるくせにめちゃくちゃネガティブなコミュ障なんだよ!!!そんな人とみんな喋ってくれて、色々聞いてくれて、ありがとうございます。
心残りは、一緒に舞台に立たなかったこと、、、、
今度は役者としてもお会いしたいし、いつかわたしの作品にも出て欲しいです🫶
わたしもがんばるよ〜
おわり!
(ぶん・いけやまゆらり)
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