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銭湯津々浦々《月の裏側・天然温泉カランコロン》【小沼】

行きました。月。の裏側。
月の天然温泉カランコロン。
LCCCの軌道エレベータ使って。酔った。
月の整備された場所では基本的には磁力シューズが使えたので歩きづらさはそこまで感じませんでした!

あなたの月と心のオアシス〜天然温泉カランコロン〜

月史上初!

今回自分はゲストハウスへの宿泊プランを予約してたんですけど、なんと中継基地からの送迎つきでした。なんと豪華な。
ツアーガイドの方が基地で待っててくれて、そのまま彼女の運転するローバで送ってくださいました。というかこのツアーガイドの方、ほんとにいい人なんだけどとにかくテンション高くてちょっと疲れた。あ、あと走ったのは月面じゃなくて地下トンネル。月面走るか聞かれたけど移動疲れに会話疲れも重なって断っちゃった。月面走ればよかったかなー。

ツアーガイド兼学者の長庚(ゆうづつ)さん

ゲストハウスに着いたらひとまずチェックイン。フロントの人も癖強かった。めっちゃ熱心に昼ドラ観てるし。観すぎてツアーガイドの人に怒られてるし。かと思ったら二人でめっちゃ盛り上がってるし。

長庚さんとゲストハウスの責任者の熒(あかり)さん

●満点の星空を眺めることができる月で初めての天然温泉

すっっっっごかった。はるばる月まで来た甲斐があったってもんよ。
湯船から上を見上げると天窓があって、そこから望むのは満点の星空。
月には地球の比にならない量の隕石が飛来するから普通お風呂の天窓にガラス張るとか言語道断らしいんですけど、ここに住んでる研究者の人がレゴリス(月の砂)から強化ガラスを完成させたとのこと。とんでもないね。
湯船自体も軽く10人以上は入れるような規模の大きいやつで気持ちよかった〜。
月で温泉に浸かれるなんて本当に贅沢な時間でした。なんつったって史上初の天然温泉ですからね。
月の温泉ってなんか成分とか凄そう。

地球では味わえないその実態は是非あなたの目でご覧あれ。

研究者のトリトンさん

●お手製コーヒー牛乳でほっと一息

風呂上がりはやっぱりコーヒー牛乳。
でもこれ、市販のやつじゃなくてこの温泉自家製なんですって。えーすご。
なんでもこのゲストハウスの敷地内に農園があって、農夫も調理師もしてる人が自分でコーヒー豆育てて挽いて独自のブレンドでコーヒー牛乳作ってるらしい。というか牛乳もこの農園で育った牛の乳らしい。こだわりすご。
定番の味だね〜とはいいつつ、ミルクの風味が強くてまろやかな味のコーヒー牛乳で絶品でした。
レトロなコーヒー牛乳にこだわりすぎてるのか瓶の蓋が尋常じゃなく開けづらかったのだけムカつきました。

農夫兼調理師の歳(としの)さん

◆天然温泉カランコロン

よき湯でした。まさしく別世界。
食事付きにしたのでこちらで夕食もいただいたんですけど、食卓は全員で囲むのがここの社長が決めたルールらしくて、他のお客さんや従業員も含めてみんなでいただきました。ゲストハウスっぽいね。
もちろんその社長さんもいたし、上で書いたツアーガイド、調理師、フロントの人、研究者。それに加えてここの土地家屋調査士の人二人にお客さんがお二人。客より従業員の方が多いやないかい。

鶴屋社長

土地家屋調査士のお二人が洞窟を探索して水源を発掘したんですって。暗黒世界って名前の洞窟。名前かっこよ。
でも土地家屋調査士の片割れ、部下の子の天然炸裂っぷりがやばくて、土地家屋調査士できるのかちょっと心配。仕事はできるらしい。
上司的な人が一番常識人だったかもしれない。昔のゲームが好きらしくて、なんか色々ニッチなゲームの話してたなー。洞窟の名前もそこから引っ張ってきてるらしいよ。

土地家屋調査士の辰(たなみ)さんと鎮(しず)さん

あとご一緒したお客さんの方とゆっくりお話させていただきました。
お一方はなんでもここの常連の民俗学者の方らしくって、ありとあらゆるうんちくや考察がスラスラ出てくるわ、ちょっと悩み事相談したらすぐ核心をついたアドバイスをしてくれるわで凄い人だった。腕相撲が強い。

民俗学者の天道さん

もうお一方はこのゲストハウスカランコロンに長期滞在されている方。ここで療養されているらしい。
現代の文化にはかなり疎いらしくって、この日もTシャツを見て感動してた。疎いどころではなくない?

森系女子の雰囲気を感じるカナンさん

肝心の料理はもっと宇宙食的なのかと思ってたけど全然普通に料理だった!想像以上に普通の食事が出てきてびっくりー!基本的に全部自給自足らしい。ただ流石に月で海産物は獲れないから、海産物は滅多に食べられないし、地球じゃなくても海を作って漁師をするのが調理師の人の夢なんだってー。

個性的で素敵な人たちに囲まれて、どこか懐かしい雰囲気の温かいゲストハウスでした。繁盛期になったらお客さんも増えるし短期バイトの若い子達も来て賑やかになるらしいよ。

短期バイトの源(みなもと)さん、聖(ひじり)さん、平(たいら)さん


そんな天然温泉カランコロン、是非お試しあれ…です。

●天然温泉カランコロン●
住所:月の裏側のどこか
営業時間:大体いつでも
定休日:あんまりない
𝕏(旧Twitter):SNSできる人いなさそう
オリジナルタオル・オリジナルTシャツ・天然温泉水を使ったオリジナル化粧品あり。

※この記事は『あめつち工場カランコロン』に基づいた、大半を小沼の妄想が占めるフィクションです。

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