素朴で気分屋、壮大な自然に佇むHOTEL KUMOIに思いを込めて|偏愛、わたしのホテル #1
L&Gで働くスタッフや、いつも応援してくださる皆様と一緒にお届けしてきた「なくならないでほしいホテル」から派生して、新連載をスタート。ホテルの中の人を執筆者に迎えた「偏愛、わたしのホテル」をどうぞお楽しみください。
それまで京都を拠点に仕事をしていた私は、知らない山道でバスに揺られていました。
夜だったので一面真っ暗。バスのヘッドライトが照らすアスファルトと季節外れの残雪をぼーっと眺めながら、希望と不安が入り交じり、ソワソワではなくゾワゾワしていました。そうして辿り着いたのは、北海道・上川町に位置する層雲峡(そううんきょう)。
目的地に到着後も迷子のような気分でした。が、翌朝になると抱えていた不安は見事に吹き飛びました。
そこには今まで感じたことのない特大スケールの自然が広がり、抱いていた不安なんて本当にどーでも良くなったんです(寝たら忘れるタイプでもあります)。層雲峡には、そんな大自然の魅力と、大雪山の麓にひっそりと佇む温泉旅館 「HOTEL KUMOI(ホテル クモイ)」がありました。
某鉄道会社から転職、京都でホテルマンをスタート
私は某鉄道会社のエンジニア出身。業界という意味では全くの畑違いでしたが、メインストリームに中指を立てるというスタイルやミッション「BE A TRIGGER」に強い感銘を受け、2018年5月にL&Gへ入社しました。将来的には、地元である福井県に観光業から貢献することを目標に掲げています。
L&Gの1年目は「HOTEL SHE, KYOTO」で勤務しました。フロント業務はもちろん、マネジメント業務をはじめ、ホテル運営に関わるほぼ全ての業務に関わらせていただきました。入社半年〜1年に掛けては、前述のHOTEL SHE, KYOTOのリニューアルプロジェクトのPMなんて貴重な経験もさせていただき、楽しみながら業務にも慣れていきました。
(HOTEL SHE, KYOTOでスタッフとパチリ)
そんな中で1つの思いが芽生えました。もっと知らない経験をしたい、もっとマネジメントが難しい場所でイジメられたい、と。。はい。エムです(細かい経緯や思いについてはまたの機会に...!)。
リニューアル後のHOTEL SHE, KYOTOの運営も魅力的で後ろ髪引かれる思いはありましたが、経営陣に相談して異動させてもらえることになりました。2019年3月半ばに無事リニューアルオープンを果たしたこともあり、初期運用をブラッシュアップした後の同年4月、京都から北海道へ旅立ったのでした。
さすが北海道、施設のスケールも大きいKUMOIへ
L&Gが運営する5施設の中でも、最もスケールが大きいのがHOTEL KUMOIだと思っています。客室数は最も多く、リノベーションの継続や老舗設備の維持管理、加えて温泉、食事、地域との繋がり、インターン生の受け入れ等々、やるべき事が渋滞していました。
そこに萌えました。いや、燃えました。
2019年4月に異動して以降、それはもう慌ただしく時は流れました。
(HOTEL KUMOIに宿泊されたお客様とのひとコマ)
層雲峡は全国で最も早く紅葉狩りを楽しむことができるスポットのひとつです。昨年も例に漏れず360度全方位が紅葉色に染まり、国内外問わず多くのお客様に当館をご利用いただきました。
そんななか、ご尊老の4名のお客様が紅葉狩りを楽しみにHOTEL KUMOIを2泊3日で訪れられました。滞在中は生憎の雨予報。ただ、層雲峡は山特有でコロコロと空の様子が変化するので、天気予報が当てにならないことはしばしばです。私はその旨をお伝えし、見所スポットをご案内しました。
滞在2日目は予報通り、雨。お客様は「もう歳だし、友人同士で旅行できるのは最後かもしれないのになぁ」と落胆し、私も「明日は晴れるかもしれません!」と根拠のない励ましを送ることしかできず困っていました。そんな中、客室でおやすみになるお客様に駆け寄って、「明日は晴れるように私も願っておきます!」と他のスタッフがある物をお渡ししました。それは、てるてる坊主。お客様は本当に喜ばれていました。
最終日の3日目は曇りでしたが、お客様の顔は晴れやかでした。「てるてる坊主のおかげで濡れずに紅葉を楽しめたよ!ありがとう」。お帰りの際に立ち話をしていたら、やっと晴れ間が差し、気分屋のお天道様に呆れながらも一緒に記念撮影をしました。これは思い出のほんの一部。
支配人を務めて1年。KUMOIは休館に
新型ウイルスの影響に伴って、HOTEL KUMOIは休館しています。営業中の日々は、多くのゲスト様や地域の方々、特大スケールの自然と触れました。ゲスト様との旅行のお話、清掃に奔走したこと、地域の方とイベントを運営したこと、スタッフ同士で語り合った日々。数えきれない出来事が、滝のように、どれも昨日のことのように思い出されます。本当にたくさんの思い出がHOTEL KUMOIには詰まっています。
話は変わりますが、私はバイクが好きです。今は手放してしまいましたが、大学時代から6年間乗りまわし、愛車と一緒に色んな場所や人に出会いました。
でもコイツが曲者で・・・。夏は暑くて冬は寒く、メンテナンスには気をつけていましたが頻繁に故障しました(扱い方が悪かったのかもしれません・・・)。その度に呆れながらも原因を探して修理したものでした。バイクの手のかかるところが好きでした。
私にとってHOTEL KUMOIもそんな感じ。気難しい配管やゴミがすぐに溜まる屋根上も手を焼きましたが、手をかけただけ輝くことを、私はもう知っています。面倒を見たいものです。
一刻も早く新型ウイルスがおさまり、またお客様を笑顔でお迎えできる日を願って止みません。
明るい未来に思いを馳せて
HOTEL KUMOIで支配人を勤めはじめてからたった1年の中でも、これだけの思いがあります。全国の宿泊施設を運営されている方々には、それはもう言葉にならない程の思い出や愛着があるに違いありません。何とか耐え抜いて欲しい。その為にも今できることを精一杯考え、そう遠くない未来の光を大きくできるよう努めていきます。
最後に、HOTEL KUMOIのみならず、全国の素敵なホテルが「未来に泊まれる宿泊券」を販売しております。ぜひこの機会に、明るい未来に思いを馳せていただくと共に、ご支援いただけると本当に嬉しいです。
それでは、また直接お会いできる機会を楽しみにしております。皆様、くれぐれもご自愛くださいませ。
文:池田 智哉(HOTEL KUMOI 支配人 / L&G GLOBAL BUSINESS)
【👼HOTEL SOMEWHERE 編集部より】
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