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溢れる探求心のその先に。|なくならないでほしいホテル Vol.5

「HOTEL SHE,」などを運営するL&G GLOBAL BUSINESSで働くスタッフや、いつも応援してくださる皆様と一緒に「なくならないでほしいホテル」という連載をはじめました。絶対になくなってほしくない推しのホテルを主観たっぷりでお届けします。

はじめに答えを言ってしまうとそれは・・・

「HOTEL SHE, OSAKA」です。

前職は昨年のちょうど今頃プロキシーファイトなるものでちょっと界隈を賑わせたことのある、住設機器メーカーのグループの不動産部門。プロパティマネジメントや有休不動産活用、新規事業開発をしていました。

前職の不動産業界から見えた、ただならぬ存在感

2017年が明けてすぐの頃、不動産業界で東奔西走していた私は、山陰地方にある電子部品メーカーとの商談に力を注いでいました。同社は事業多角化の一環として宿泊事業の新規出店を検討中。土地開発から事業計画、デザイナーや設計者、ゼネコンのアサインなど、私が所謂PMを担当していたのです。出店先はいくつかあった候補地の中から大阪の南船場に決め、土地の決済も無事に終え、ほっと一息。

季節は秋半ばに差し掛かっていたでしょうか。コンセプトの策定やキラーコンテンツの開発に取りかかる中で、「音環境にこだわっていくのとか面白いですよね」と会話の繋ぎ程度のつもりで、アイデアというにはあまりに稚拙な投げかけをこの取引先にしてみたところ、思いのほかオーナーに響き、慌ててあれこれディグっていく中で出会ったのが以下の記事でした。

L&Gは、当時からさまざまなメディアで取り上げられていました。しかし、私が感嘆したのは、「現役の東大生が起業」「全国の複数拠点でホテルを経営」といったキャッチーなコンテキストではありませんでした。

いわゆるモダンな出店条件とは全く趣の異なる、大阪港区の裏寂しい雰囲気すら漂っていた弁天町という立地。ましてや駅からそこそこ距離のあるロケーションで、全室にアナログレコードプレーヤーを置き、ラウンジにはサードウェーブ系のコーヒースタンドをインストール(※現在は自主運営中)した、ソーシャルでジャケ買いされるホテルを目指すという、畏敬の念すら覚える意思決定がなされた点でした。

とはいえ、「種々のパラメータの介入で凡庸化」といった業界あるあるに陥らずに実装は進行中の様子。まさにもうまもなくオープンするというその事実に、三度驚くのでした。工事中の現場にモデルを配したキービジュアルが展開されるクリエイティブ、そして掘るほどに気づかされる底なしの着想力や千里眼に加えて、既存の枠組みをカジュアルに超えていっている感じには、側から見て「いちいちイケてるよなぁ」と嫉妬を超え諦観を覚えるほど。

インバウンドによる加熱するホテル建設のラッシュの折であったとはいえ、よくぞやりきってくれました、あっぱれですとか、融資してくれた金融機関さんも大したもんだなありがとうございます、という謎の感慨も沸いてきたのでした。。。

のめり込んだホテル探求、その果てに

もともと私は今のL&Gの本社所在地でもある京都の設計事務所にいたのですが、割と出張が多くて全国各地のホテルを泊まり歩くことも少なくありませんでした。その事務所にはちょっと変わった過酷なしきたりというかルールがあって、宿泊先を選ぶときは金額とかでなく「所長のお眼鏡に叶うところ」。すなわち軒並み高グレードなところ。ただし宿泊した暁には浦一也さんの著書「旅はゲストルーム」よろしくお部屋の隅々まで実測してスケッチを起こして提出しなければならず、せっかくハイエンドなホテルに泊まったもののスケッチ起こしのため寝られないなんてこともしばしばでした。改装前のクラシックホテルオブクラシックホテル然とした東京ステーションホテルの客室窓からの、明け方の丸の内改札コンコースへの不思議な眺望、鮮明に覚えています。

そういったこともあってホテルについてはずっと興味、調査の対象としてディグり続けてきておりました。加速装置になったのは、2010年以降のいわゆるポートランドブームの契機となった、吹田良平さんの著書グリーンネイバーフッドの表紙を飾った「Ace Hotel」のあの有名すぎるラウンジの写真を目にしたときと、2012年に蔵前にオープンした言わずと知れた金字塔「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」へ初めて足を踏み入れたとき。

そこからは、仕事でもあり趣味でもあり、ある種の探求のように、あれよあれよとホテル道にのめりこんでいくことになるのでした。余談ですが、Ace Hotelは京都でなくて新今宮とか天王寺とかの方がおもろかったのになと思っています。。。

その探求の途上に思わされ続けたのは、クラシックホテルやラグジュアリー系、老舗旅館などは別として、「Nui.」や「CLASKA」の他に、(当時はそんなことばも根付いていなかった)ブティックホテルやソーシャルホテル的な宿が、特に日本では本当に限られているんだなということでした。その途上の果てに邂逅したのが、まさに「HOTEL, SHE OSAKA」でもありました。

L&Gグローバルビジネスの八面六臂についてはある程度ご周知頂けておるかとも思います。例えば以下の記事などに譲りますが、「つくづくエキサイティングなチームだよな」と一員となった今でも(そこに至る経緯はまたいずれ整理の意味も含め書いてみます。)常々思わされ続けております。

入社して触れる「逆境の愉しさ」

私は長崎県の佐世保という港街で高校までを過ごした後、大学入学に伴って大阪に出てきました。級友が住んでいたこともあって、時折訪れる弁天町をはじめ、港区や大正区の風景にどことなく郷愁のようなものを感じていました。余談ですが、家人と初めて出会ったのもその級友の家に遊びにいったときでした。。。これまた余談ですが、HOTEL SHE, OSAKAのスタッフも常用していて、宿泊頂くゲストにもかなりの頻度でご案内している、大通りを挟んだはす向かいにある名店「手打ちうどん きぬや」さんは、学生の頃から結構使わせてもらってました。めちゃくちゃおススメですのでいらした際はぜひ。

そんなこともあり、自ずと弁天町は思い入れの強い街であったこと、先述の南船場のホテルの計画(その後、諸般の事情でオフィスビルへ計画変更)のベンチマークとして留意していたこともあり、当然その冬に迎えたHOTEL SHE, OSAKAのオープン時の内覧会に知人のライターさんに付いてこそっと入り込みました。「きぬや」側から眺めたときの、街の空気感に溶け込みながらもネイビーのタイルの施された壁面によるファサード、正面と側面に付けられた、それぞれ白色内照式のチャンネルサインと水色のネオンサインなどで、個の主張も忘れぬ立ち姿が今でもとても印象に残っています。

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また、華美な装飾がなされているとか、ブランドの家具が並んでいるとかでは決してないのですが、これまた港区弁天町という街の独自の雰囲気を可視化したような色味や素材など、インダストリアルな感じがやや強めな方向の編集でありながら、温かみも感じさせてくれるインテリアも好感が持てました。今思えばアナログのプレーヤーやレコード盤などの空気感を醸成する仕掛けもそうなのですが、つまりは関わった一人ひとりのキャラクターが最高すぎたわけやなと、今まさに実感しております。

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コロナウイルス禍によって今は無念の休館中ではありますが、ひょっとするとホテルの営業中よりもメンバー全員アクセルを踏みっぱなしなのでは??と思うほどに、驚くべき数のプロジェクトがSlack上に立ち上がり、瞬く間に次々にローンチされていく様、自社ながら圧巻の一言です。それを中で共に体験することができて本当にラッキーだなと思います。厳しい状況であることは間違いないのですが、悲観しすぎることなく取り組める環境を与えて頂いている今に何処までも感謝して、精いっぱい逆境を愉しんでいくぞ、という所信表明として、“なくならないでほしいホテル”をHOTEL SHE, OSAKAとさせて頂きました。。

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私が関わっているプロジェクトのひとつとして、まもなく「HOTEL SHE/LTER」の運用が開始する予定です。

HOTEL SHE/LTERはいわば、いずれ”なくなってほしいホテル”だと思いますが、この状況下、少しでも誰かの役に立てば何よりです。

最後に、なくならないでほしいホテル、それはもちろん世界中にある素敵なホテルの数々でもあります。数多のホテルの一助になればと、凄腕すぎる24時間戦闘態勢のフルスタックエンジニアとその相棒、UI/UX推敲を担ったロジカル且つエモーショナルすぎる編集者、そして時にインテリマフィアと錯誤する切れっ切れのプロジェクトマネージャーはじめ、ドリームチームで爆速で作り上げられたその名も「未来に泊まれる宿泊券」。ぜひぜひぜひ奮ってご利用くださいませ。

文・写真:大丸勇気(L&G GLOBAL BUSINESS)


【👼HOTEL SOMEWHERE 編集部より】
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