沖縄と世界が融合したドープな街「コザ」から愛を込めて。|偏愛、わたしのホテル #4
L&Gで働くスタッフや、いつも応援してくださる皆様と一緒にお届けしてきた「なくならないでほしいホテル」から派生して、新連載をスタート。ホテルの中の人を執筆者に迎えた「偏愛、わたしのホテル」をどうぞお楽しみください。
ちゃんぷる〜文化
その言葉がどハマりするような街に僕はいる。
沖縄といえば何を思いつくだろう?
青い海青い空、のんびりとした暮らし、三線の音、ざわわと揺れるさとうきび。泡盛やオリオンビールを片手に沖縄のしまことばが飛び交う。なんくるないさ〜
多くの人はリゾート地のような、のんびりとした感覚を思い浮かべるのではないだろうか。僕もそうだった。
沖縄出身の現在の妻と出会い、初めて沖縄を訪れた。連れて来てもらった場所は、僕が想像していた沖縄とは違う場所だった。なんて言ったらいいのか・・・ガチャガチャしている。
その街の雰囲気になんだか居心地の良さを感じ、いつしか結婚し、沖縄に住むならこの街にしよう、と勝手に決めていた。
僕が出会った街「コザ」と、そこに構えるホテルの話を少しだけ。
基地の門前街として栄えた街、コザ
沖縄県中部に位置する沖縄市コザ地域。独特な雰囲気を持った“ディープな街”という認識が県内でも広がっている。
何がディープかというと、もう混ぜこぜ。人も文化も多国籍、沖縄と世界中が融合したような。癖の強い独特なこの街は“ちゃんぷる〜文化”と呼ばれている。
コザがどういう歴史を辿って来たのか、ここでは割愛するがぜひ調べてみてほしい。詳しく知るほど街は面白い。
ざっくり記すと、嘉手納基地と隣接した地域で、戦後は米軍人向けの店舗で賑わい発展していった。
中でも嘉手納基地第2ゲートへと延びる通称“ゲート通り”は「あれ?パスポート必要でした?」と思っちゃうくらいの異国感だ。
コザはBARやキャバレー、ドレスショップや刺繍屋、TATOOショップや多国籍レストランで賑わった。日本で初めてのショッピングセンターもなんとコザだという。
“音楽の街”とも言われており、老舗ライブハウスやクラブが建ち並ぶ。
今年の上半期は厳しい営業状況だが、週末はあちこちで音楽が鳴り響く。
“エイサーの街”の側面も持つ。夏には街中を練り歩く“道ジュネー”があったり、全島エイサー祭りが開催される。
これがカッコイイのだ。すぐに気に入ってしまった。去年初めて祭りに行けたがウキウキした。そして隣で開催されるオリオンビアフェストで飲んだくれるのだ。最高かよ。
街ホテルと街づくり
街に住む先輩たちは「昔は凄かった」と口を揃えて言う。竹下通りかな?というくらい人が押し寄せていたという。
しかし時代の流れと共に、人通りは減った。シャッター街となり、空き部屋が増え、交通量は多いもののほとんどの人が素通りしていく地域になってしまった。
街の衰退と共に、人も元気がなくなっていくか。。。と思われたが、そうではなかった。今、おじさん世代から若い世代までが、コザで沸沸と再燃しようとしている。
僕がチーフを務めている「トリップショットホテルズ・コザ」もその中の一部。
僕のボスは50歳を目前としたおじさん世代なのだが、「これどうよ!?」といつも突拍子もない発想を見せてくれる。さすがコザんちゅだ。この街には良い意味でおバカな人がたくさんいて、とっても居心地が良い。
トリップショットホテルズ・コザは“街がホテルのラウンジ”として展開し、「街ホテル」として売り出している。どういうこと?とよく聞かれるのだが、まさに街全体がホテルなのだ。前述のゲート通りすぐ近く「中央パークアベニュー」という商店街の10の空き店舗を客室に改装し、商店街の中にホテルの部屋が点在する、という形を取っている。
古き良き建物を生かそうと、過去の店舗の特徴も継承している。元繁華街だから、元キャバレー、元スナックだったなんて部屋もある。
宿泊施設としての利用だけでなく、撮影ロケーション、ワークショップの場所などとしても活躍できる。元店舗なので贅沢すぎる広さがある。
なぜ街ホテルをするのか。それは、コザの街を刺激溢れる日本一のエンターテイメントシティにしたいからだ。ホテルを営みたいわけではなく、街づくりが僕たちのやりたいこと。
宿泊業以外にも沖縄のローカル情報番組「コザの裏側」に携さわったり、YouTubeで「街改造チャンネル」も鋭意発信中だ。街を巻き込んだイベントの制作にも深く関わりながら、コザに住むみんなで“街づくり”を行っている。
KOZA is not dead
ホテルも街も、モロに新型ウィルスの影響を受けた。かなり厳しい状況だ。
それでも折れることなく、再燃できる日に向けて牙を磨いている。
沖縄だけではない。全国にそんな街やホテルがたくさんある。安心できる世界が来たときに向けて準備を進めている。
【未来に泊まれる宿泊券】にもたくさんのホテルが参加している。ぜひ応援してほしい。
旅は逃げることはない。その時が来たらすぐに飛び出せるように、今のうちに旅支度を整えておこう。
コザの真ん中から愛を込めて。
文・写真:木屋 元太郎(トリップショットホテルズ・コザ/チーフ)
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