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素敵な宿に共通する“心地よい日常”|なくならないでほしいホテル Vol.9

「HOTEL SHE,」などを運営するL&G GLOBAL BUSINESSで働くスタッフや、いつも応援してくださる皆様と一緒にお届けする連載「なくならないでほしいホテル」。絶対になくなってほしくない推しのホテルを主観たっぷりでお届けします。

わたしは宿巡りが好きすぎて、宿を目的にした旅に出るのが趣味だ。

年間10軒は必ず訪れることにしていたのだけれど、数ヶ月前からわたしたちは「Stay Home」を合言葉に、遠出はおろか外出さえ憚られる世界に生きることとなった。

同時に、好きな宿がSNSで休業をお知らせしたり、宿泊以外の手段で営業を試みている近況を目にするたび、胸が痛い。いまは会いたくても会えない遠く離れた場所にいる恋人を想うような気持ちが募る。「どうか、また会える日まで無事でいて」と心を焦がしながら見守ることしかできない。

もし、次に再会できたら、どんな顔をしてどんな気持ちでその場所へ向かうのだろうか。また会える日を夢見て、いまはただただ再会の日が来るのを待つしかない。

会えない時間が愛しい存在の魅力を鮮明にしてくれる

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わたしは、ホテルや宿が好きだ。

宿泊体験にはたくさんの魅力が詰まっていると思う。

でも、宿泊施設だったらどこでもいいというわけではない。いくらおしゃれでも、画一化されたレイアウトで、効率よく快適さの平均点以上を狙ったチェーンのビジネスホテルにはあまり興味がない。

そんなわたしが好きな宿をひとことで言い表す良い表現がないか考えに考えた末、“個性が光る宿”がすきというフレーズにたどり着く。「オーナーやその空間を作った人の個性や哲学、こだわりがにじみ出る宿」が好きみたいだ。

中でも“個性が光る宿”に感じている一番の魅力は、「ライフスタイルの再発見」にあると思う。自宅で過ごす時間が増えたいま、個性が光る宿で体験したことや過ごし方は、部屋から出られないわたしたちが快適に過ごすヒントを与えてくれている気がしている

わたしが好きな宿の共通点は「朝ごはん」

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▲今井荘(兵庫/赤穂)

わたしが好んで選ぶ宿に共通するのは、絶景露天風呂とか、豪華懐石料理とか、そういう自分の自宅に帰ってから実現できないようなスペックを持った施設ではなく、宿泊者にとっての非日常でありながら、生活の延長線上にあるスタイルをより良く追求して提供しているような宿。(もちろん、絶景露天風呂や豪華懐石も大好きだけど!笑)

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▲HOUSEHOLD(富山/氷見)

日常で、わたしたちが日々当たり前に繰り返している「食べる、寝る、入浴、余白の時間をそこで過ごす」そういう生活の基本動作について、「こんなに快適にできるんだ」とか「こんなに楽しめるのか」と気づかせてくれるような宿に魅力的に感じてしまう。

特にわたしの場合は、ついつい毎日の中でおろそかにしてしまっている「朝ごはん」に向き合わせてくれる宿がたまらなく好き。「朝ごはんが良かった」と思える宿は、総じて他の要素も良かったと感じることが多い。

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▲今井荘(兵庫/赤穂)

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▲HOUSEHOLD(富山/氷見)

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▲LOG(広島/尾道)

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▲aiaoi(神奈川/鎌倉)

「朝ごはん」と言っても、食事の美味しさだけに言及しているわけではない。旬や地元の食材を使った美味しいものを提供してくれるだけでなく、食事する空間にある家具やうつわといったハード面、光の具合や風の流れといった、体で感じられる雰囲気なんかも含めて「朝ごはん」だ。

同じメニューを家で食べるのとはまた違った快感があり、またあの場所で心もおなかも満たされたいと思ってしまう。朝ごはんというアクティビティを構成するすべてに一貫した美学を感じる宿は他の要素についてもこだわりが発揮されているように思う。

わたしにとってのホテルは「日常を忘れさせてくれる場所」ではなく「日常のお手本」

もちろん、自宅よりもはるかに快適で、限られたモノしかなく、静かな環境に身を置くことができるので、日常を忘れてのんびりと過ごせる側面はある。けれど、いま思い返せば、わたしは日常を忘れる場所として宿を選んでいたのではなく、非日常の中で日常に連れて帰ることができる心地良さに気づかされる、お手本の空間に遊びに行っている感覚で宿を巡っていたのかもしれない

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▲LOG(広島/尾道)

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▲aiaoi(神奈川/鎌倉)

今回、「なくならないでほしいホテル」というお題を聞いて、なくならないでほしいホテルってどんなホテルのことだろう?と考えてみたけれど、「お手本にしたいセンスを感じられる、日常空間に近いスタイルの宿」で、「写真で感じた“ステキ”以上の情報を身をもって感じられる場所」だと思った。

そう考えたら結局、どこの宿もより多くのことに気づかせてくれる魅力的で愛おしい場所ばかり。1つに選べるわけがなく、どこもまた訪れたいと思うし、まだ出会えていない素敵な宿にももっと出会いたい。

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▲今井荘(兵庫/赤穂)

この先もあの素晴らしい空間で「ああ、こういう時間の過ごし方素敵だな」とか「これ、生活に取り入れたいな」と感じる楽しみな時間を想いながら、「なくならないでほしいホテル」との再会を心待ちにして。

文・写真:カナエナカ

【登場したホテル】
今井荘(兵庫/赤穂)https://imaiso.com/
HOUSEHOLD(富山/氷見)https://household-bldg.com/
LOG(広島/尾道)https://l-og.jp/
aiaoi(神奈川/鎌倉)http://aiaoi.net/


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