アメノミナカヌシが気になるという話

ウカノミタマノカミはアメノミナカヌシと 同一神である。
パラっと開いたページのその一文に目が止まった。
面白い説だなと本を閉じ、そのまま図書館のセルフ貸出機へと向かう。
日本の神様たちをイラスト入りで解説しているその本はシリーズ物で、同シリーズからは神社や仏様、日本のお寺なども出版されている。

数年前からアメノミナカヌシが気になっている。人見知りの私が息子の幼稚園で知り合ったKさんと連れ立ち初めて二人で訪れた神社もアメノミナカヌシを祭神としている三本鳥居で有名な木嶋座天照御魂神社、通称『蚕ノ社』だった。

そんなわけで家に帰り期待しながら本を開いてみたのだが先程の記述が見当たらない。
アメノミナカヌシの項目だったと思ったけれど、もしかしたらウカノミタマノカミのほうだったかもしれないと探してみるがそちらにもない。本を1ページ1ページめくっていく。やっぱりない。それを何度か繰り返してみたがどうしたってない。ないものはない。狐につままれたような気持ちになった。

話が少し飛ぶが先述したKさんが不思議な体験をしたという。夢の中でタカムラと名乗る福士蒼汰似の長身イケメンの人物に出逢い朝 起きて、その日にTwitterで流れてきた記事を読んで見れば
引接寺【千本えんま堂】のことが書かれてあった。
千本えんま堂には閻魔様と共に小野篁が祀られており小野篁はイケメンで長身だったらしい。
不思議なことは大好きである。
俄然 行ってみたくなった。

日取りは7月中旬に決まった。
その日は千本ゑんま堂で風鈴まつりが開催されている時期であり私の誕生日でもあった。

当日、千本ゑんま堂に行く前にアメノミナカヌシが祀られている天津神社に寄ってもらった。天津神社には、よく当たると評判の古代お御籤がある。
誕生日に古代お御籤をひくのも一興だなと思ったからだが、その場で泣き伏す人もいるというぐらい辛辣な言葉を賜ることもあるらしく内心はドキドキしていた。
お御籤料を納めひいてみる。
表と裏にそれぞれ一言。
簡単にまとめると
神様をもっと頼っていい。
人と比べてみれば自分がいかに恵まれているかがわかるとかそんな内容だった。
思いがけず温和な内容にホッとする。
Kさんもひいていたのだが、こちらはなかなかに手厳しかった。

いよいよ千本ゑんま堂・・・の前に、
千本釈迦堂で陶器供養会の幟を見つけてしまいそちらにフラフラ。
境内の簡易テントの下で各々、作家さんの個性が反映された焼き物を目で楽しみながら私が買ったのは菜箸だった。
値段は200円ぐらいだったか大変お買い得で1セットかうと、おまけで2セットついてきて合計3セットになった。こんなにあっても持て余すなぁと1セットをKさんにプレゼントする。

そしてようやくお目当ての千本ゑんま堂に到着した。
私はワクワクしていた。
何しろ夢で告げられた神社にやってきたのだから、あっと驚くようなことが起こるかもしれないと期待していたのだ。
そしてこの時は知らなかったのだが
Kさんの夢にでてきた小野篁は北斗七星の柄杓の柄の一番先、破軍星の化身と伝えらており、その北斗七星と北極星を神格化したものが妙見菩薩。
北極星を守護するものとして北斗七星がありその北極星を妙見信仰ではアメノミナカヌシとしているそうだ。
こじつけと言われればその通りなのだが、アメノミナカヌシが少しでも関係していたとなると嬉しくなる。
ちなみに私はアメノミナカヌシの存在やらパワーを感じたことは一度もない。だから余計に出ないガチャを回し続けるように次こそはと追いかけてしまうのかもしれない。
千本ゑんま堂に人影はなかった。
椅子に座ってしばし休憩してから本堂に手を合わせる。
参拝場所にも風鈴が連なっていた。
まず私が参った。
続いてKさん。
すると風もないのにKさんの背後の風鈴が一斉に揺れた。
やっぱりKさんとこの神社(もしくは小野篁)とは、何がしかの縁があり、そんな不思議な現象を間近で見れたことはラッキーだった。

帰りはラーメンを食べた。麺硬(メンカタ)ネギ多めと言うとKさんが、私の頼み方にいたく感心してくれた。
いや、普通だよというと、寡黙そうなラーメン屋の店主も頷いていた。

余談ながら千本釈迦堂で安価で購入した菜箸は思っていた以上に重宝した。
なにしろ自然素材なのに熱が加わっても曲がらない。変色しない。掴みやすい。滑らない。長さも丁度いい。
けれど基本、うっかりやの性分なもので2本を焦がし1本は行方不明。
今 手元には一本しかない。
もちろんこの一本だけでは菜箸としての用を成さないが、ひょっとしたら行方不明の箸がどこからか出てくるのではないかと思うと捨てるに捨てられず残った一本の箸を見るたびに口惜しく思っている。


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