KLEVGR. GRAND FINALE
klevgrandというスウェーデンのプラグインベンダーでちょっと面白そうなものがあったので試してみました。
簡単なレビュー的な記事になるかなと思います。個人的なことを言えばこれが初note記事なので、練習がてらになってます。読みにくいところがあるかと思いますがそこはご容赦ください(汗
さて製品はGRAND FINALEというもの、みたところこれ一つで仕上げられる系の総合的なマスタリングツールです。
>>オフィシャル動画はこちら<<
マスタリング前の楽曲(ラップ曲)を用意して、とりあえず画面左上のプリセットから"Midium Master"を選びました。印象、、、すっごいコンプ臭い(笑)でも今っぽいとも言えなくはないかな…
さっそく触っていきます。あ、マスタリングツールの場合、プリセットってとても便利なんですが、ほとんど9割9分、プリセットがそのまま通用する音源は無いです。千差万別、多種多様な音が存在しますので最適解を見つけ出すにはやはり手間が必要です。
音作りセクション
基本的には下段左から順にコンプレッサー、マルチバンドコンプ、MS処理のワイド化ツール、EQの4種類で基本的な音作りをします。
・MULTIBAND COMPRESSOR;マルチバンドコンプは帯域固定でコンプレッションの量を%で決めます。Tighten Bass, Midium Squeezeなど5種のプリセットがあり、先ほどの帯域分けもこれに準じて変動していると思われます。
・STEREO;いわゆるMS処理で左右に音像を広げます。こちらもDefault, Center Bass, Widen Top, Widen ALL の4モードでMS化の帯域指向を変えられます。
その他、EQもなんと周波数、デシベルなどの表記が無く%で上下するタイプになっています。Default, Acoustic, Ambientのモード設定に準じてクロスオーバー帯域が変化するようです。
入出力、倍音付加セクション
続いて画面上段には左からハイパスフィルター、マスターセクション、リミッター、倍音付加の項目が並んでいます。
ADD;近年の音像処理に不可欠な倍音を加えるセクションです。DISTで量を決め、生まれた倍音に対して単独でコンプをかけられます。GAINで加える量を決定し、マスターセクションに戻す設計になっています。Bass, Lo Mids, High Midsなど倍音を加えたい帯域をモードで選択します。
MASTER;スーパーローを処理するHP、INPUT&OUTPUT、LIMITERで構成されています。INPUTにランプがあり、適正レベルで緑色、大きくなるにつれ黄色、不快に歪むくらいで赤になります。マスター系のプラグインは入力レベルがとても大切なので、視覚的に適正を確認できます。肝心のLIMITERは”使用に問題ないレベル”というのが正直な感想です。しかしプラグイン全体としてはその前段階で適切な処理が可能なため、無理にリミッティングに頼る必要が無いような印象があります。
総括
ザックリと全体を見て、面白いのは操作できる素子が基本的にひとつづつであること。下段に選択できる複数のモードがあり、これも一般的なマスタリングにあると便利なモードがピンポイントで備わっている印象です。
中上級者であれば、コンプはスレッショルド、レシオ、ゲインを操作して…みたいな、各セクションで割といろいろやるイメージだと思いますが、それらをあくまで音楽的な処理としてひとまとめにしている感じです。これまでのマスタリングの技術史からすればなかなか大胆な構想です(笑)しかし、触っていて思ったのは、先に申し上げた通り、各セクションの効きがとても音楽的で、効果の強弱だけで音作りをしていけるということ。うんちく抜きで音を聴きながら調整をして、目指すべき音圧、ダイナミクス、帯域ごとの所作を作りこむことが可能でした。
マスタリングエンジニアの”お仕事”の観点から言えば、心もとないものがあります。理由は音に対して何をどのくらいやっているかほとんど分からないから(笑)。
しかし例えばクリエイターが自己完結する作業の中でのマスタリングを考えた場合、とても強い味方になってくれるんじゃないでしょうか。もちろん音楽に耳を傾け集中することは必要ですが、操作する素子がシンプルなので、全体を包括的に調整しながらトライ&エラーできます。ある程度パターン化されてきている近年のマスタリングの方向性が、モード切替に集約されている点も見逃せないポイントです。
万人にガチでお勧め!!というわけではありません。私のように打ち込み音楽中心、ダンスミュージック多めな方々で、マスタリングはやりたいけど難しそう、とかそもそも勉強はできるだけ少なくしたい方にはとてもお勧めな製品です。定価で60ドルですし。
個性的な仕上がりが期待できるので、自分も自己完結できる楽曲などで使っていきたいと思っています(執筆段階ではデモ製品です)。
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