【WL Vol.4】グロース株にとって金利が重要な理由 

こんにちは、Suiです。

この記事はニュースレター「Suiの企業分析通信」で毎週更新しているWeekly Letter の過去記事を公開しています。

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Weekly Letter は毎週月曜日の夜に更新予定です。


こんにちは、Suiです。

このWeekly Letterでは1週間で気になったニュースや記事などを読者の皆さんに紹介していきたいと思います。重要なニュースや役立つ記事などを私Suiがピックアップして、解説などを交えながらお届けする内容になっています。

今週のトピックは以下の通りです。

1.注目ニュース(11/15~11/21)
Unityが買収したWeta Digitalについて
 財政支出と日経平均の上昇
 ナスダックが最高値を更新
2. 特集(企業分析のノウハウなど)
グロース株にとって金利が重要な理由
3.気になる決算、企業

 テスラのチャート確認
4.参考になったツイート、記事
 寺田さん、大手町さんの企業分析記事 
 バフェットコードさんの会社説明動画
5.おすすめ本紹介
 なし 
6.アイデア、雑談、その他
my mindというツールについて

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1.注目ニュース

先週(11/15-11/21)の注目ニュースを取り上げて、その記事の解説や自分の感想、今後の見通しや予想などを書いていきます。できるだけマーケットでの重要ニュースを取り上げたいと思うので、皆さんの振り返りにも役立つと思います。

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Unityが買収したWeta Digitalについて

Unityが3Q決算と併せて発表したWeta Digitalの買収についてです。

クリエイターが必要とするツールを揃えられるかどうかが重要になるかと思います。アドビと同じようなイメージで周辺機能を抑えていくのが、クリエイターや顧客の獲得においても重要なポイントではないかと想像しています。

また、メタバースの関連銘柄についてのnoteも参考記事として紹介したいと思います。


財政支出と日経平均の上昇

18日木曜日に岸田政権下の財政支出に関する報道が出て、日経平均が上昇しました。

このとき市場では、報道が出たとこでヘッジファンドやグローバルマクロなど指数を使って取引する機関投資家がまず反応します。

下のチャート(日経平均先物)を見てもらうと、18日の13時すぎに報道が出たタイミングで29500円から29700円まで一気に上昇しています。出来高も大きく、このニュースに大きく反応していることが分かります。

Trading View

財政出動、金融政策は明確に指数に影響することが多いです。これも企業の決算と同じ構造で、財政支出の規模が予想より大きければポジティブに反応します。


ナスダックが最高値を更新

米国株は、ナスダックが最高値を更新するなど強い状態が続いています。ただ金曜日には、欧州で再度ロックダウンの話が出たり、感染者数が拡大するなど少し雲行きが怪しい感じもしています。


2.特集、ノウハウ

特定のテーマについて深堀りした解説をしたり、企業分析に役立つ自分のノウハウなどを紹介したいと思います。経済誌のダイヤモンドや東洋経済でいう表紙にあたる特集記事みたいなイメージです。Twitterでは書ききれなかった内容や反応が良かったテーマについて取り上げたりしたいと思います。

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グロース株にとって金利が重要な理由

今週の特集は金利や期待インフレ率について解説したいと思います。グロース株を見るうえで、金利は重要な要素になるので、そのポイントをお伝えしたいと考えています。

これまでのニュースレターでもインフレの事は取り上げてきましたが、それを考える上で金利が株式市場にどう影響を与えているかを見ていきます。

一言で言えば「インフレ懸念が高まるとグロース株は売られてしまうので、その指標である金利が重要」ということです。

まず、そもそも金利と言っても色々あるので混乱しがちですよね。政策金利、長期金利、実質金利などが説明されていますのでこの記事を適宜見ながら読んでみてください。

ざっくりですが、政策金利はFOMCで定期的に決められていて、それをもとに長期金利などの市場金利(10年利回りなど)が日々市場で決まっていると理解してください。

株でイメージするとしたら、政策金利が業績で、市場金利は株価です。業績(政策金利)は決算(FOMC)によって月1回変動しますが、株価(市場金利)は毎日、変動しているのと似ているのかなと思います。

今回ここで説明する金利というのは毎日変動している市場金利の話です。金利として1番メジャーなのは米国の10年債の利回り(10年金利、長期金利と言われます)です。これが上がるか下がるかで株式市場にも影響してきます。

2020年の2月以降、コロナ感染拡大による景気後退の懸念から10年金利は低下しましたが、ワクチン普及とともに金利もほぼコロナ前の水準に回復しています。

  一般的によく言われるのは、金利が上昇→株価にはネガティブ、金利が低下→株価にはポジティブです。基本的にはこの通りに動くことが多いかと思いますが、違う動きをしたり、細部を見ると違う動きをしています。またここでいう金利が何を指しているかで意味が変わってきてしまいます。

さて、先に結論を説明すると、インフレはバリュー株にプラスですが、グロース株にはネガティブという見方ができます。これだけでも覚えてもらえれば大丈夫です。

つまり、今後インフレが進むとグロース系の銘柄には少し逆風となります。

ここからは詳細な解説なので、難しい方は「詳細解説おわり」まで飛ばしてもらって大丈夫です。

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まず理解したいのが、実質金利と期待インフレ率という概念です。

実質金利とは、先ほど説明した10年債利回りなどの名目金利から期待インフレ率を引いたものです。

実質金利=名目金利(10年債利回り)ー期待インフレ率

実質金利が上昇するとグロース株にはネガティブです。例えば10年債利回りだけが上昇すると、実質金利は上昇してグロース株にはネガティブとなります。

少し複雑ですが、一般論として先ほど挙げた「金利が上昇→株価にネガティブ」というのは名目金利が上昇し、そのまま実質金利も上昇した場合には株価にネガティブという意味合いだと考えています。

実質金利が上昇→グロース株は下落の具体例はこちら。

こちらは今年の5月の記事ですが、グロース株下落の原因が期待インフレ率の上昇にあることが書かれています。

ここがとても重要なポイントです。

投資家は将来の大きな収益を期待してグロース株を買っている。将来のインフレが懸念されている状態とは、つまり将来の実質的な収益が(額面上は同じであっても)少なくなることを意味する。

つまり、高成長企業の成長率をインフレ懸念が上回るとグロース株は売られてしまいます。この2つが天秤にかけられているといっても良いかもしれません。

また、インフレ(期待インフレ率の上昇)が進むと、株式全体にはプラスですが、その内訳を見るとグロースよりもバリューが選好されやすくなる(=相対的にはグロースにとってネガティブ)という側面もあるかもです。


期待インフレ率に大きく影響を与えるのが、毎月発表されるCPI(消費者物価指数)です。今後もCPIに対する注目は高いと思うので、特にチェックしたい指標です。

これまでのレターでもインフレについては取り上げてきましたが、総じてBTCや株式市場にはプラスですが、グロース株にとっては相対的にマイナスである点には注意したいところです。

(詳細解説おわり)

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ポイントを整理すると「インフレ懸念が高まるとグロース株は売られてしまうので、その指標である金利*が重要」ということになります。

*厳密にいえば、実質金利や期待インフレ率


最後に、ここまで金利やインフレについて見てきましたが、注意点を一つ。

期待インフレ率が上昇していても、ナスダックは史上最高値を更新していて一見すると矛盾しているように見えます。

これは、10年金利が低下していたり、決算が好調だった銘柄が牽引したり、他の要因で株価は上昇しており、必ずしも期待インフレ率がすぐに株式市場に影響するとは限らないからです。

少し抽象的ですが、覚えておいてもらいたいのが、金利だけに限らず、株価というのは無数に近い要因(ファクター)が複雑に影響しあって形成されています。そのため、短期的または部分的には矛盾が生じて見えてしまうこともよくあります。

過去のNLで取り上げた任天堂やトリドールのように好調な決算に見えても、コンセンサスが高いことで株価が下落してしまうケースもこれに近いかもしれません。自分が見ているポイントと株価が違う場合には、市場はどこを見ているのか?を考えてみることが重要かもしれません。

引き続きインフレの動向には注意が必要ですが、それと並行して金曜日からはコロナ再拡大で10年金利が低下しています。これはコロナによって景気後退が懸念されていることから、債券が買われて金利の低下となっています。

仮にコロナによる財政出動が再度出てくると、それは将来のインフレに繋がるので、まだまだコロナによる景気へのマイナス影響とその後のインフレについては来年も綱引き状態が続くのではないかと思います。


3.気になる決算、企業

ここでは1週間で自分が気になった決算や企業を紹介します。決算がない場合は最近見つけた企業や、今後調べてみたいと思っている企業を紹介したいと思います。

※あくまで気になる企業で、推奨銘柄でもなければ調査もしていない段階で完全にアイデアベースです。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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テスラのチャート確認

先週の特集で取り上げたテスラのチャートですが、一旦はレンジが固まったような印象があります。15日に安値付近まで下がりましたが、そこで反発しその後は買いが強く上昇が続いています。

先週のNLから引用です。

今後の動き次第ではありますが、10日につけた安値(987ドル)を割れば前回の抵抗線に当たる900ドル前後が次の支持線の目安になると思います。987ドルでまた買われればそこで反発して、今回のレンジはに固まるのではないかと個人的には見ています。


4.参考になったツイート、記事

こちらでは自分が参考になったツイートや記事、ブログ等を紹介します。読者の皆さんに役立つツイートなどを紹介したいと考えています。

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今週は企業分析のお手本となる記事やツイートがたくさんあるので、ぜひこれらを分析の参考にしてみてください。


寺田さん・大手町さんの企業分析

寺田さんの「週末企業分析」は企業分析の完成系というか理想系と言えるので必見です。かなりクオリティ高くて、これが無料で読めるのは本当に感謝です。

偶然にも大手町さんのセーフィーの分析も公開されていて、こちらも併せて読むのをおすすめします。かなり2人の分析で収益構造やビジネスモデルなど基本的な部分や事業戦略についても理解が深められると思います。

アイデアベースですが、来週以降のどこかでセーフィーについて自分も見てみようかなと思います。また、お二人の分析が資料のどこを見て作成しているのかを解析するリバースエンジニアリング的な解説も面白いかな?なんて思いました。


バフェットコードさんの会社説明動画

バフェットコードさんとハリネズミさん(AI Agent)が作成されている、会社説明動画シリーズはかなり参考になります。企業分析の型を作るうえで重要なポイントが多いので、こちらも必見です。詳しくはまた深堀りして紹介したいと思います。



5.おすすめ本紹介

最近読んだ本や過去読んできた本でおすすめの本を紹介していきます。特集や他のトピックを優先的にお届けしたいと思っているので、毎週というよりは少し不定期かもしれません。ただ、紹介したいおすすめ本はたくさんありますので、少しずつこちらで紹介していきたいと思います。

過去のおすすめ本についてはライブラリー(まだ作成中のため、完成したらこちらで紹介します)にまとめているので、こちらもぜひご覧ください。

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今週のおすすめ本はお休みです。ただ、Amazonのブラックフライデーでkindleのセールが始まっていて、こちらのツイートにて順次、おすすめ本を簡単に紹介していく予定です。

また、日替わりセールでオススメ本や面白そうな本があった場合もツイートで紹介していますので、見逃さないようにTwitterのほうもチェックしてもらえると嬉しいです。



6.アイデア、コラム、その他

企業分析や投資以外の話や雑談、その他ざっくり考えていることなどについてです。特にテーマを決めずに思っていることを書きたいと思うので、興味のある方はご覧いただければありがたいです。

もし読者さんからの質問があれば、ここで回答もしたいと思いますので、どんどん質問してください!お待ちしております!いただいた感想もこちらで紹介できたらいいなと思いますので、ぜひTwitter等でシェアしてもらえると嬉しいです。

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my mindというツールを平野さんのツイートから知り、使っていますがとてもいい感じです。記事の保存や管理はnotionやCraftを使っていますが、ツイートを保存したり整理するツールをずっと探していて、理想に近いのがこのmy mindでした。

ツイートの保存や整理についてはまだまだ試行錯誤なので、もしオススメの方法などあったらぜひ教えてほしいです!



最後に

最後までニュースレターをお読みいただきありがとうございます!今週のWeekly Letterはいかがだったでしょうか?

このニュースレターをより良いものにしたいと思いますので、感想や質問をぜひお願いします。1番下のTwitterのボタンからシェアできるので、ぜひ感想と一緒にツイートしてもらえると大変嬉しいです。(いいね機能がないため、いいねの代わりにシェアしてもらえると読者の皆さんの反応が知れるのでとても助かります)

@Sui_investorでメンションを飛ばしてもらえれば、こちらに通知がくるので、何かしらリアクションできると思います。(いただいた感想をTwitterやnoteでも紹介したいと思います!)

また、特集で取り上げて欲しいテーマや質問などありましたら、Twitterでコメントしてもらえればと思います。匿名で質問したい方は質問箱からでもお待ちしております!(質問箱に感想でも嬉しいです!)

それではまた次回のニュースレターでお会いしましょう!

金額に関わらず、サポートはめちゃくちゃ嬉しいです。サポートしていただいた方の事は一生忘れません。