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バンクシーと考える現代社会

先日、金山にある旧ボストン美術館で開催されている『バンクシー展 天才か反逆者か』に行ってきました!

現代アートシーンを代表するアーティストのひとりであるものの、その正体は謎に包まれている「バンクシー」という人物。
いったい彼はなぜ作品を生み出しているのか?私たちは彼から何を読み取るのか?

一緒に行ってくれた大学の友達と作品の考察をしながらじっくり2時間半鑑賞してきました!

※ここからネタバレ入るので見たくない方はUターンお願いします!
※館内写真撮影OKでした

バンクシーの基本情報

バンクシーとはそもそもどんな人物なのか?
サイトでは次のような説明が。

イギリスを拠点に活動する匿名の芸術家。世界中のストリート、壁、橋などを舞台に神出鬼没に活動している。アート・ワールドにおいてバンクシーは、社会問題に根ざした批評的な作品を手がけるアーティストとして評価されている他、テーマパーク、宿泊施設、映画の制作など、その活動は多岐にわたる。バンクシーの代表的な活動スタイルであるステンシル(型版)を使用した独特なグラフィティと、それに添えられるエピグラムは風刺的でダークユーモアに溢れている。 
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「バンクシー展 天才か反逆者か」(https://banksyexhibition.jp)より抜粋、引用

バンクシーはただ街中に絵を描いて楽しんでいるのではなく、現代社会が抱える問題や矛盾をテーマに、作品を通して強いメッセージを届けている。

さらに注目すべきは、

バンクシーのグラフィティ作品の大半は壁面に描かれるため、すぐに塗りつぶされてしまい、現存しているものは多くありません。

この、バンクシー作品の「儚さ」にあるように思う。これだけ有名になろうとも、いや、なったからこそなのか。多くの人がその価値を認めている作品であるのに、壁画が消されたり、切り取られてオークションに出品されたり…。

現状抱えている問題に対して発表したであろう作品そのものを巡って、また新しい問題が起きているようで、見ているこっちは複雑な気持ちにさせられる。が、それもまたバンクシーの思惑なのだろうか…?

印象に残った作品たち

バンクシーの取り組むテーマは、
風刺・政治・文化・倫理・戦争といった幅広い領域にわたっている。
そのなかでも印象に残っている作品をほーんの少しだけ紹介したい。

写真手前の作品はたしか、『チョコレート・ドーナツ』という題名だった。奥の作品はイチゴ味なのかピンクのドーナツで、他の構図は同じになっている。車の上に積まれた大きなチョコレート・ドーナツと、周りに何台もの白バイらしきものが描かれているのがわかる。

もしも無心で絵を見ることができるのなら、
なんともキャッチーで可愛らしいだけだが、
そうはいかないのがバンクシーの作品。
これは大量消費社会に向けた風刺であると考えられる。

現代、特に先進国では「食」の自由や多様さが振り切っており、需要のままに大量の商品が供給され、購入され、廃棄されている。

ただ、美味しい食べ物は人間みんなに好かれている。食欲に対しては甘くなってしまうのが人間であろう。そんな「甘え」に警鐘を鳴らし、「問題」があることを気づかせてくれる作品であった。

建物の壁面に、青空をイメージした青地にヨーロッパの人々の連帯を表す星の円環がデザインされた欧州旗🇪🇺があるが、そこに作業員が梯子を登ってやってきて、星のひとつを削り落としている様子が描かれている。

これは2016年イギリスがEUから離脱する(ブレグジット)かどうかの話題に対して描かれたことが読み取れる。

この壁画は、なんとブレグジットの日を迎える前に白く塗りつぶされてしまったのだが、それを知ったバンクシーは自身のInstagramにて「これに変更する予定だった」と、元の壁画の写真にマークアップした画像を投稿したのだ。

どんな絵に変わる予定だったのか、気になった人はぜひバンクシーのInstagramに飛んでみてください。

作品に込められたメッセージに留まらず、
作品を巡るバンクシーと人々のストーリーまで含めて「アート」にしてしまう力があるのだと感じた。

この有名な作品がオークションに出品され、終わった瞬間にシュレッダーがかけられた伝説のシーンもそうだ。
紙を切り裂く無機質なシュレッダーの音
目を見開き呆然とする人々の表情
失敗して途中で止まってしまったことも
含めて、すべてがアートになるような感覚に襲われるのだ。

バンクシーは天才か反逆者か

バンクシーの作品は、常にシンプルでわかりやすく、込められたメッセージが読み取りやすいように感じた。作品を見れば、どんなことに対して、何を考えてほしいのか言語化しやすい。


ただ、

「あぁ、そういうことが言いたいのね」という上辺の感情で終わらせてくれない余韻をもたらすのがバンクシーの才能であり、バンクシーがわざわざ作品を生み出してメッセージを込める意味なのではないかと考える。

バンクシーが提示するような問題ごとというのは、言葉で呼びかけてもなかなか人々の心の奥底に届かない。問題の表面上だけちらっと見て終わってしまうことが多いのではないか。

作品にすることでインパクトが出て、人々の記憶に残りやすく、何度でも思い出して考えることができると考えたのかな、、?と推測したりしましたが…

なにもかもすべて

真意はバンクシーのみぞ知る、ですね。


見応えばっちりでグッズも可愛いバンクシー展
お近くの方はぜひ訪れてみてください!


sui.

#バンクシー展 #美術館巡り


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