他人のすべらない話を聞く

もともと美容院ではあまり美容師さんと喋るタイプではないが、ここ数年ずっと同じ美容師さんにお願いしていると、数ヶ月に1回でもいい意味でそれなりに親しくなってくるものである。最近は、カラーだとかブリーチだとかヘアケアだとかそういう話以外も少しずつするようになっていた。

その方(男性)はずっとロン毛だったんだけど、先日、久しぶりに美容室でお会いしたところ、キレイさっぱり短髪、というか坊主になっていた。あまりにも雰囲気が変わっていたので、挨拶がわりに髪型について訊いたところ、イメチェンかなと思いきや、なんとガチ謝罪用の坊主だったのだ(内容はなかなかエグいので省略)。

その事件が発生してからは結構経っているらしく、なぜ坊主にしたのか、そして今はどんな状況なのかを流暢に説明してくれた。情景がありありと思い浮かぶし、たぶんこれまで友達や知り合いやお客さんやとにかくいろんな人に話し続けてきたであろうその話しぶりは、もはや古典落語に匹敵する勢いである。一つの物語を聞いた気分。すべらない話とはこういうことだとある意味感動してしまった。

ちなみにもともとの原因はその人にあるけれど、話を聞いていると、その次元は通り過ぎて、もはや収拾つかないところまでいってしまっている印象だった。

聞いている私としては笑って(あんまり笑えない・・・)エンタメとして昇華してあげたい気持ちもあるし、そこに関わる人のメンタルを考えると自分もそういうところあるなあって思ったり。あんまり聞いても悪いかなと思ってそれ以上は深追いしなかったけど。人間って難しい。


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