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「共同開発」で活路を拓く【すごい会社】

1.直方精機(株)(福岡県直方市)

2020/07/31(金)には、自動車用小型プレス品の金型設計・製造からプレス加工、アッセンブリまでを一貫して手掛ける直方精機(株)(福岡県直方市)を紹介しました。

県内の中小企業3社で、豪雨や台風などの災害時に避難所で利用できる簡易テントを共同開発しました。避難所では利用者のプライバシーを守りつつ、感染を防止できる簡易テントは需要が高く品薄状態だそうで、台風が増える今秋までに確保が難しくなることを懸念した直方市が6月上旬に同社に協力を打診。給排水設備工事の鷹見工業(福岡県直方市)と自動車部品製造のニッショウテクノス(福岡県鞍手町)と3社だそうで、共同で約1カ月で開発した、とのことです。

設計は直方精機が特許を出願中。同社が骨格を開発し、鷹見工業が塩ビ管を供給。利用者がケガをしないよう骨格を覆うポリエチレンのカバーをニッショウテクノスが開発しました。

2.共同開発で活路を拓くすごい会社

企業が維持・発展していくためには、規模の大小にかかわらず、常に先を見通しながら、現状に甘んずることなく、新しいことにチャレンジしていくことが重要です。ただ、利用可能な経営資源が限られる中小企業では、自社単独で行えることには限界があります。そこで、他の企業や大学、公的機関などとの連携が重要になってきます。こうした外部組織との「共同開発」によって、新たな展開を切り拓く企業は少なくありません。

これまでご紹介した【すごい会社】のなかですと、東京のスタートアップ企業と共同で浄水技術の共同開発に取り組む(株)浪速工作所(2019/03/01)のような企業間の相互補完的な連携も多いですが、鍵大手の美和ロック(株)と共同でスマートロックを開発した(株)ライナフ(2019/4/23)のような大手企業の連携、産業技術開発総合研究所や東北大学とともに、有害物質を使わない塗装装置を10年がかりで開発した加美電子工業(株)(2019/01/09)のような産学連携なども多く、多様な事例を紹介してきました。

『中小企業白書(2020年版)』においても、製品・サービスの高度化・複雑化・モジュール化、製品・サービスのライフサイクルの短期化や新興国プレイヤーも含めた競争の激化から、自前主義での新製品開発には限界が来ており、外部の技術やノウハウを活用し、新しい技術開発や新しい製品化・サービス化を実現する「オープンイノベーション」の重要性が指摘されています。他社と共同して新製品開発や新規事業開拓にとりくむ【すごい会社】の取り組みに、今後も期待しつつ注目していきたいと思います。

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3.今週の【すごい会社】

この会社を含め、今週は以下の【すごい会社】をご紹介しました。

★No.2076☆ナノフォトン(株)(大阪市北区)。特殊なレーザー顕微鏡「ラマン顕微鏡」で国内シェア3割。顕微鏡本体のほか中核部品の分光器も自社で開発・設計、技術を擦り合わせた高機能の顕微鏡を得意とする。
★No.2077☆(株)山脇山月堂(岡山市中区)。きびだんごを家庭で作れる調理キット「おうちできびだんご」を発売した。観光客が減り、土産品の売上が落ち込む中、外出が少なくなった地元消費者を対象に売り込む。
★No.2078☆小峰無線電機(株)(川崎市高津区)。位置情報を高精度で受信するアンテナを開発した。準天頂衛星「みちびき」にも対応している。建機や農機に設置して使用することで現在位置を正確に把握できる。
★No.2079☆(株)FABRIC TOKYO(東京都渋谷区)。縫製工場の支援に乗り出した。同社はD2Cブランドを展開しており、衣服生産の川上で受注が減少している縫製工場の支援が不可欠と判断した。
No.2080☆直方精機(株)(福岡県直方市)。県内の中小企業3社共同で、豪雨や台風など災害時に避難所で利用できる簡易テントを開発した。手軽に組み立てられ、使わない時は折り畳んでコンパクトに収納できる。

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次回もまた、【すごい会社】の数々をお伝えしていきます。どうぞお楽しみに。

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