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2022年6月12日「ヒバクシャと出会うカフェ」報告

6月12日に「ヒバクシャと出会うカフェ」第4弾をオンラインで開催しました。

「ヒバクシャと出会うカフェ」とは

「被爆者の方とお友達になりたい!」という私の思いが原点の交流会です。証言会ではなく、ヒバクシャのみなさんと1人の「ひと」として出会い、交流し、この先も長くつながれる関係を築くきっかけを作りたいと思い、企画しました。今回は[特定非営利活動法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会『未来につなぐ被爆の記憶』ボランティア・ グループ」と共催でした。

今回は千葉県八千代市在住の小谷孝子さんを12名の方々で囲みました。参加者は大学生、記者、被爆者の方と様々でした。

腹話術で語る想い

小谷さんは6歳の時に被爆をされ、腹話術で体験を語り続けていらっしゃいます。幼稚園の先生をされていた頃、クラスにいた寡黙な子どもの心を開きたいと腹話術を習い始めました。元気な自分が被爆証言をしても良いのかという迷いや罪悪感もあったそうですが、腹話術の師匠である牧師さん、ケロイドを負って癌になった姉の「原爆で亡くなった人の無念さを風化させないために語っていきなさい」という言葉に背中を押され語るようになったそうです。
証言活動の相棒は人形の「あっちゃん」です。3歳で被爆して亡くなった弟に話しかけるように語り、「あっちゃん」が子どもたちの目線の惹き役になってくれるので逆に救われていますとおっしゃいました。
小谷さんが一番伝えたいことは「核兵器は77年経った今でもずっと体の中に残り続ける。だから絶対に核兵器を使ってはいけない」ということです。娘さんが結婚するときに「母が被爆者だけどいいですか?」と相手の方に聞いたそうです。それを小谷さんが聞いたときに「黙っていたけれど、自分(娘さん自身)にも被爆の影響がないか、心の内に秘めていたんだな」そこから「被爆者は死ぬまで被爆者、死んだ後も子どもたちや孫にまで影響が続く。二度とこのような経験をしてはいけない」と強く思われたそうです。

参加者の皆さんからの声


参加者の方々からは
「今娘が亡くなった小谷さんの弟さんと同じ3歳で、他人事ではないと思いました」
「被爆した瞬間だけではなくまだ終わっていない問題でもある。現在のロシアによるウクライナ侵攻を考えるときに被爆者の声は重要な視点を持っていると思う」
「被爆者やその家族と周りに知られたときに他人と距離を置かれてしまったり、自分が認められないのではないかと思わせている社会の理解の乏しさを感じた」
などの感想を頂きました。

また交流の中では、「どれだけ実相を伝えて良いのか」という話題が挙がりました。例えば、黒焦げになった遺体の写真を見せることでトラウマになってしまい平和学習から遠ざかってしまうこともあります。しかし、腹話術という手法は「被爆の実相を伝えること」と「学ぶことの楽しさ」をどちらも兼ね備えているのではないかと。自分ができる伝え方を考えて試行錯誤していくこと自体もまた、自分自身の学ぶ楽しさにも繋がるなと感じ、個人的には少しわくわくしました。

原動力は子どもたちからの感想

小谷さんが証言活動をするうえで原動力になっていることは証言を聞いた子どもたちからの感想だそうです。それを聞いて、被爆者の方々が痛みや苦しみを伴いながら語り伝えてくださったことに対して受け取った側はちゃんと応えていかなければいけないと改めて思いました。このカフェが参加してくださった方々にとって、どんなに小さなことでも何かアクションを起こすきっかけの一つになっていたら嬉しいです。

それぞれの胸の中に「ヒバクシャ」ではなく、「小谷孝子」さんが生き始めています。

自分の家族や学校の仲間たちと一緒に被爆者のみなさんに出会いたい方、あるいは一緒にこのカフェを運営してみたい方は、私までご連絡ください。

最後に、小谷さんの証言を詳しく知りたい方は下記の書籍、またはリンクをご覧ください。
・小谷孝子『あっちゃんと語る被爆体験 「核」も「戦争」もない未来を願って』2019,なかおかブック
・「NPO法人 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会 未来につなぐ被爆の記憶プロジェクト 全国証言マップ」
https://kiokuisan.org/cesium/#629c873db297300001bba495


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