のあ

公園にダンボール箱に入れられて、

3匹の子犬が捨てられていました。

1匹は、真っ白な毛並みで愛嬌がありました。

1匹は、茶の毛並みでお利口でした。

1匹は、黒茶の毛並みで臆病でした。

ダンボール箱は、公園の目立たないところに

置かれていたので、

なかなか、人目につきません。

3匹で寄り添っていれば、

夜の寒さはしのげました。

ぐ〜。

お腹が空いたね。

ほんとだね。

、、、。

白子犬が箱から飛び出しました。

公園にいるカラスさんに

食べ物をわけて下さいとお願いしました。

そこに

お掃除をしていたおばさんが、

「こら〜っ!いじめるんじゃないよ!」と

カラスさんを追っ払ってしまいました。

おばさんは、しょんぼりした白子犬に

「なんて愛らしい子なの。私は一人暮らしだから、うちの子になるかい」

と、連れて行かれました。

子犬は、2匹になりました。

夜になると野犬の遠吠えが聞こえます。

このままじゃ、野犬に襲われてしまう。

次の朝、茶子犬は走り出しました。

休日の朝、散歩に公園へ来た親子に

しっぽを振って近づきました。

パパ!小さいワンワンだ!

触れるかな?

茶子犬は、頭を子供の手に近づけ

お座りしてみました。

なんて、利口な犬なんだ。

よし!おうちに連れて帰って家族になろう。

と連れて行かれました。

黒茶子犬は、1匹になりました。

ダンボール箱の中でガタガタ震えています。

2匹は、かわいかったし、お利口だった。

僕は、どこにも取り柄がないよ。

このまま死んじゃうのかな。

と小さくなっていました。

一人の男の子が、

ダンボール箱を覗きました。

黒茶子犬は、怖くて見上げることができません。

男の子は、その日から毎日、毎日

パンと牛乳を持ってやってきました。

ブルブル震えているので、

触ることができなくて、

そっと置いて帰っていくのでした。

数日もしたら、黒茶子犬も男の子が来るのが、

待ち遠しくなりました。

ある日男の子が話出します。

「ママがね、赤ちゃんを生んだけど、僕は、ちっとも可愛く思わないんだ。僕ね、妹なんか欲しくなかった。ママは、僕だけのママだったのに、、、」

と泣きました。

「今は、僕より妹が大事なんだよ」

黒茶子犬は、一緒に泣きました。

それから、一生懸命ワンワンと吠えてみたり

楽しそうに走ってみたり、

お手してみたり、

しっぽをバカみたいに振ったりして

男の子を笑顔にしようとがんばりました。

ある日の夕暮れ。

男の子は帰ろうとしません。

公園のベンチに座って子犬を抱いて寝てしまいました。

黒茶子犬は、男の子が野犬に襲われでも

したら、大変だと思いました。

ママを呼びに行かなくちゃ!

黒茶子犬は、男の子の膝から飛び出して、

男の子の匂いをたよりに家を見つけました。

ママが慌てている声がします。

赤ちゃんも泣いています。

黒茶子犬は玄関の扉をガチャガチャ動かし、

大きく吠えました。

何度も吠えました。

ママが気づいて出てきたので、

また、吠えて、

公園に向かっては、戻って、吠えて、

また、少し公園に向かっては、戻って

また吠えて。

何度も何度も。

ママは、突然子犬と一緒に走り出しました。

男の子を見つけるとギュッと抱きしめて泣きました。

男の子もママが迎えにきてくれたことを泣いて喜びました。

黒茶子犬は、男の子が喜んでいる姿を見て、

心が満たされました。

赤ちゃんがいるから、動物は飼えないと

言われていたけれど、

ママは、この子は犬の姿をしているけれど、

きっとあなたの弟なのね。

人間なんだね。

と一緒にお家に連れて帰りました。

そして黒茶子犬はまた3人兄弟になって

楽しく暮らすことができました。


名前は、のあと名付けてもらって。


「のあ〜ご飯だよ〜」



         

     おわり




ノアちゃんというかわいい方をイメージして書いたけど、
全然違うかもしれません。
頭が良くて、優しい、癒やしのある人の気がして。あと寂しがりやで頑張りすぎ屋(笑)
失礼しました。