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第6回複雑系スモールワールド_主題2

フランケンとの対談
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いまだ金時ラジオ 第6回 複雑系スモールワールド
「読まなくてもいい本」の読書案内
主題2 ポストモダンとリゾーム。因果関係だけでは説明不能なリアルワールド。

最初にポストモダンのお話。
1970年代、フランスの思想家。伝説的なスターが、ジル・ドゥルーズ(哲学者)とフェリックス・ガタリ(精神科医)のコンビ。彼らがリゾームという本を書いた。でもこの本、読んでみても、全く意味が理解できない。無意味な言葉遊びのような本。

少しだけ本から引用
地下の茎(くき)たるリゾームは、ラシーヌやラディセルから絶対的に区別される。球根(きゅうこん)や塊茎(かいけい)はリゾームである。根ないしラディセルを持ついくつかの植物もまったく別の観点からリゾーム状であり得る。。。。。

この難解さがポストモダンの最大の特徴だよ。裸の王様みたいに、わかった風に語るのがポストモダンにかぶれた人たちの特徴。なんでこんなことになっちゃうのかは、ポストモダンの起こりであるウイトゲンシュタインとデリダが徹底的に「言葉」と言うものの意味を殺しちゃったから。この時代の文章は、理解できないことが本質っていうわけのわからん価値観だった。
でも、後になって、このリゾームは何かの真実をついていた、と理解されるようになる。のか?

リゾームという本で著者が言いたかったこと
原因が結果を生み、その結果が原因となって新しい結果が生まれる。こうした因果関係だけでは、世界の現象をうまく説明できない。リゾームとは、壁を覆う蔦(つた)のように錯綜(さくそう)し、どれが幹でどれが枝かわからないもの。でも当時は、このような現象をうまく説明することができなかった。
世界の秩序を、ドゥルーズとガタリはリゾームという概念で表現した。そして、当時はうまく表現できなかったこの概念こそが、複雑系のスモールワールドのことだったのだ。この「パラダイムシフト」を成し遂げたのが、数学者、物理学者、経済学者でコンピュータグラフィックスの父でもあるベノア・マンデルブロだ。あとで登場します。

物理学における決定論は、Aが原因となってBが起きるという因果論で、AとBの関係は一対一で決まる。ニュートン力学は決定論でできていて、質量と位置、加速度などの条件が決まれば惑星の軌道は正確に計算できる。しかし、因果関係や決定論だけではうまく説明できない現象が見つかるようになった。水を入れたコップに花粉を落とし、顕微鏡で覗くと細かく動き回っている現象。いわゆるブラウン運動だ。花粉の移動は、確率的にしか予測することができない。花粉の動きはランダムネスであり、その移動は正規分布(ベル・カーブ)で説明ができる。正規分布の代表は身長や学校の成績。身長150cm、2mという人はいるけれども、身長5cmや身長5mという成人は存在しない。

この話は、物理の真実として考えられていたニュートン力学と言う決定論が、量子論を通じて確率論の特殊な一部分に過ぎない、と言う別のパラダイムシフトにつながっていくね。 正規分布とべき分布、と言うものの違いを論じた領域は何も哲学だけではないんだね。

因果関係とランダムネスをもってしても説明できない現象が世界を支配している。
資本主義のリアルワールドを考えてみよう。
アメリカ人世帯の平均的な資産のボリュームゾーンは900万円前後。それに対して、Amazonのジェフ・ベゾスの資産は8兆2000億円。
この差を正規分布で説明することはできない。正規分布の代表である身長に置き換えてみるとその意味が理解できる。アメリカ人世帯の資産のボリュームゾーンである900万円を日本人の平均身長(170cm)に置き換えてみると、ジェフ・ベゾスの身長は227km。
世界中の人々が行き交うアメリカの空港で、170cmの日本人のとなりを身長227kmのジェフ・ベゾスが歩いている世界。これこそがべき分布(ロングテール)の世界。複雑系と呼ばれる世界だ。
水分子は勝手に動き回っていて、その動きは、ランダムであり、確率的予測可能である。しかし、資本主義経済の中で、個人と個人は、互いに影響を及ぼしあうため、お互いに強いフィードバックを生じる。その結果生じる経済格差の分布は、ランダムネスでは説明できない世界。ロングテール、すなわち複雑系になるのだ。

ほら、わかんないでしょう?実感できないんですよ。言葉にならない。
だから、これを既存の概念で表現しようとすると、ガタリみたいな「ネズミは群れた時リゾーム足り得る」とかになっちゃった、と言う話ですよ。
このめちゃくちゃな世界観に、明確なパラダイムを与えたのが、マンデルブロ。

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