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第6回複雑系スモールワールド_主題4

フランケンとの対談
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いまだ金時ラジオ 第6回 複雑系スモールワールド
「読まなくてもいい本」の読書案内
主題4 フランケンの説教ポエム

それではそろそろ説教タイム。

・複雑系を選んだ理由
このラジオでやってきたのは、いわば師匠と僕の人生哲学を体系立てて語る、という作業だ。偉そうに言った割には、やってきたのは他人が書いた本の哲学を引用して並び変えることだ。
自分たちのオリジナルを出せよ!と、思いますか?
僕たちアカデミア出身の人間は、他人のアイデアを引用考察して独自の体系に組み入れてストーリーを語る、ということをやってきた。だから、釈迦や孔子のように、ほぼほぼインプットなしに自分の中から真理をひねり出すなんてことはしない、というかできない。
ぼんやりとした価値観とストーリーを見事に説明できる他人のアイデアを見つけたら、大喜びで使わせてもらう。

そんな中で、Yesには明確な理由が必要だ、という師匠の哲学(正しくは考察)と、自分のために人生を生きろ、という僕の屁理屈は、ほぼほぼ同じ宗教観を持っていて、数冊の本を束ねることで体系化できるよね、という結論に至った。
始めの一冊は3話で紹介した「エッセンシャル思考」。師匠の「コネクティングドットでとがらせたベクトルを、本当のYesを言うために磨き上げろ」という力作だった。

4話で紹介した「クリックモーメント」では、エッセンシャル思考とのかかわりについて僕らの持論を展開した。基本的には「何度も賭けろ、当たったら全突っ込みしろ」が趣旨だったが、この本では、最後のチャプターに大きな謎があった。複雑エネルギーという概念だ。
なにやら複雑エネルギーとクリックモーメントが結びつくとなんかすごいぞ、という内容なんだけど、いまいちすっきり理解できない。

そこで紹介したのが5話「人生は運でも実力でもなく、勘違いさせる力で決まっている」という本だ。
この本では、実力、という要素にすべてが構成されるという天動説的なパラダイムに、錯覚資産という地面を与えて地動説へのパラダイムシフトを演出して見せた。この錯覚資産ループがべき分布に従って、個人の錯覚資産を増大させる、というのがおそらくクリックモーメントで出てくる「複雑エネルギー」というものも断片的な正体ではないかと、僕らは思っている。

錯覚資産が、べき分布だということを感じたニュース。南海キャンディーズの山ちゃんが、蒼井優と入籍会見。これまで、キモい非モテキャラだった山ちゃんが、蒼井優との入籍関係により、一夜にして美女に溺愛(できあい)される超イケてる男という錯覚資産を手にした。しかも、それを日本国民全体の脳内にうえつけた。これこそ錯覚資産が、べき分布であることの証明。

さらに、この複雑エネルギーは、個人という視野からネットワークというスケールに広げる場合にも、特別な意味合いを持つだろう。

スケールをひろげて、個人という地面が複数集まって構成される世界とはどのような姿をしているのか?個人を中心に真っ黒い鍵束みたいにループが集約されるのか?
この地面を動かして見せるのが複雑系のスモールワールド、すなわちフラクタル理論だ。
ネットワークの中では、錯覚資産ループは特定個人を中心とした同心円を描くことは無く、自己相似性を持った世界として表現されるだろうと思われる。

僕はエッセンシャル思考とクリックモーメントは位相の違いだと思っている。エッセンシャル思考でとがらせた槍を、上の階層に届かせて、スケールアップした世界で槍をほかの槍とぶつけて束ねて、クリックモーメントを起こし、さらにスケールを上げて。
この繰り返し構造がフラクタルに連続しているという世界観を持っている。
だから、自分が今置かれている、あるいは作り上げた小さなネットワークの顔つきは、どこまでも自己相似を保ってスケールしていくのだろうと思っている。


自分の身の回りをつまらない構成にしてしまうならば、そのネットワークをどこまで広げてもつまらない世界にしか連結しないということだ。だからこそ、自分自身が面白く価値のあるネットワークの中心近くに位置できるようにならなければならない。これが今回この本を取り上げる事で強調したいメッセージだ。

これが大事だと思うのは、フラクタルが作り出す複雑系ネットワークの力の大きさを実感しているからであり、同時にそこからはじき出されることへの恐怖も実感しているということでもある。

橘玲はこの本で、複雑系を理解するにはパラダイムのシフトが必要だった、と言っている。過去形で、だった、といっているのだ。この文脈で語られる「パラダイムシフト前」の知的格闘の歴史が、ポストモダンの巨匠、ドゥルーズ、ガタリの提唱したリゾームという概念だ。彼らが確実に知覚し、かつ、表現できなかったリゾームを、フラクタルというパラダイムシフトを経て、現在の僕たちは複雑系スモールワールドという概念で理解できるようになっている。
このパラダイムを変えていくというのが人間と学問が持つ力だよね、って事を教えてくれる。
さて、
ここまでで、僕らの考える人生ライフハックはひと段落を迎える。

この先は、このライフハック哲学、とでも言うべきものをどうやって実践に移していくか、と言う事を考えていかなければいけない。

先生、この流れは、お待ちかねのアドラー心理学でしょうか?

エッセンシャル思考から、クリックモーメント、そして複雑系へと世界が拡張しました。そして今後は、再び、エッセンシャル思考と同じ個のレイヤーに戻ってみましょう。アドラー心理学、嫌われる勇気です。この本は、エッセンシャル思考、クリックモーメントを実践するためにも非常に重要な本です。

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