いまだ金時ラジオNote用正方形Logo

第9回ニュータイプの時代3

フランケンとの対談
00:00 | 00:00
主題2)クソ仕事の蔓延

メガトレンド3

クソ仕事の蔓延
失業は生産性向上の末に達成された歓迎すべき状況である
ケインズは、100年前に「生産性の向上により週に15時間働けば十分に生きていける社会がやってくる」と予言。でもそうはならず、本質的な価値を持たないクソ仕事(虚業的労働)が蔓延している。

お金が儲かるなら意味のある仕事だ、俺は金を儲けているから偉い的な戯言をいうバカはケインズを読むべき。例えば「生きていくためにお金が必要で、お金が稼げるけど誰の役にも立たない、誰かに害をなす」みたいな仕事って、本来あるべき仕事の姿ではないんだよ。本質的な意味なんてなくなっちゃってる仕事、これらをケインズは「穴掘り」って言ったのよ。
ケインズって、間違ってたよって言われることが多いけど、それでも「資本主義の成熟期には雇用を創出するためだけの仕事、すなわち生きるための日銭を稼がせるだけの本質的な意味のない仕事で溢れかえる」っていう予言ばビッタリ当たってると思う。この話題を深掘りしたい人は、ニーチェからボードリヤールからのケインズという流れを辿ると面白いですよ。飲茶先生の14歳からの哲学入門がそれにあたる。

僕ね、お金を持ってるから偉い、偉そうなことを言っても許される、っていうスタンスの人間が大嫌い。そういう人いるでしょ?嫌い。
同じように、誰かがなんか言った時に、でもお前お金持ってないじゃん。そんな奴の言うことは説得力がないよ、とか、偉そうなこと言いたいなら金稼いでから言え、とか言っちゃう輩も大嫌い。
それをいう人って、自分で自分のありようを否定している。
1億儲けてるからって、500万の人の言うことを否定する人は、10億儲ける人の言うことを無条件に受け入れるって言う意味だよね。でも、絶対それを受け入れることはないじゃん。稼ぐ奴が偉いって言う意見は単なる弱いものいじめだよね。

さて、クソ仕事、ケインズの穴掘りに戻るけど、この本では、クソ仕事の蔓延が仕事から意味を奪う、その意味の失われたクソ仕事をオールドタイプが永延に作り出し、破綻しないだけの無意味な資本主義を継続させる、という話をしています。「仕事に意味を抽出しろ」クソ仕事がクソ仕事であると気づくためには意味に注目しろって教えてくれる。これはとても実践的で具体的なメッセージだ。
この仕事、何の意味があるの?て聞いた時に「意味なんてないよ、仕事しろ仕事」って答えちゃう先輩にはなったらダメだよ。そういう人を捕まえて「昆虫みたいな人生」ってラジオで言い放ったら、ちょいちょいお叱りを頂いた。でも、目的意識のない人生送ってる人って、僕には昆虫の人生と区別がつかない。これ、本気で言ってますよ。ゴキブリは3億年以上にわたって種を繋いできたけど、身体のちょっとした変化を除いて3億年前と変わらない人生、虫生?を今も送ってる。飯食うために今日を生きる、みたいな人生を3億年続けても、多分その種族が別の何かに進化することはないんじゃないかしら。せいぜい電車の代わりにロケットを使ってる程度で、個体の人生の意味なんて大した変わらないと思うよ。

僕が感心したのは、この命題は経済学の中ではテンプレになるほど繰り返されてきたロジックであるにもかかわらず、山口さんが提唱するニュータイプ論にスルッと入れ込んでくるところだよね。この本、こういう芸術的を通り越して悪魔的ですらあるロジックの刷り込みを随所にしてくるところだよ。
こういう人のセミナーは多分危ない。僕なんか一気に信者にされちゃう自信がある。
またちょっと脱線した。

メガトレンド4
・社会のVUCA化
V = V o l a t i l e (不安定 ) 、 U = U n c e r t a i n (不確実 ) 、 C = C o m p l e x (複雑 ) 、 A = A m b i g u o u s (曖昧 )
経験の無価値化、予測の無価値化、最適化の無価値化


未来は予測するものでなく構築するもの。未来がどうなるかではなく、未来をどうしたいか?を考える人がニュータイプ。

僕、VUCAの話が苦手で苦手で。
よくわかんないんですよね。わかんないのが本質っていうのがまた難解で。

ここで覚えておきたいのは、VUCAな世界では、様々のものの定義づけが行われる前に次の状態に遷移して行く、ということです。だから、経験を貯めて、計画して、必勝法を求めて、という過去のスキームが威力を失うということでしょう。この話はスケールメリットの話題でもう一度出てきます。

メガトレンド5と6

・スケールメリットの消失

役に立つではなく、意味があるで差別化をはかる。
役に立つは、勝者総取り。インターネット検索エンジンのGoogle。1位のパフォーマンスを100。2位のパフォーマンスを90としたときに、報酬がその比率になることはなく、市場で生き残れるのは最も優れた検索エンジンのみ。
(役に立つではなく)意味がある市場では、多様化が生まれる。コンビニエンスストアでは、ハサミやホチキスといった役に立つものは、原則1種類しか置かれていない。そのような厳しい棚管理がなされている中、コンビニで1品目で200種類以上取り揃えらてている商品がある。それはタバコ。タバコは役に立たないけど意味があるもの。ある銘柄が持つ固有ストーリーや意味は他の銘柄では代替できない。マルボロを愛している人はセブンスターを買わない。

最大公約数的な価値っていうのは万人に常に受け入れられるって訳ではないということですね。
あるいは、なんらかの「意味」に関連づけられたニーズはビジネススケールの中で色あせない。

グローバル化が進むほど役に立つ市場の頂上は高く、狭くなりごくごく少数のグローバル勝ち組企業が独占する。一方で、なんらかの意味にフォーカスを絞ることで「グローバル×ニッチ」というブルーオーシャンが生まれる。
意味はコピーできない。矢沢永吉はコピーできない。

スケールメリットについてはとても面白い。
特にグローバルニッチという考え方がシャープ。
実は僕はこのセクションが1番好きなんですけど、このラジオを聴いてくれているクラスタにはちょっと離れた話題になるかもしれない。
スケールメリットというのは何かというと、巨大資本と大規模コマーシャリングで、マーケットを総取りするという考え方。これは売れる、というものが定義できれば、工場をドカンとたてて、テレビCMをガンガン打って、大量生産大量販売を狙う考え方。これまでの世界では、有効な戦い方だったって取り上げられてる。でも、今後はこの考え方はあまりうまくいかないだろうって、考察されてる。

『サブスケールの個人事業主が 、各々の関心や意図 、求めている 「意味 」に応じて精密にコミュニケ ーションをとることが可能になりました 。これを逆にいえば 、大量に作った製品を大量の広告によって告知し 、巨大な流通機構に乗せて売りさばくという 、かつての必勝パタ ーンであった 「スケ ールメリット追求型のビジネス 」の方こそが 、メディアと流通のありように対して齟齬をきたすようになっているということです 。』

この話はここでやるとながくなるので、後ろに回しましょう。
今は、「6つのメガトレンドとは何か?」という触りを簡潔に、というセクションですので。

・寿命の伸長と事業の短命化
『2 0歳前後で働き始め 、 6 0歳前後で引退するという時代にあっては 、多くの人が現役として働く期間よりも 、企業の平均寿命の方が長かったわけですが 、今日 、この関係は逆転し 、多くの人が現役として働く期間の方が 、企業の平均寿命よりも 、ずっと長いという時代がやってきてしまったということです 。』
このほんで山口さんは、原理的にキャリアチェンジが必要な世界になっていくのだから、いわゆる「一所懸命」みたいな倫理観が意味を持たなくなっていくだろうって言うわけです。
全く同意ですよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?