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Arizona Cardinals 23-24シーズンを楽しむための観戦ガイド(後編)


まえがき


NFLもweek2が終わり、各チームの状況が少しずつ見えてきましたね。
Arizona Cardinalsファンの皆様、心中はいかがでしょうか?

開幕2連敗、week2では前節40-0の大敗を喫したGiants相手に20点差からの奇跡の大逆転負け。NFL公式サイトのプレビュー記事で「恥ずべき敗戦から立ち直る最良の方法はCardinalsと対戦することだ」だなんて書かれる始末です。

ファンの皆様には憐憫、悲哀、嘲笑、諦念、そんなことよりオードリー若林さんどこ応援してんすか?といった声が聞こえている頃かと思います。

こういった状況ではありますが、本noteでは2023年のArizona Cardinalsのタンクシーズンをなんとか楽しむ上での注目ポイントを書き留めています。

※タンク:リーグ制スポーツにおいて、順位が下のチームが有利になる仕組みを活用するためにあるシーズンで意図的に戦力を低下させること。

※Cardinalsはどちらかというと「意図的に戦力を低下させているタンクを行っている」わけではなく「昨年までの負の遺産を清算している」段階なのだと個人的には思っています。物は言いよう。

なお、タイトルにも書いた通り本noteは後編です。
シーズン前に投稿した前半のnoteでは、以下のような内容を記載しています。

①オフェンスはMurray戻るまで機能しないしディフェンスはザル、今シーズンは引くほど弱い。
②正直プレーオフ考えるよりモック回した方が楽しい。
③来年のドラフトで全体1位取れたらCaleb Williams指名よりトレードダウンする派。

※前編のnoteは以下です。

夢も希望もないですね。では、希望の話をしたいと思います。

注目ポイント①:未来のスタープレーヤーを探せ!

前編で話した通り、今年のCardinalsのロースターには穴となるポジションが複数あります。

具体的にはWR2,LG,C,DT,DE,DE,ILB2,EDGE,EDGE,CB2,NBです。

多い。

これらのポジションについて、近年ドラフト/FAで獲得した若手選手を競わせることで来年以降の先発候補を見出すことが、今シーズンのCardinalsの最大の目的であり、ファンとしての最大の注目ポイントとなります。

弱点ポジションに限りませんが、注目株の選手としては、

・WR Michael Wilson(23年ドラフト3巡、シニアボウルでトップ評価のWRで先発WR)
・RT Paris Johnson(23年ドラフト1巡6位・ドラフト最上位指名のOTで先発RT)
・CB Kei'Trel Clark(23年ドラフト6巡・先発CB)
・WR Greg Dortch(ERFA。昨シーズンTgt10回以上の試合5試合中3試合で80yds以上を記録したCardinalsファン期待の選手)
・TE Trey McBride(22年ドラフト2巡・昨年のドラフトでトップ評価のTE)
・C Hjalte Froholdt(FA加入の5年目27歳、Cの経験は多くないがプレシーズンで活躍)

などが挙げられます。

特に評判が良いのが、以下のスレッドで紹介されているWR Michael Wilsonです。(怪我さえしなければ)Murray復帰後からから暴れてくれる予感がします。

上記の選手以外にも優先的に若手を使っていく見込みですので、勝敗ではなくこれらの選手の活躍を期待するのが今シーズンのArizona Cardinalsの主な楽しみ方となります。(でも何かの間違いでプレーオフでないかな・・・)

注目ポイント②:EDGEの先発争い

そして①には挙げませんでしたが、今のCardinalsのロースターで(2番手くらいになれそうな)将来性のある選手が揃っているポジションがEDGEです。例として何人か挙げてみます。※動画には今シーズン以前のものが含まれています。

・Dennis Gardeck:今期2試合で既に3サックを記録しているUDFA出身の叩き上げOLBで、ここ数年はSTチームのキャプテンも担当。あだ名は"The Barbarian"。
新HC Gannon、DC Rallisから「キャンプやプレシーズンでの期待を超える活躍」を評価され、開幕戦から後述のCollinsと共にEDGEの先発を確保。

余談だが、仲のいい用具係と「Gardeckが1試合で2つのビックプレーをしたらスポンジボブに出てくるDoodleBobのタトゥーを入れる」という謎の約束をしてしまったため、彼と用具係の体にはDoodleBobのタトゥーが刻まれている。

・Zavan Collins:21年の1巡ILB。大型で身体能力が高く、プレーの嗅覚に優れる。HCの指示により今期ILBからEDGEにコンバート。(なんでILB足りてないのにコンバートしたん?) 

・B.J. Ojulari:23年の2巡。全体10位のRT Darnell Wrightをして全体3位Will Andersonより対応が難しいと評されたルーキー。(なおDarnell WrightはOjulariもAndersonも割と抑えている。)

※本題とは違いますが、この記事にDarnell WrightがどうやってAndersonとOjulariに対処したかが書いてあって面白い。

・Cameron Thomas:22年の3巡。パワーとハンドテクニックに優れており、パスシチュエーションではDEとしても出場できる。というかそっちのほうが向いてそう。

・Mijay Sanders:22年の3巡。スピードラッシュに優れる。なおIR入り。

この2人を…こうして…こうじゃ!

・Victor Dimukeje:21年6巡。ハイモーターと評されるタイプの選手(NPBのドラフトにおけるシュアな打撃並みの評価)。今期はEDGEが7人開幕ロースターに残る熾烈な状況から、STでの評価を上げ見事ロースター入り。

・Jessie Luketa:22年7巡。こちらも当落線上の選手ながらEDGE,ST,FB(!)を兼任する献身的な活躍から見事ロースター入り。

※当落線上かと思いきやプレシーズンでまさかのMic'd Up獲得

はい、ロースター入りした全員が期待株です!あなたが推す将来の先発候補を探してみてください!

※開幕戦からLB陣は大活躍!(なお試合結果)

注目ポイント③:目まぐるしく入れ替わるロースター

今期の開幕ロースターの段階で、Cardinalsは既に他チームをカットされた選手7人をロースターに加えています。

※上記ポストの6人追加後にOL Carter O’Donnellも追加しています。

変な話、今シーズンのCardinalsは勝敗を気にせず選手を試すことができるため、以下のような正のタンクスパイラル(造語)を発生させられるかもしれません。

①FA選手や他チームのPSの有望な選手を53人ロースターに引き上げる。
②実際に試合で使って評価する。
③選手が結果を出せばIR入りさせて来年まで確保、結果が出なければカット。
④出場機会が得られるという期待により、FA選手や他チームのPSの選手を引き抜きやすくなる。
⑤①に戻る。

次々と現れる(といいな)新戦力を楽しみにしましょう。

ちなみに、こういったロースターを頻繁に入れ替え有望株の選手を探す現象は2019年にタンクシーズンを経験した(失礼)Miami Dolphinsでも発生しています。

注目ポイント④:トレードに出されるのは誰か

先ほど正のタンクスパイラル(造語)の話をしましたが、逆に負のタンクスパイラル(造語)も発生する可能性があります。

①契約切れ間近の選手や不満を持った選手をカット/トレードする。
②戦力が低下する。
③勝てないチームに選手から不満が出始める。
④選手がトレードを希望する。
⑤①に戻る。

です。無限に選手が出ていくわけですね(白目)。

何度も言いたくはありませんが、今シーズン開幕直後のCardinalsは当面負け続けることが予想されます。具体的にはKyler Murrayが復帰するまで。

この間に、今シーズンで契約が切れる何人かの主力選手はトレードされるかもしれませんし、そうでない選手、特に残りの選手生命が短いベテラン選手なども対価次第で十分トレードの可能性があると思っています。

ちなみに、個人的に怪しいと思っている選手は以下の通りです。

・WR Murquise Brown:今年で契約が切れる4年目。来年のドラフト候補に近年のWR最高のプロスペクトMarvin Harrison Jr.がおり、かつロースターにMichael Wilson,Rondale Mooreなどの期待株の若手選手がいる。
・TE Zach Ertz:2年契約中の32歳のベテラン。TEには22年2巡有望株のMcbrideがいる。
・WR Greg Dortch:今年で契約が切れるUDFA。ファンの期待が高いが、Dortchタイプの似ているRondale Mooreの活躍次第で放出も視野に入る。

他チームファン向けにはなりますが、Cardinalsと対戦する際には「もしかしてこの選手トレードできるんじゃね?」とか思いながら見ると一層楽しめるかもしれません。

ちなみに、こういった主力選手が次々にトレード/リリースされる現象も2019年にタンクシーズンを経験した(重ね重ね失礼)Miami Dolphinsでも発生しています。

注目ポイント⑤:新OC Drew Petzing&新DC Nick Rallisの采配

なんだかポジティブなのかネガティブなのかよくわからない話を続けてしまったので、個人的に少し期待している話をします。

HC Jonathan Gannonは就任にあたり、攻守のコーディネーターであるOC Drew PetzingとDC Nick Rallisを自らの意思で採用しています。

当然彼らは初対面ではなく、それぞれ
HC GannonとDC Rallisは昨年までのEaglesで、
HC GannonとOC Petzingは2014年から2017年までのVikingsで、
OC PetzingとDC Rallisは2018年から2019年までのVikingsで、
チームを共にしています。

これは、実力を知る人間を選べたという意味でも、首脳陣のコミュニケーションの面でも、近年、前GM主導で選んできたコーディネーターがあまり機能しなかったという実績からも、期待できるのではないかと考えています。

OC Petzingは36歳、DC Rallisは30歳とまだ年齢も若く、Rallisに至ってはNFL最年少のコーディネーターです。二人とも今回が初めてのコーディネーター就任となりますが、今シーズン中に経験を積み来シーズンから彼らの采配が光ることを期待しています。

※以下はDrew Petzingの経歴がまとめられた記事(有料)。MINのOC時代に彼を引き抜き、OCとして2度のSuperbowl制覇を経験しているNorv Turnerが、Petzingの知識の豊富さや勤勉さを賞賛している。これ見てからほんのり期待している。

注目ポイント⑥:Houston Texansの敗戦

そろそろアメフトの勝敗を楽しみたい頃ですよね。そんなCardinalsファンのあなたにHouston Texansの相手チームを毎週全力で応援することをお勧めします。

23年ドラフトにおいて、Houston TexansとArizona Cardinalsは以下のトレードを行っています。

これにより、CardinalsはWill AndersonというNick Bosa,Myles Garrettに匹敵する近年屈指のEDGEプロスペクトを取り逃がすこととなりますが、一方でTexansの24年1巡指名権を獲得することができました。

つまり、23-24シーズンでTexansが負ければ負けるほど、24年ドラフトでCardinalsが有利に立ち回れるようになります。

というわけで、今シーズンのCardinalsファンはCardinalsよりもTexansの対戦相手を応援しましょう、そのほうが精神衛生に良いです。

ちなみに、今シーズンのTexansのスケジュールは以下の通り。Week11ではしっかりCardinalsも応援することができます。

一つでも多くTexansが負けることで、Cardinalsが全体1位と2位を確保するスーパータンク(造語)を達成することを期待しましょう。

まとめ

色々書きましたが、今シーズンのCardinalsファンがやることは2つです。

1)勝敗は気にせず、個々の選手の活躍、コーチのプレーコールに期待し、サムネイル画像の大沢たかおのような温かい目で見守る。
2)Houston Texansが敗戦するよう呪い続けるすることをちょっぴり期待する。

です。

ちなみに、文中に何度か挙げた2019年にタンクを行ったとされるMiami Dolphinsですが、結果としてシーズン終盤で調子が上向き、翌年のドラフトでは全体5位に終わりました。
さらに、そのドラフトで全体1位を獲得したBengalsが再建に成功し数年後にSuperbowlに進出しています。

良くも悪くも思惑通りにはいかないのがNFLの面白さですね。そう考えるとCardinalsの今シーズンにも少し期待ができるのかもしれません。

最後になりますが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
それでは、来年のNFLドラフトでお会いしましょう!


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