吉田恵輔 『空白』 ちくしょう意味ばかりではないか
あるイモ大学生が人生初の美容院でヘアスタイリストに突然「どうしてわざわざ寝癖をつけるんですか」と質問した,なんて笑い話があるけれども,わたしは笑うよりむしろ感心する。ファッションやら絵画やら音楽やらとはその実,みな寝癖のようなものではないか。ここで重要なのはたとえば寝癖と無造作ヘアの弁別閾ではなく──それは両者の画像をモーフィングして心理物理実験をすれば小一時間で求まる──,むしろある文化の前提を受け入れるか否かにあるだろう。
以下の文章は寝癖の一例である。
あらすじ