見出し画像

2022.2.19-20 八ヶ岳・東天狗岳

先週末の山行記録。
2/5-6から延期していた八ヶ岳雪山入門を遂に実施した。ワンゲル部の50期上の大大大先輩(Fさん)に連れて行ってもらい、強風、低温の八ヶ岳厳冬期の2500m級の山行経験を積むことが、今回の目標であった。

【1日目】
4:30に起床、荷物(計量したところ25kgあった)を持って鈍行で茅野駅へ向かう。途中甲斐駒ヶ岳が綺麗に見え、期待が高まる。

9:23茅野駅着。メンバー4名とOBのFさんと合流し、ジャンボタクシーで渋ノ湯登山口(渋御殿湯)へ向かう。この時期、バスでは積雪のため渋御殿湯までは行けず、1km手前の臨時バス停までしか行かない。タクシー代高く(片道1人3000円…)財布には痛いが、予定通り進みたいので背に腹はかえられない。
渋ノ湯に到着すると、アイゼンとロングスパッツを装着し、準備運動を行い出発。

これは登山全般において言えることだが、登り始め30分は、体を起こすためにゆっくり登る。体の血が巡った(起きた)ら徐々にスピードを上げる。そして疲れる前に1本休憩をとる。こうしないとすぐにバテてしまう。
また、今回のように複数人で登る場合は、分岐点では先行者は必ず立ち止まり、全員着いてきているかを確認して、必ず地図とコンパスで進行方向を確認する。そして休憩の度に先行者は交代する。このような基本事項を確認しながら、歩を進めていく。
特に、この登山道は、初めからしっかり登りが始まる。体力に気をつけながらじっくり高度を上げ、コースタイム通り2時間半で、13:30黒百合平着。

テントを幕営して簡単な昼飯を食べ、14:30雪上訓練に移行。ラッセルの訓練や歩行訓練、滑落停止など、基本的技術の確認を行った。その後、夕食(カップラーメン、チョコパン)を食べ、明日の行程及び天気の確認を行い、19:30就寝。

【2日目】
4:30起床。朝飯(イチゴジャムパン、コーヒー)を食べ、全員分の荷物をサブザックに入れて各装備を着け、出発に備える。予定では6:00出発(日の出は6:30)だったが、10数年に1度と言われる当日の積雪(1晩で50-80cm)と強風のお陰で視界が悪いため、日の出を待つことに。テントが半分ほど雪に埋まって押されていたので、ショベルで掻き、ついでに埋もれていたピッケルを救出。
日の出を確認し、6:30天狗岳に向かい出発。
右にも述べた通り悪天候のため、撤退覚悟のアタックとなった。まずは黒百合平から中山峠の稜線まで出て、天気の様子を見て進退を判断した。この際、ホワイトアウト(広義)してはいたがある程度先まで見通せる状態だったので、稜線を進むことにした。かなり風が強く、風速はおそらく10-12m/s程度。強風に煽られないように気をつけながら進まなければならなかった。オマケに、こんな悪天候でアタックするパーティーは自分たちの先には居なかったらしく、全くトレースが無い。自分たちでルートファインディングを行い、ラッセルで道を作りながら進むことになった。ちなみにラッセルとは、トレース(先行者の踏み跡)が無い時に雪を掻き分け、踏み固めながら雪道を作っていく作業である。腰/胸まで埋まる程度の雪の中でラッセルすることを「腰/胸ラッセル」と呼ぶ。

この辺りは余裕があまり無かったので写真は無い。ちなみにラッセルは体力を激しく消耗するので、一人約5分で交代する。ここで、私はメンバー内でもっとも腕力、膂力があったため、斜度30度の斜面を胸ラッセルで進む際のラッセル隊長を務め、数十メートル高度を上げさせてもらった。 ふと後ろを振り返ると、社会人山岳会のパーティーが我々に後続していた。

途中偽ピークに一瞬騙されそうになったが危うく回避し(偽ピークをトラバースする際岩の上がアイスバーンになっていて50cmほど滑り落ちたが、咄嗟の滑落停止で事なきを得た。)、なんとか東天狗岳の山頂に到着。時刻を確認すると、ちょうど9:30。コースタイム1時間半のところを3時間かけて登ったことになる。時間的天候的に西天狗岳行きは不可能と判断し、下山することにした。

東天狗岳(2,646m)

暫くして同じく登頂した後続パーティーにラッセルの感謝をされ、写真を撮ってもらった。(我々の大学名)ワンゲルが居なければ登頂できなかったとまで言ってもらい、達成感が増した。どうせモザイクかけてるのでどうでもいいが、一番右が私。

ひとしきり登頂の喜びをメンバーで分かちあうと、風も強いためとりあえず下山を開始し、樹林帯まで下ってから1本休憩をとることにした。

ラッセルの跡
休憩中の一コマ

休憩をとって黒百合平まで戻ると、ちょうど11:00。バス出発が14:55で渋ノ湯臨時バス停まで2時間30分かかることを見越して、簡単な昼飯を食べテントを撤収し、12:30に出発。

下りは楽だった。半ば駆け下りながら高度をグングン下げ、14時過ぎにはバス停に到着した。Fさんと談笑しながらアイゼンやピッケルを片付けてゆったりとバスを待つ。

定刻通りに来たバスに乗り込むと、1時間程で茅野駅に到着。Fさんにソースカツ丼と地ビールを奢っていただき、有難い話を沢山聞かせてもらった。話を聞いていると、50年前のワンゲル部、山岳部は軍隊的な「しごき」の文化であり、30人入った部員が卒業時には4名だったとのこと。現在は大きく様変わりしたもんだと驚いた。食べ終わると既に17時前となっており、帰りの電車的に時間があまりなかったため、名残惜しい中、各自家に帰った。

今回の記録はこれで終わり。雪山の厳しさ、楽しさを味わった今、また新たな気持ちで山に向かっている。次はどこに登ろうか、と考えるのが楽しくて仕方がない。

とはいえ、勉強や家計のこともあるので無尽蔵に山をやれるわけでは無いのが現実である。どこを節約して、どこにお金をかけるか。(私の場合ほぼ友人と遊ばず、外食もせず、オシャレもせず、山にしかお金を掛けていないのでこれ以上削れと言われても難しいが…)いずれにせよ、よく考えなければならないと思い知らされた今回の山行でもあった。。

ではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?