シュガースウィート1号


**◎CLUB VENUS **

久保さん[※注1]ってほんとエライ。エライったらエライ。だーって、毎月毎月もぉ鼻血出そうなスゴ腕DJ呼んじゃってさ、わたし達を驚かせまくってる。でもそんなことはどうだっていいの。わたしはクラブ・ヴィーナスが大スキなの。よく気の配られたあの空間が大スキなの。オービタル&システム7のときの外の雰囲気や、イビサのパーティーのときに何げなく置いてあったソファー。久保さんが「たかがDJ、されどDJ。」と言っていたけど、それは8月のヴィーナスでよくわかった。誰がDJしてようが、今この瞬間が楽しいかどうかでしょ?さすが久保さん、遊び人!

そんなこんなで(?)大人気のクラブ・ヴィーナスですが、みんながテクノにしか興味を示さないのが少し残念。わたしなんてぐわっとくるモンであれば別にこだわりないもんで、毎回アホみたいに楽しませてもらってます。クラブ・ヴィーナスに行きたい!と思った最大の理由は、久保さんの書いたレイヴの記事や写真を見て、あの世界に憧れたからというわけですから。

しかし、今はやっぱりテクノが面白いというのは彼もご承知でしょう。次はリッチー・ホーティンだって!1月28日。やー楽しみだわね。ところでわたし、キヒラさんのDJが大スキなんだけど、東京でもたくさんやってくんないかしら?フミヤさんばっかりじゃなくてさ。よろしく頼みまっせ、久保さん。

◎DISTORTION

田中フミヤ氏といえば、今やDJ界のイチローか?ってなカンジで独走ぶっちぎりに飛ばしまくってるイイ男。彼のDJプレイにガッチリもっていかれたわたしは、東京はもちろん、休みが取れれば関西まで足を運び、そのたんびに「東京でも沢山やってください!」とお願いしたりしていたのだけれど。

そんな思いが伝わったのかどうかはさておき、遂に東京でもフミヤ氏の定期的なレコード回し[※注2]が実現。ああ、あの開いて間もない頃のロウ・ビートものの気持ちいい選曲&バキバキアシッドのオンパレードが月イチで聴けるのねぇ♡と完璧に舞い上がって足を運んだが、ん?ちょっと待った。やっぱりイエローで平日だというのがいけないのかしら、何かいまいち盛り上がりに欠けるんだなぁ。だって、午前3時のピーク時にアフロヘッドが鳴り響いても興奮しない状況なんて、なんだかちっともつまんない。フミヤ氏はまるで取り憑かれたようにハードものをかけまくるばかり。

最近テクノのクラブはお子様ばっかでつまんない、とか言われるのがわたしはすっごく嫌だけど、大人ばっかのクラブもつまんないだなんて、そんなのぜったい納得いかない。ヘタクソDJのくだらないイベントならともかく、客次第でもっとどうにでもなると思うグーな構成なので、バカな大人の皆さんは是非イエローへ集いましょうよ、ホント。

◎HAPPY PROMENADE

ハッピー・プロムナード。とか言っても誰も知らないとは思いますが、12月18日に原宿のホコ天で行った、わたし達仲間内のイベント。え〜内容は「ラブリーな人達によるピースでハッピーなハチャメチャ野外テクノイベント」って、たった今わたしが勝手に考えたんですけど、バカっぽいかしら?でもやっぱりバカなんじゃない?みんな結局楽しいことが大好きでヘンに気取ってないもんだから、人生やKLFやデイヴ・クラークやLFOやオザケンまでかけちゃう。それを聴いて手を挙げてギャ〜だって。日曜の昼間に。だからわたし達はクラブで騒ぐときに「今ここで奇声を発したらちょっとカッコ悪いかしらん?」なんて、いちいち考えたりしない人間だってこと。

ライブもやったりして(かなりいい感じ)雰囲気も割といいし、あとは技術と客のみ!ということで、次回のイベントは「FANTASIA」で、なぁんと1月6日の夜からぶっ通し2DAYS!場所は幕張の海浜病院前の検見川浜の「F」マークのある所(詳しくはレコード屋の青いフライヤーをチェック)。わたしも目指せ女田中フミヤ、追いつけ追い越せサスキア嬢をモットーにDJ頑張りますのでヨロシク。新年早々楽しく踊りたい方は是非どうぞ。ちなみにタダです。

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・最近友人に借りて毎日のように聴いてるのが「Frontpage」のコンピの『Higher Techno』。クラブヒット中のオイシイ曲ばっかりを持ってきて、ほんとサイコー。少ないお小遣いで冒険して3枚レコード買うより、これ1枚買ったほうが絶対お得。ありがたいです。

・94年は何といってもデヴィッド・ホームズが来たというのが嬉しくてなりませんでした(サイン貰った♡抱きついた♡首にチューしてくれた♡)。彼の作品は「Johnny Favourite」をはじめ、どれも素晴らしく、DJもわたしは大スキでした。アルバムまだかしらねえ。早く出るといいけど。

・「LOUD」にも書いてあったけど、TRIP HOP、来年クルんでしょうかね?[※注3]
ダスト・ブラザーズ[※注4]はとりあえず全部バッチリです。クリス・ニーズも近頃そんな音だしてます(ヘヴンリーから出た7インチとかね)。あの、大げさなシンセの音はとってもキモチイイ♡

・それとロックですみませんけど、やっと出たストーン・ローゼスの2nd。昔の衝撃ほどではありませんが、それでもやっぱりいい曲ばっかり。7曲目なんかバリバリかっこいいです。

・あとひとつ言いたいんですが、どうもテクノ系はカッコイイ女がいないぞ。オシャレしてクラブでしとやかに踊るだけでいいの?もっと独特のパワーで引っ掻きまわしたれ〜!

・今いちばん好きな雑誌は「LOUD」。クラブをベースに考えているっていうのが好感もてるし、テクノ雑誌じゃないのも◎。書いてることも面白いし、平田さん「REMIX」辞めて正解でしょ。

・それから毎月末にLOFTで貰えるフリーペーパー「デジタルビスケット」がラブ♡趣味がおんなじとかいうわけでもないのに、なんかワクワクしちゃうチープな読みもの。あ、別にプレゼントが当たったからとか、応援してもらったからとかいうわけじゃなくって。

・横浜アリーナの電気のイベント[※注5]にはかなりショック。フミヤ氏のこれでもか〜のヒット曲メドレーに脳みそぶっとびのはずが、周りはシーン……。同じフィールドにいたはずの人間の耳の進歩の無さと、その間にできた溝の深さにガックリ。帰り際にうしろで「なんか〜、あのぉ〜、フミヤとかいう人ぉ〜、つまんなくって〜、早く帰れってかんじぃ〜」とおっしゃってらした妖怪女。死んでしまえ。

・94年の10大事件のひとつとして挙げられるのが、CISCOテクノ店オープン。さすがに専門店なだけあって、入荷は早い、早い。でもみんな行くから無くなるのも早い、早い。確実なものを買うには、店内の音をチェックするのが一番ですね。とりあえず今日本で一番テクノなお店でしょう。出来れば(出来るわけないけど)買い占めたい!

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◎SHAGGY HEAD DRESSERS/BUFFALO DAUGHTER

わたしも色々とお世話になった[※注6]「米国音楽」というインディー・マガジンが今度レーベルをはじめることになったそうで、既に3枚のCDが発売中。最近のテクノ狂いのおかげで、昔ほどギター・ポップなんかも受け付けなくなったのでたいして気にしてなかったけれど、このバッファロー・ドーターにはビックリ。「米国音楽」vol.3の付録CDに入っていた「Brush Your Teeth」が、なぁんかもぉさいこーキョーレツでカッチョイイ!子供騙しの人畜無害な歌謡曲なんてハナッから相手にしない、ビヨーンなへんてこポップス。川崎大助氏いわく「メタ・テクノ・ヒップホップ・パンク・サーフな架空スパイ映画のテーマ」だって。うんうん、そんなカンジ。DJの山本ムーグ氏以外が女の子だっていうのも、なんか得した気分で嬉しい。

11月にクアトロのイベントで早速バッファローのライブを観ることができましたが、ギター&ドラム&ターンテーブル&ムーグシンセ&TB303!!で素晴らしく、みんな帰り際にCDを購入してました。ちなみにこのCDは1〜3曲目がめっちゃいいよ。近々アナログも出る予定らしいので、そちらも要チェック。テクノばっかり聴いてる場合じゃないかもね。

◎RESPECT/HARDFLOOR

ん~、いいよね、ハードフロア。なんて今さら言ったらムシがよすぎる?いやぁ、実をいうとあんまりいいと思ってなかったんだよね、ろくに聴いたこともないくせに。だってもうみんなとりあえず、何が何でもハードフロアって言ってたじゃない?そんなにすごいのかなぁ、褒めすぎなんじゃないのぉ、って勝手に思ってたのも、夏にCISCOの視聴で何気なく「FISH&CHIPS」と出会うまで。……いやぁ、すごかったっす。それから急いで「FUNALOGUE」買って、キャー♡そして9月の来日公演でまた、キャー♡♡それでもってこのアルバムで、またまたキャー♡♡♡

まったく、鬼将軍とはよく言ったもんで、私の知り合いでももう3人もTB303を持ってるぐらいにあの音も親しまれ、そろそろいいでしょ、って誰もが思いながらも、それでもまだぐいぐい押されるあの音っていったい何なんでしょう。次々と現れてきた、ただ303をいじっただけの小学生アシッド・レコードにはぜんぜん感じられない、独特のグルーヴっていうか、そういうもの。それでいてちゃんと今の音になってる。もう、ここは彼らに任せましょう。恐れ入りました。バカにしててごめんね。また来てね。

◎HAUNTED DANCEHALL/THE SABRES OF PARADISE

音楽を聴いて体中に電気が走り、思考回路がめちゃくちゃになった最初の記憶が「ヘッド博士」と「スクリーマデリカ」だった人(わたし)にとって、アンディ・ウェザーオールっていうのはやっぱり特別。だから8月のウェザーオールの来日中止はショックだったなあ……。あの麗しき長髪入墨男(昔の話か)のDJが聴けるなんて、と大興奮してたのに!(でもテリー&ビリー[*注7]はよかったよ♡)

ところで皆さん、セイバーズの新しいアルバムは聴きましたか?ダブがダブダブしまくりで、めっちゃしぶくて超かっこいいです。ウェザーオールのダブ好きは昔からちらほらと出ていましたけど、ここまでイカしてるとはね~。ワン・ダヴもそうだったけど、夜中に聴くとすごくグッとくるんだなぁ。クラブで聴いてもきっといいはず。買うならCDのほうが曲数が多くていいかもしれない。

さて、来日のお流れの理由がこれだったわけなんだから、そろそろお披露目してもよろしい頃じゃなくって?もう94年は凄い人が来すぎてありがたみが感じられなくなってしまったけど、彼が来なくちゃどうしようもないでしょ。死亡説が流れたこともあったぐらいだけど。

それにしてもこの人って、一生こうやってかっこいいんだろうなぁ。

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*注1:写真家の久保憲司さん

*注2:1994年10月24日から1997年8月24日まで西麻布のイエローにて月に1回木曜の夜に開催されていた田中フミヤの定期パーティー

*注3:来ました

*注4:のちのケミカル・ブラザーズのこと

※注5:『DRAGON』発売時の電気グルーヴのツアーの横浜アリーナ公演に前座DJとして田中フミヤが出演したときのこと

*注6:小さなコラムを担当したり、ハギーベアーにインタビューをしたりとか

※注:7テリー・ファーレイとビリー・ナスティー

☆このB4コピー紙を折りたたんだフリーペーパーを作るにあたってはじめに考えたことは、岡崎京子みたいな感覚でウェザーオールのアルバムを紹介したり、雑誌に載らないような言葉を発する場を作りたいということでした。大昔すぎてただ読み返している分には全然大丈夫でしたが、改めて当時の言葉を打ってみるとノリが90年代感丸出しでやはり恥ずかしくて、言葉尻などを削った箇所もありますが、なるべくそのまま残しました。しかし口が悪い。

★最後の注釈以降の文章は2019年現在の追記です。

(SUGERSWEET第1号 94年12月)

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