電気グルーヴのオールナイト・ニッポン 石野卓球のオススメ曲
深夜のニッポン放送の電気グルーヴのオールナイト・ニッポン。この人気番組が与えた影響の凄さについてはある年代の方々ならご存知でしょうか。以下はそのオールナイト・ニッポンの中で一番影響力のあったコーナーについての話を。
土曜3〜5時の頃は4時50分、火曜1〜3時に移動してからは2時50分頃のちょうどエンディング前にいつもやっていた「オススメ曲のコーナー」は、「平成新造語」「アニメ実写劇場」「ギブアンドめいわく」などのバカコーナーばかりのこの番組の中で、唯一硬派なコーナーだった。毎週毎週石野卓球氏がお気に入りの曲をかけるというシステムは番組当初から行われていたものの、まるで卓球氏の独り言のようにひっそりと流れていて、コーナーらしくちゃんとリスナーから反応が出てきたのはやっぱりロッテルダム関連の曲をかけた頃からだと思う。あの狂った音にはほとんどの男子がノックアウトされていた。
私はこの番組をほぼ最初から毎週欠かさず聞いていて、はじめの頃はこのコーナーでインディ・ダンスがかかると喜んだり、808STATEやTHE ORBの新曲を聴いて気に入れば買いに走ったりした程度だったのが、THE PRODIGYなどのブレイク・ビーツのあたりから毎週気にするようになり、ある時「REZ」が流れたのをきっかけに卓球口調で言うところの「震えたね、これは。」が止まらなくなって、以来すっかりテクノ好きにさせられてしまった。ロンドン帰りの卓球氏がいつもより更に大きい声と強い口調で機関銃のごとく喋りまくったのを聞いた時の興奮は忘れられない。スヴェンのことをまだ「セブン・バス」と呼んでいたり、ピエール瀧にリッチー・ホーティンという名前を教えてたことも懐かしい。ここで紹介されたレコードが次の日からバンバン売れることを、WAVEなんかでは「卓球効果」と呼んでいたっけ。
まったくラジオという手段は私達をとりこじかけにしてくれた。視覚に邪魔されることのないラジオの深夜放送というほんの数時間の娯楽。この電波に乗って退屈な日常の隙間に入り込んでくる少し刺激の強い音楽を、私は信用していた。雑誌とは違い、自分自身の耳でその場で音を判断できるのが何より魅力だった。この番組は94年に終了してしまったが、個人的には高校3年間をオールナイトを聴きながら過ごしていたこともあって、このコーナーのことを思い出す度に青春を感じる。
♣︎オススメ曲ベストテン♣︎
1. REZ- UNDERWORLD
やっぱり圧倒的。AM放送でこれが流れたのはかなりの衝撃だった。
2. CONTE DE FEES- RENE ET GASTON
あまりの人気で2回もかけてくれた。ホントいい曲。GIANT TAB(石野卓球主催の年末イベント)で聴いた時は嬉しかった。
3.INTO THE NATURE- HARDFLOOR
卓球「'88年のアシッド・ハウス、あれのリバイバルが今イギリスで起きてて…」って、そんなの知らない若いリスナーに向かって言うとは!
4. KOMA(EXIT EEE REMIX)-INTERACTIVE
「これぞテクノ・ミュージック!」とまで言っていた、卓球のお気に入りの曲。
5. WATERFALL- ATLANTIC OCEAN
この1曲の為に「RUSH HOUR」というイマイチなコンピ盤を買っちゃった人も多いでしょう。きらめきテクノ。
6.THE GREEN MAN- SHUT UP AND DANCE
ブレイクビーツ・ミーツ・クラシックの変態曲。ラガ・テクノ。
7. LAND OF OZ- SPOOKY
ゲリラレコードのあれです。これがかかった時がちょうどゴールデンウィークで、途中から交通情報の後ろでこの曲が小さく流れてたのを覚えてる。
8. POINT BREAK- SULFUREX
最終回でかかった曲。驚いた。もうとにかくこんなの初めて聴いたから。
9. ICON- RHYTHIM IS RHYTHIM
テクノ・マスターと紹介してました。私はこれが初めて聴いたデリック・メイの曲だったな。美しい。
10. POING- ROTTERDOM TERMINATION SOURCE
ロッテルダム・ブレイクのきっかけの曲。卓球にバカ曲オブ・ジ・イヤーと言われてた。
♧こんな曲もかかったよ♧
・グー・ステップ・ママ- 少年ナイフ
ラットルズのカバー・アルバムより。まさか少年ナイフが好きだと思わなかったので嬉しかった一曲。
・I FEEL LOVE- DONNA SUMMER
かの有名なあの曲まで!
・NEW LIFE- DEPECHE MODE
卓球がレコードを忘れた為、ピエール瀧がニッポン放送のレコード室から選んで来たという珍しい回のハナシ。
(SUGERSWEET8号 1996年7月 )
☆思い出の曲のプレイリスト作りました。
貼っておきます。(2020年3月作成)
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