D.J. IN MY LIFE

MIX CD。本来これは、DJというもの、クラブというものをちゃんと知らない人達にクラブの疑似体験をしてもらい、DJの素晴らしさを分け与えようということだったと思いました。確かにリスナーの層は広がったような気もします。でも聴いた後に「うわ〜、クラブに行ってみた〜い!」ってちゃんと思われてるんでしょうか。曲つながってるし、かけっぱなしにはお手軽、と思われてるだけのような…。結局聴いてるのって殆どがクラブ好きの人だったりするし。MIX CDこそがクラブに行きたいのに行けなくなってしまった人達が家で聴くべきなのかもしれないですね。ここではその一部を挙げてみましょう。


『X-MIX-2』DJ:Laurent Garnier

シリーズもののMIX CDとして有名な「X-MIX」の中でも特に代表作なのがこのガルニエMIX。「Circus Bells」「Icon」「Final Frontier」などの名曲が綺麗に並べられていて、非常にロマンチックな展開。流れの作り方は本当にトップDJらしい感じ。この人は生よりもCDの方が合っていると思う。本物をクラブで聴くときっちり計算されているかのように整いすぎていて、まるでこんな感じのMIX CDを聴いているみたいなんだもの。よってこのCDだけはEモン(死語)。

『DJ-KICKS』DJ:Claude Young

C.J.ボーランド、カール・クレイグに続いてのシリーズ第3弾。初来日の時のプレイはあまり好みじゃなくて、とれま3周年で好きになって、これ聴かされて参りました。とにかく前半がすごい。こんなにカッコいい始まり方のMIX CDはなかなか無いでしょう。スクラッチなどの小技も過剰にならず、グルーヴ感もあって、それから何より凄まじいリズム感!ピッタリ合ってるんじゃなくて、微妙にずれている感じがやたら気持ちいい。最初のテンポの良さが最後まで続くような持続力がないのが残念なところ。

『COLD KRUSH CUTS』DJ:Cold Cut

日本オリジナル盤。普通に聴いていると全然DJ聴いてる感じじゃありません。テクノのDJみたいにスムーズな流れじゃなく明らかに違うものが混ざってきているのに、全部飛び入り参加みたいなノリで、かえって曲の移り変わりがわからなくなり、びっくりするほど時間の経過を感じさせない仕上がり。ジャングルの使い方もうまい。どっかに書いてあったように、ニンジャ・チューンの良質コンピとしてもいけます。ライナー対談は砂原良徳&永田一直。

『CD SCAPE』DJ:Justin Robertson

ちょうど3年位前に初来日した時のジャスロバのDJは、感覚でしか覚えていないけれどすごくバシバシと力強い音で、いかにも「どUK」という感じの選曲も好きだった。おとなしめのハウスでなんか慣れない感じのCD1よりも、その頃の面影を残したCD2の方が断然いいと思う。最後の方にどうしてもジャングルかけちゃうのは、やはりイギリスのDJだからなのでしょうか。ともあれ、またぜひ生のプレイを聴きたいところ。

『THE MUTANT SOUNDS FROM CHICAGO RELIEF』DJ:DJ Sneak

一時期爆発的人気を得たシカゴ・サウンドの代表格、リリーフ・レコードのコンピ盤としてエイベックスから出たスニークのMIX CD、とくれば、ご想像通りあのスカスカした音が延々続いているわけです。どこを切ってもシカゴって感じで、ここまでテンポが揃っているとホント聴きやすい。家で何かする時のBGMに使うとノリの良さで効率が上がること間違いなし。選曲&MIX共によい。田中フミヤ&平田知昌のライナー対談では、カジミア話に花が咲いてます。

『D.J.FUNK#1 FREAKY STYLE』DJ:DJ Funk

名はDJを表しています。もうどうしようもないほどファンキー&下品&おバカ。同じシカゴものでも上のスニークが上品に思えてしまうほど。ジャケットも曲のクレジットも無いので曲名すらわからないけど、大体自分の曲だろうと予測できます。もう一種類出ているMIX CDも同じような感じでしたが、こっちの方が流れが良かったのでオススメ。この人こんなにDJ上手いし、作る曲もカッコいいのに、もうちょっと支持しましょうよぉ。やっぱりチープすぎる?

『PSYCHOTRANCE4』DJ:Slam

これもシリーズものの第4弾(ミスターCやダレン・エマーソンなどがこれまでに参加)で、「Dark Forces」で有名なSOMAのSLAMがMIX。MIXもまあソツなくこなしていますが、選曲がハード、ディープ、ファンキー(ややトランシー)と、漠然とテクノと表現するに相応しいんじゃないかという、今レコード屋でかかっているような音ばかり。初心者向けかも。しかしSLAMって2人組じゃなかった?2人でDJするの?

『MIXMAG LIVE VOLUME 13』DJ:Darren Emerson&Dave Angel

今となっては懐かしい、私がMIX CD(CDじゃないけど)というものを初めて聴いたのがMIXMAGの付録のこのMIXテーブ。片面30分と非常に短いけれど「Altered States」「In The Dark We Live」「Afghan Acid」などの94年の音が満載で、今聴いてもステキ。ダスト、クアドランド、エイフェックスなどの曲も収録。ダレンは今年3月のガルニエみたいなプレイよりも、この頃の渋いアシッドかけてた時の方が全然いいと思う。デイヴ・エンジェルはやっぱりハード。

(SUGERSWEET第9号 魅惑のMIX CD 1997年7月)

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