コーネリアスについて話す会 前編

例えば“あなたがいるなら”が発売された時のツイッターでのちょっとした騒ぎ、もしくは『Mellow Waves』の発売時のタワーレコードでのトークイベントへの参加。その時に改めて感じたことは、音楽についてあーだこーだと喋ったりそれを聞いたりするのは楽しいということ。今やSNSを通じて家で好きな時に好きな音楽について会話をすることができる時代ではありますが、ここは敢えてどこかに集まってゆっくり話をしてみるのはどうかと思いつき、この会を企画してみました。今年、11年ぶりに新譜を発表したコーネリアスについての楽しいお喋りの会です。

日時  2017年10月1日(日)15時〜
場所  武蔵境ond
参加者  5人(6人)

みいともき  16歳 男性
伊勢健人  16歳 男性
うぃずやま  年齢非公開 男性
照井葉風  40代 男性
マキコ  40代 女性
大久保祐子  40代 女性 ⇦この会の企画&司会進行役
(ond マーコールデリ店員 大八木さん  30代 男性)


①コーネリアスとの出会い

大久保   それではコーネリアスについて語る会を始めたいと思います。よろしくお願いします!まずはじめに皆さんのコーネリアスとの出会いを聞かせてもらいたいと思います。好きになった時期やアルバムなどでいいので。じゃあ、照井さんから。

照井   えーと、フリッパーズ・ギターの小山田圭吾、ではなくてコーネリアスとしてと考えたほうがいいですかね?

大久保   そうですね。でもやっぱりフリッパーズからということですか?

照井   フリッパーズは1990年に“恋とマシンガン”が予備校ブギの主題歌になって、僕は中学2年生だったんですけど、それで聴いてすごくいいなって思って。

大久保   最初からいいなってかんじでした?

照井   うん。大人っぽいなと思いつつも。最初はジャズのボーカル・デュオかと思っていて(笑)。で、『ヘッド博士の世界塔』が中学3年生の時だったんですけど、中学生にとっては良さがよくわからなかったんです。で、解散した後に1stの『海へ行くつもりじゃなかった』を聴いたら、またびっくりしちゃって。それでどっぷりはまってしまったというのがフリッパーズとの出会いです。フリッパーズは似たような見た目の男性2人がバンドをやっている、ぐらいしか知識がない状態で、純粋に音楽だけを聴いていたので、どんな人がやってるのかを知らなかったんですけど、解散した後に、あの、UNOのCM?

大久保   はいはい。ウーノ!ですね。

照井   そう。男性用の整髪料のCMでいい曲が流れてきたのでTVを見たら、小山田圭吾がレコードをサクサクやってて、「小山田圭吾」って名前が出ていたから「フリッパーズの人だ!」って。単純に音楽がいいと思って"Into Somethin'"って曲に心を奪われたら、それが小山田圭吾だったっていう。その後にコーネリアスとしてデビューしたので、そのままずっと追ってるようなかんじですね。

大久保  へえー。じゃあ結構コーネリアスが始まった時から好きなんですね。長いですね。わかりました。では、えーと(10代の2人を見ながら)お2人は飛ばそうかな(笑)。先に、マキコさん。

マキコ  私もフリッパーズからなんですけど、最初はクラブで2人のDJを聴いて…。

大久保  2人って?え、小沢君もDJやってたの?

マキコ  うん。瀧見さんとやっていたイベントとかで。それからフリッパーズが好きになって。解散してからは小沢君にちょっと…最初はひいちゃって(笑)、どっちかっていうとコーネリアスの方が入りやすかった。

うぃずやま  そうですよね。2人がデビューして、“天気読み”の方が先なんですよね。「えっ!」て思ったじゃないですか。尾崎豊かなと思ったら小沢健二で、しかもジャケ見ると気怠い顔してアリス・クーパーのTシャツ着てるし。それをいうとコーネリアスは、さっきの話のUNOのCMとかでコーネリアスを名乗る前に、フリッパーズの3rdからきて92年位にいわゆるアシッド・ジャズ的な音をちゃんとやってたのは、わりと納得のいく流れだなと。予想済みの驚きというか。

大久保  そうですよね。私もフリッパーズ・ギターが好きで、好きになってからわりとすぐに解散してしまったのでかなりのショックで、それを引きずったままで小沢君がこれ(とデビュー時の写真を見る)でドーンと出てきたから、それもまたショックで。で、その後に小山田君も出てきた時に“太陽は僕の敵”ってタイトルの時点でおーっ、てなって。

うぃずやま  「ジェネレーションX」。

大久保  そう。で、消去法で、フリッパーズ・ギターは超えられないけどなんとなく好き、みたいなかんじでコーネリアスにいってたんですけど、一旦『69/96』で心が離れて…。

うぃずやま  心が離れて(笑)。

大久保  なんかベックとか出てきて一緒にローファイになっちゃって、洗練されたポップスをわざと汚くしてるような気がしてあんまり好きじゃなかったんですよ。で、『FANTASMA』で「うわっ」ってまたを掴まれて、そこからずっとコーネリアス好きですね、私は。じゃあ、うぃずやまさんは。

うぃずやま  まあ、ご多分に漏れずフリッパーズです。“恋とマシンガン”がレコード大賞を獲ったので多分聴いてはいたんだけど、最初はそんなにこなくて。時系列は覚えてないけど、テレビ神奈川ですごい沢山PVを流していて、それで“Groove Tube”を観てガーンときて。で、すぐに解散しちゃったから、別の意味でまたガーンときたんです。それから昔の曲も遡って聴いたかんじですね。基本的にテクノやヒップホップが好きだったので"Groove Tube"もわりとその流れで聴けて。2人のデビューもチェックはしていたので『The First Question Award』も『犬は吠えるがキャラバンは進む』も聴いてはいたんだけど、自分の中でファースト・クオリティになったのは実は『Point』。そこでちょっと特別な存在になったかなと。

大久保  『Point』はね、いいですよね。

照井  逆に僕は『Point』から聴かなくなっちゃいましたね。『Point』『Sensuous』は聴いていなくて、今回の『Mellow Waves』を聴いてから、また敢えて遡って聴いたんです。

大久保  へえー。面白い!それは理由があるんですか?

照井  でもそういう人、多いんじゃないかなと思うんですよね。『Point』は小山田圭吾の声(歌)とかメロディを求めてる人にとってはあまり魅力的ではないというか。音なのかメロディなのかでいうと音なので。で、今回の『Mellow Waves』は音とメロディと声もあったので久々に聴けて、なんならちょっと琴線に触れるようなところもあったので、またコーネリアスに心をもっていかれた。だから全然、敬虔なファンではないんです。

大久保  いやいや!それ面白いです。『Point』って結構コーネリアスのキャリアの中でピークというか、重要なアルバムじゃないですか。そこで離れちゃった人がいるっていうのは意外でした。

うぃずやま  『Mellow Waves』にがっかりしたっていう人もツイッターで見ました。その人は坂本龍一が好きで最新作の『async』を最高傑作って言うような人だから、『Point』ってそれと共振するような音響的なつくりじゃないですか。『Mellow Waves』は前二作に比べるとエクスペリメンタルさが控えめだし、すごく納得がいく意見だなあと。

大久保  まあそれぞれ好みがありますよね。アルバムごとに結構ばらばらな音なので。そうかー。わかりました。で、私はこっちの10代の方の意見が聞きたい!伊勢さん。

伊勢  俺は最初は中1の終わりぐらいに小沢健二から聴いて。そこからフリッパーズにはまって、小山田圭吾って人を知ったので、フリッパーズからコーネリアスを聴くまでに半年ぐらい間があったと思います。で、中古レコード屋に行ったら『Fantasma』のアナログが300円ぐらいで売っていたので…。

大久保&マキコ  ええ!そんなに安いの?

伊勢  そうです。で、あの人だ、って思って買って聴いたらすごい気に入って、そこからスタジオ・アルバムとかリミックス集とかも集めたってかんじですね。

大久保  へえー。ちなみに小沢健二はどのアルバムから入りました?

伊勢 『LIFE』です。

大久保  ほお。じゃあ最後にみいさん、お願いします。

みい  僕も一番最初に好きになったのは小沢健二なんですけど…。

うぃずやま&マキコ&大久保 え、なんで?(ざわざわと)なんでみんな小沢健二なんだろう。

照井  多分、知名度の差じゃないですか?

うぃずやま  でも多分、高校生の2人が生まれて物心ついてから去年あたりまで、小沢健二ってほぼ活動してないでしょう?

大久保  お母さんの影響で聴いたとか、そういうことでもないんですか?

みい  いや、あとで聞くとお母さんも聞いてたらしいんですけど。でも小沢健二を好きになる前にコーネリアスの名前は知ってて、NHKの「テクネ 映像の教室」っていう番組ががあったんですけど、その音楽をコーネリアスがやってた回があって、それでコーネリアスっていう名前を知ったんです。で、もともとコーネリアスってビジュアルが全然わからなくって、フライングVを弾いてるっていうのを聞いたので、長髪のすごい人が出てくるのかと思ったら…。

一同 (笑)。

みい  なんか全然普通の文系感のある人が出てきて(笑)、その時は好きってわけじゃなかったんですけど。でも去年、小沢健二を聴いてフリッパーズも聴いて、その流れでコーネリアスを聴いたときに、あ、かっこいいなと思って、それから好きになりました。

大久保  へえー。それはどのアルバムなんですか?

みい  最初に聴いたのは『Point』だったんですけど、のめり込むほどではなくて、好きになったのは『Fantasma』ですかね。


② 『Mellow Waves』以外でいちばん好きなアルバム

大久保  じゃあ皆さん、『Mellow Waves』以外で好きなアルバムっていうのは、そうすると…?

うぃずやま  今のところ『Point』の名前が多いかな。

大久保  私は『Fantasma』と『Point』が同じくらいなんですよね。『Fantasma』はコーネリアスらしいというか、これを待ってた!みたいなかんじがあって。可愛らしいし、オタクっぽいし、その時代も音もちゃんと取り入れてるし、大好きだったんです。で、フリッパーズ・ギターってわりと洋楽好きの人たちに支持されてたと思うんですけど、解散して2人が分かれてからって「渋谷系」って言葉も出てきたりして、日本人に向けられちゃうというか…。

うぃずやま  ドメスティックな。

大久保  そう、それが『Point』でいろんなタイプの音楽好きに支持されるような音楽家になったような気がして。音だけ聴いても凄くいいし、ライブでの映像との素晴らしさもあるし。『Sensuous』にいくと、子育てとか私の生活や音楽の聴き方の変化もあって、ちょっと離れたんですけど。そう思うと『Point』が一番かな?いや、でも昨日『Fantasma』を聴いてたらすごい良くて!(笑)あれ最後、いろいろフラッシュバックして壮大に消えるかなと思ったら、ぽつーんって終わるじゃないですか。あの終わり方がねー、いい。

うぃずやま  コーネリアスというか小山田圭吾ってってアルバムの終わり方をいつも凝る人だなと思って。フリッパーズの時から曲のリフレインとかそういうのだし。『The First Question Award』ぐらいでしょ?あっさり終わるの。

大久保  でも今回の『Mellow Waves』はあっさり終わってますよね。

うぃずやま  そう、それってCDで聴いてますよね。それなんですけど、この間レコードで出た“夢の中で”のB面の“夢の奥で”って曲。それがiTunesの予約特典のボーナス・トラックで付くからって、俺、生まれて初めてiTunesで予約して買ったんですけど、何で“夢の奥で”をiTunes限定で最後に入れたのかと。あの曲って自分の子供の頃の声をコラージュで使ってて、わりとテーマとしても“あなたがいるなら”とか“未来の人へ”もそうだし、「親から子へ」みたいなのが言外のテーマとしてあるじゃないですか。あれをもうちょっとフォーカスしたような曲だから、小山田圭吾の小さい頃の声で終わってまた頭の曲に戻ると“あなたがいるなら”だし、継承させていくような意味でもほんとはアルバムの終わりに相応しいなあと思われるんだけど、なんで正式には外してるんだろうっていう。

大久保  なるほどね。あの曲で終わる状態で聴いてると、印象が全然違いますよね、きっと。え、じゃあiTunesで買ったほうがよかったんじゃないですか!(笑)そっちのほうがコーネリアスらしい。

うぃずやま  まあでも“夢の奥で”を入れると作品的にあまりにも露骨になるからかなあ。

照井  露骨になるからなのか、小山田個人的になってしまうからなのか。それを敢えて外して各自に委ねたか。

うぃずやま  各自に委ねたとしたらだいぶ大人になったなと(笑)。っていうのは『Fantasma』あたりまでは個人的な心象風景だったりとか、音の好みをわりとゴリ押しする人だったので。

伊勢  あれですよね、(アメリカの)ディズニーランドに行けなかった悔しさで制作したんですよね、『Fantasma』。

うぃずやま  うん、そういう表現ってありだよねっていうのを牽引してた人だから、もし照井さんがおっしゃるような一般性を出してきたのが意図だとすると、これは相当な変化だと。

一同   (笑)。

大久保 でもそれ逆に捻ってるのかなという風にも捉えちゃいますね。いつまでも同じことやらないぞと。毎回不思議な終わりかたをしてるからこっちもどんな風に終わるかなんとなく待ってるんですけど…何にも起こらないから(笑)。そういう驚かせ方をしてるような。

マキコ  うん、うん。

うぃずやま  この間、レッドブル主催のセミナーで、『ヘッド博士の世界塔』の頃から一緒にやってるサウンド・マニピュレーターの美島(豊明)さんが『Mellow Waves』のダウをパラデータで聴きながら解説するって回があって、それに行ったんですけど、その時の話だとだいぶ曲順とか試行錯誤しているらしくて。“あなたがいるなら”を一番最初の曲に持ってきたのって、ぎりぎり最後みたいで。曲は10年位かけて断片的に作ってきたものをMETAFIVE用や攻殻機動隊用に使って、残ったのはメロウな曲ぐらいしかないよねってことになって。さっきドメスティックって言葉が出たけど、『Fantasma』からのアメリカとかヨーロッパなんかの海外活動でのリアクションを直に受けたことがすごく影響があるらしく、『Point』以降の音が重ならないことに関しては、日本のわびさびを意識してると。で、それを美島さんが言葉でいってるのが面白かった。ってことはぼんやり考えてるんじゃなくて、その作業を言葉にできてるってことじゃないですか。コーネリアスというプロジェクトとして共通認識していることだと。

大久保  へえー。ちなみにうぃずやまさんはどのアルバムが好きですか?

うぃずやま  うーん。『Point』なんですけど、裏ドラ的には『69/96』かな。

大久保  …どの辺がいいですか?それを私に教えてください!(笑)。

うぃずやま  うーん。ベックっぽくないですか?

大久保  もろベックですよ。確かその前の年ぐらいに出てきたんですよね、ベックが。

うぃずやま  コーネリアスのアルバムの中では、一番なんかその時代のロックっぽくないですか?

大久保  そうですね。そっか、やり方としては『ヘッド博士の世界塔』とかに近いかもしれない。うーん。マキコさんは?

マキコ  私も『Fantasma』か『Point』で迷うなあ。選べない。その時の気分によって変わるかんじだけど、好きなことは変わらない。…小山田君ってお洒落じゃない?センスがいい。私はそこから入っていて。そこが変わらないのがすごく好き。押しつけがましくなくてさらっとやっちゃうところが音楽にも表れているし。

大久保  自分が流行を作っちゃうようなタイプよね。小山田君がいいっていうものは全部かっこよく見えちゃうかんじ、あるもんね。

うぃずやま  ファッションリーダーですもんね。『69/96』の頃が恰好はそういうのが流行してたのもあるんで見た目は今見ると一番ダサいというか時代を感じると思うんですけど、でもファッション誌の表紙を飾ってた人だもんね。

大久保  照井さんは、さっきの話からすると好きなアルバムは…?

照井   『The First Question Award』になるかなあ。全曲シングルみたいないい曲だし。単純にポップスを求めてる人にとってはいいアルバムだったなあと思って。僕はギターのコード進行とかが好きなので、セカンド以降だとそれがなくなってくるし、好きな人としては聴いていたものの、だんだん気持ちが遠ざかっていくのはあって。で、『69/96』の時になんで小山田圭吾があっちの方向に行ったのかなっていうのは、当時「ロッキン・オン・ジャパン」のインタビューで、小沢健二が小山田圭吾について「ヘビメタ野郎」みたいなことを言っていたから、その発言に対しての回答なのかなと。

大久保   はいはい。照井さん、自分のZINE「Something On My Mind」のレヴューでも書いてましたよね、それ。

照井   で、それを逆にネタにしてポップなものを作ったらどうだ、というか、もしかしてそれがきっかけになってるのかなー、と邪推してました。

うぃずやま   小沢健二のチクッと小山田圭吾に対する攻撃のようなものはありましたよね。

照井   なんとなくやりあってましたよね。周りもそれを期待してるような。

大久保   でもそれってその時代、みんなそうじゃなかったですか?嫌味ばっかり言うの。

うぃずやま   小沢健二が『犬は吠えるがキャラバンは進む』の時の「サウンド&レコーディング・マガジン」のインタビューで、『ヘッド博士の世界塔』はいわゆるDJ的な方法論に寄っているからもう自分はやらないと、自分はミュージシャンだから、リフがいっぱい詰まったなんちゃってジャズ・ファンクみたいなのはやらないんだ、とかそういうことを言ってるんですけど、それって『The First Question Award』でしょ?いろんないいフレーズを詰めこんだ曲ばっかりじゃないですか。

マキコ  それって悪口っていうか、やっぱり気になってしょうがないんだなっていう。

一同 (笑)。

照井  あとお互いの才能に嫉妬してるってところもあるかもしれない。

大久保 お互いが自分にないものを持ってるだろうし、周りにもいちいち比べられて、聞かれ続けるだろうし。でも2人とも別々に分かれても、それでもまだちゃんと、ちゃんと音楽をやり続けてるという。ま、間は空いてますけどね…。じゃあ伊勢さんは?

伊勢 好きなアルバムですか?全部好きなんですけど…いちばん聴いたのは『Fantasma』です。『69/96』とかもそうなんですけど、僕はぜんぜん体験してないんですけど、その時代の雰囲気が閉じ込められてるかんじがするじゃないですか。20世紀が終わる、みたいな。

照井 僕らはリアルタイムだからわからないけど、感じる部分があるんでしょうね。

大久保 それはすごく興味があって。私たちはそのまま時代に沿って聴いてるだけなのに、同じ音楽を昔のものとして聴いて好きって思ってくれるんだっていうのが。音楽なんていっくらでもあるのに、息子とそう変わらない歳の子がこういうのを選んじゃうのは凄いなって思って。

マキコ うんうん。うちの娘は絶対聴かない(笑)。

うぃずやま 完全にお母さん目線だ(笑)だって伊勢君、Tシャツがクラウス・ノミっていうのが凄いよね。90年代を通り越して80年代だもん(笑)。

一同 (笑)。

大久保 将来有望な若者ですよ(笑)。じゃあ、みいさんは?

みい 僕が好きなのは『The First Question Award』なんですけど…。

一同 へえー。

みい さっき照井さんが言ってたみたいに、ポップで全曲かっこいいし、90年代の時代感が反映されているので。そんなに難しいことはやってないし、聴きやすいし、一曲一曲が好きです。

大久保 いちばん古いアルバムですね。ちなみにファッションとかも好きですか?

みい あ、そうですね。僕、よくニット帽を被ってた時があったんですけど、その頃の小山田圭吾が好きなので(笑)。

大久保 小山田圭吾の影響で(笑)。あれ?小山田君の息子さんの米呂君と同い年くらいですか?

みい 僕は1個下です。伊勢君が…。

伊勢 同い年です。俺、影響されて白ベルト付けてます。

一同 (笑)。

みい このお話をいただいた時にコーネリアスをいろいろ聴いてたんですけど、やっぱり1st好きで、また新しい発見をして、いいなあと思って。僕、バンドをやってるんですけど、キーボーディストの子に「これ聴いてこういうオルガンの音にして」とか「“What You Want”の音にして」って言っちゃうほど好きですね、このアルバムは。

大久保 へえー。そういう90年代の音楽っていうのはどういうところが情報源なんですか?

みい Spotifyとか、まあネットですかね。

アラフォー達 ほおー。

大久保 今の音楽にも興味はあります?

伊勢 好きなやつは聴きます。

みい 僕も聴きます。

大久保 でも古い方がわりと好きとか?

伊勢 うーん。あんまり意識していないですね。

みい 好きなのを聴くかんじですね。

大久保 そういうのを時代は関係なく聴けちゃうんですね。

うぃずやま でも、90年代のサニーデイ・サービスとかもそんなかんじでしょ。あの時、はっぴいえんどを讃賞していたとき…よりは距離があるかな。

照井 いや、あのころの方がもっと距離があったと思います。情報も少なかったりとか、すぐ聴けないとか、(情報として)読めるものも少なかったですし。今の方が同じ20年前でも距離は近いし、youtubeとかでも年代を特に意識せずに聴けるんだと思います。

大久保 そうですよね。別に昔のものとして探さなくても情報が年代別じゃなく、普通に入ってきますもんね。そうするとあれかな、もしかしたら、20代後半ぐらいが一番コーネリアスを聴いてないのかなあ。30代は『Point』が出た時が年齢的に音楽を聴く時期で、『Sensuous』からが間が空いてるから、コーネリアスの活動が止まっていた時期にちょうど音楽を聴き始めるような世代の、そこのファン層がもしかしたら少ないかもしれないですね。

みい でも10代も特殊…(笑)。周りは全然ですよ。

うぃずやま まあ90年代もそうだったからねえ(笑)。

大久保 でも外に出れば誰かがいたから。で、それが今だとネットで知り合えるってことになるのかなあと。探す手段は違うようで似てますよね。クラスに知ってる人がいないっていうのは、今も昔もおんなじで。

照井 そういえば伊勢君とみい君に、せっかくだからみんなに何か質問があれば聞いてみなよ、って事前に尋ねてみたら、「コーネリアスとか小沢健二が世間的にどういう存在だったのか?」っていう話が出て。まあ例えば、小沢健二は星野源みたいなものなのかなっていうのがよく出るけど、コーネリアスは今でいうと誰なんだろうっていう。

大久保 ああ。なるほど。近い存在でいうと、ってことですか。今だと…?

うぃずやま 星野源は当時の小沢健二と小山田圭吾を足して2で割ったようなかんじはあるかな。サブカル方面にも顔はきくし、いわゆる芸能方面にもいくし。

照井 星野源はオザケン以上になったじゃないですか。

アラフォー達 うん、うん。

うぃずやま 星野源はドラマまでやったのが凄いよね。

大久保 小沢健二は紅白に出たりはしてたけど、子供にまでは浸透してなかったので、星野源はちょっと格別なんですけど、まあ売れ方としては似てるか。でもコーネリアスが…。いまコーネリアスみたいな人、あんまりいないんじゃないかなあ。

マキコ うん、いないと思う。

うぃずやま …YONCEが… 。

アラフォー達  …おおー。

(後編に続く)

後編はこちら
コーネリアスについて話す会 後編








 




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