神秘的

コーヒーを淹れ、リビングのテーブルにて小沢健二の「神秘的」を聴きながら、コープの注文書をめくっていた。ふと顔をあげると、私の側にちょこんと座り険しい顔でじっと漫画を読んでいる娘が、音楽に合わせてトントンと小さな膝を揺らしている。窓からは穏やかな光。遠くに葉桜の彩り。洗濯物は揺れている。見えないけれどどこかに感じる家族の気配。美しいストリングスの音色。明るい部屋に静けさが訪れる。4月半ばの土曜の昼のこと。その瞬間のこと。


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