昨日と今日がくっついてゆく世界で

いつもお世話になっているエレ・キングが今年からホームパーティーを開くことになったそうです。場所は池尻のTAOというところ。エレ・キングのパーティーということよりも何よりも私が心惹かれたのは、チャージが500円でドリンク付。…って意味わかります?私の名前はおバカさん、でもわかるの、それがタダだということぐらいは。あとは自分の飲み方次第。なんて気が利いてるの!でも大丈夫かなぁ、タダのパーティーなんて…と少しだけ心配しながらも、飲みに行く感覚で友達を誘って、わかりにくい場所をなんとか探して行ってみることにしました。

しかし私達のほんの少しの不安なんて、そんなもの、あの晩のあの場所には全然存在しなかったのです。ただ私達を待っていたのは、とてもとてもすてきな夜でした。TAOのスタッフの人達が趣向を凝らして飾り付けた地下室の小さなスペースに集まった数十人の人達。そこではDJによる心地よいプレイを前に、みんながゆったりと楽しい時間を過ごしている。紛れもないホームパーティーの雰囲気。

でも何故なんだろう。真夜中に、音楽が流れる場所で、お酒をちょっと飲んだり、気分で軽く踊ってみたり、外に出て、知ってる人と話をしたり、知らない人と話したりすること、何も特別ではないいつものこと、その全てのベクトルがいい感じに合わさったとき、どうしてあんなに素直に笑顔になることが出来るのだろう。それはなんと言ったらいいのか、別に複雑なことじゃなくて、すごく簡単な喜びで、こういう風に文章にすることもなんだか大袈裟な気もするぐらいだけれど、だけど今の私にはこういうものが足りないし、もっともっと必要だなぁと感じたのです。そして帰り際に友達と「なんか久しぶりにいい夜だったねぇ。」と話しながら歩いた寒い朝がなんともすがすがしく思えたのは、本当です。

1998年1月 エレ・スウィングにて

(SUGERSWEET第10号)

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