バカルディ「美容室」

ウッチャンナンチャンの冠番組で、バカルディと名乗っていた二人組が“さまぁ~ず”に改名したのが2000年。当時、ウッチャンは企画で改名させてしまったことを後悔していたというが、当の二人はコレをきっかけに大ブレイク。2014年には全てのキー局でレギュラー番組を持つコンビにまで成長したのだから、何も後悔することはないだろう。少なくとも“手裏剣トリオ”や“丁半コロコロ”、“アイスクリーム”よりはずっとマシだ。

バカルディ時代の代表作が『美容室』である。「大竹一樹の美容室」と書かれた看板を掲げた店を訪れた三村が、店主である大竹の言動に振り回されるコント。「今日はカットで? ……明日は?」「それで今日はどんな風変わりな髪にしますか?」「バレンタインは一人で寝正月でしたよ」など、何処を切ってもナンセンス。言葉は通じているのに、絶妙に噛み合わない。

その中でも、やけに頭に残っているのが、次のくだり。切った髪の毛が服につかないようにするための専用のカバーを三村にかけようとして、首元の部分を口のあたりにギュッと押しつける大竹。嫌がりながら「口ですよ、口」と対応する三村。その直後、大竹がこの台詞をしれっと言ってのける。

「色んな人の口とか髪の毛とかがついた“ここ”ですから」

ナンセンスなコントの世界に放り込まれる、潔癖で神経質な"気付かせる"一言。さまぁ~ずが自由に振る舞える『モヤモヤさまぁ~ず2』のような番組で垣間見られる、大竹の繊細な気質の片鱗が感じ取れる。

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