何もなかった日に読むエッセイ
美空
秋の美空は見入ってしまうね。
雲ひとつなくさえ渡っているのに、どこか切なさもある。
今年の夏の暑さが一掃されて、冬に向かってゆくこの変化にときめきさえ感じる。
昨日、柿の木から柿をもいでもらってきたんだけど、その時かな、折れた小枝がカバンの中に入ってた。
それを見つけたら、「この美空の日、みんなは何をして過ごしてるんだろう?」って思った。あの子からあの人まで色んな人の昼下がりを想像してみた。
その中でも、"この人はいつも物腰柔らかで感じがいいなぁ"って人が頭をよぎった時は、洗濯物のシワを伸ばしながら干してるイメージだった。
秋風に吹かれて気持ちがいいね。
きっと今日はよく乾いたでしょう。
本当にどう過ごしたかは知らないけど、明日聞いてみようかな。
わたしの今日の昼下がりは、美空に見惚れながら、昨日の見つけた16歳のわたしからの手紙に応えられる大人として生きようって小さく誓ってコーヒーを飲み干した昼下がりだった。
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