決意と理念2

やるべきことを決めたのは良かったが、
大変だったのはこれからだった。
全店舗閉鎖してからの1ヶ月間、
妻と本店店長の大久保と3人で毎日事務所に行き、保健所とお客様に連絡して感染経路と濃厚接触者についての報告および迷惑をかけたことのお詫びに追われていた。
私はその間に今後の事業計画を立て、
このまま客数が戻らなければ
今期約2000万円の赤字が出ることを確認した。
次に取り組むのは資金繰りと社員に対しての現状報告だ。
資金繰りは国民生活金融公庫(国金)と
銀行から合わせて7500万借り入れた。
社員への報告は売り上げから利益の予測までを伝えて、今後の売り上げによっては給与を抑えていくこともあり得ることも伝えた。
同時に小さなお子さんがいる社員には、
一時金として3万円を支給した。
先の光が見えない中で心が疲弊する日が続いた。
そんな中、唯一の幸せはお昼ご飯だった。
しかし、毎日同じ弁当を食べていくうちに次第に飽きてきた。
そこで久しぶりに大好きな「Mバーガー」にいくことにした。Mバーガーは、金のバンズというニュージーランド産のバターを使用したバンズに肉肉しいパティとハニーマスタードソースが相性抜群の逸品である。
私はかねてから、アメリカのハンバーガーが好きで、初めてMバーガーを食べた時に本場アメリカのバーガーに似てとても感動したのを覚えている。

Mバーガーはテイクアウトのみ営業していた。早速買って帰り「やっぱり美味しいね!」と笑顔で頬張りながら、ふと「このハンバーガーを地元で販売できれば、お客様はもとより社員のみんなにも明るいニュースになるのではないか??」と思いがよぎった。
妻にも意見を聞くと「やってみたら良いやん!」と賛同してくれた。
Mバーガーのオーナーさん宛に手紙を書き、客数減で困っていること、Mバーガーの大ファンであること。
地元小倉で開店させてもらいたいこと。
その件でお会いして話をして欲しいこと。
を書き記し「オーナーさんに渡してください」とMバーガーの店員さんに渡した。

数日後、一本の電話がかかってきた。
「もしもし??」
「Mバーガーの田中です。お手紙拝見いたしました。ぜひお話しお聞きします。」
と、私と妻はにっこりと目を合わせ久しぶりの明るい未来に心が躍った。

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