決意と理念5

カネさんとのオンライン打ち合わせの中でのゆうたろうと私の話を聞きながら、カネさんはこう言った。
「いちスタッフがこんなに腹を括ってやろうとしているのを見て僕も協力したいと思いました。ちょうど僕も東京だけでなく地方の美容師さんとの活動をしたいと思っていたところです。」
講習は2ヶ月後の5月に来てくださることとなり、思いもよらない展開となった。
後日談だが、そもそもなぜカネさんがこうたろうのDMを開こうと思ったかに関して、こうたろうは普段から独特の文を書くので、「お前の文章は主語述語が無くてわかりずらいから気をつけろ。」と私から指導されてたほど奇妙な文を書いていた。例の如くカネさんにも同様の奇妙な文を送っていたようだ。その奇妙な文にカネさんが「これは何だ??」となって全文を読むことになったということだった。長所は短所、また短所は長所とはよく言ったものでつくづく人生とはわからないものだ。
そして、待ちに待った講習の日が訪れた。私とゆうたろうは福岡空港までカネさんとアシスタントの方、そしてモデルさんを迎えに行った。
空港からお店まで私たちの会社の事、カネさんに相談した経緯を改めて伝えた。
実際に会ったカネさんは少し不器用でコワモテだったが、時より見せる優しさが印象的な人だった。
初日はお店を案内して、そのままホテルにチェックインして、韓国料理屋さんで食事をした。
時はコロナ禍真っ最中で、韓国料理屋のママから「どちらからいらしたんですか?」と言われたので「東京からです。」と答えた時にとても怪訝な顔をされたのを覚えている。
2日目いよいよ講習当日。カネさん達をホテルまで迎えに行き、会場のお店までお連れした。
待っていたスタッフ達も、期待と不安に胸を躍らせていた。なにしろこんな田舎町にあのカネさんが来てくれたのだから、、、
教えてくれたのは、当時大流行していたバレイアージュという技法で、私達にとってはまさに目から鱗の技術だった。またカネさんの仕上げの技術レベルは卓越していた。どんなモデルでもまちまち可愛く仕上がる技術を見て、改めて一流の仕事の凄さを知った。
その一部始終をもれなく動画に収めて、現場レベルに落とし込みメニュー化していくのがこれからの私の役割だ。
2日目の夕食は、コロナ禍ということもあり私の自宅での開催となった。この日のために地元の有名店に無理を言って刺し盛りや地元の名物を準備した。
懇親会がはじまり、驚くべきはカネさんがとてつもない酒豪であったという事だ。
私も多少はお酒に強いつもりであったが、気がつけば3時まで飲みっぱなしだった。
もちろん3日目は全員二日酔いでフラフラだったが、予定通りに講習は終わった。
講習最後にカネさんから、
「今日ここに来たのは、社長の想いとこうたろうの覚悟があったからです。一般的に社長は私を呼んで社内講習をする際には、カネを連れてきたからあとはよろしく!と言って任せきりが多いが、この社長は最初から最後まで一緒に過ごしている。これは本当にすごい事ですよ。また、自宅でのおもてなしとても感銘しました。実は私の祖父は魚屋さんで、魚の良し悪しがわかるんです。ここで食べた魚は最高でした。」などのお褒めの言葉をいただいた。私たちからは「今回はお忙しい中、わざわざいらしてくださり本当にありがとうございました!教えていただいた事をメニュー化して北九州1番を取りに行きます!」とカネさんに宣言した。そして、カネさんとはこれから様々な所で関わっていくことになる。

※2023年6月現在私たちのお店は北九州3位である。

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